不審者 問い詰められる
うーん、これ大丈夫だったかな?
僕はゴブリンの集団が馬車を襲っているのを見て、咄嗟にヘクセレイ・フリスビーをゴブリン全部に向けて放った。
そう、咄嗟に生身のまま放ってしまったのだ。超能力がバレる、というのは大変困る。
しかし、馬車の周囲にいた騎士が、貧相な身なりの人間たちを倒した後に、馬車に少し話しかけたあと、フリスビーを放った相手を探そうとこっちに顔を向けているのがわかった。
これ、マズいかなぁ…。早く逃げないとね。
僕は隠れていた木の幹からサッと逃げようとしたところ、馬車の方から
「そこ、隠れているのはわかる。こちらも危害を加えたくないから出てきてくれないか?」
と声がかかった。
なんてこった。バレていたらしい。でも隠れていたのに何故わかったのだろう?
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「まずはゴブリンを倒してくれたことを感謝させてほしい。ありがとう」
そう言いながらとても質のいい鎧を着ている壮年の男性が頭を下げてきた。
偉いと思われる人に頭を下げられたので僕は恐縮する。
「頭を上げてください。僕も咄嗟にやってしまったことですので」
そう言うと、男性は頭を上げてくれた。
「そうだったか。しかし、何とも不思議な魔法だな」
目を少し鋭くしながら男性はそう言う。
…え、魔法??そんなものがある世界なのか????
混乱する僕を他所に男性は話を続ける。
「うちのパーナルのように特殊な魔法を使えるようだな。一瞬見ただけだが護身にピッタリだなと思ったぞ」
うん、これヘクセレイ・フリスビーを使って彼らを傷つけるのか?と聞かれてるな。どう答えるのが正解かな。
「ええ、切り札として取っておけと周りから言われまして。基本的には使わずピンチの時だけ使うようにしています。今回はお困りのようでしたので思わず使ってしまいました」
全部嘘ですはい。超能力使って国に追いかけられたくなかったから伏せていただけだし、怪獣と思ったらサッとと使うこともある。それこそ今回のようにね。
我ながらよく咄嗟に嘘をつけたものだ。男性は更に値踏みするように僕を見つめる。
「オリジナルの魔法を使えるものは基本的に貴族や冒険者ギルドに報告しているぞ?そなた、どこから来たのだ?」
うーん、これは参ったな。まさか別世界から、とは言いにくい。
「相当な田舎の村です。恐らく言ってもわからないと思います」
「だとしても村の名前くらいは伺いたいな」
あまりいい方向に話が進んでないな。どうしようか。
そんなことを考えていた一瞬、
「お待ちなさい」
と女性の声が聞こえてきた。
「お嬢様!?」
マジか。あの馬車、相当身分が高い人が乗ってたのか…。
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私はカーテンの隙間からずっと見ていた。
ゴブリンを倒したと思われる方が森の方から出てきて、トータス団長と話しているのを。
黒髪に見たことのない顔立ち。遠くから旅をしてきたのかしら?。トータス団長は何者なのか知りたがっているようだが、それは失礼に値するのではないか。
安全を考えたらこのまま尋問する方が良いと心が囁くが、私は彼の善の心に賭けたくなった。
馬車のドアを開け、トータス団長に聞こえるように
「お待ちなさい」
と声をかけた。
団長と彼が私の方を向く。どちらも驚いたような顔だ。馬車の紋様を見れば我が家が貴族なのはわかるはずだが、私が出てくるまで知らなそうにしてた。推測通り、遠くからやってきたのだろう。
「彼は私たちを助けてくださったのでしょう?これ以上は失礼に値します」
「しかしお嬢様、この者の身なりや魔法を考えますと危険人物かもしれませぬ」
そう、トータス団長の言うことも正しい。
私は彼、に向けて尋ねた
「お尋ねします、貴方は遠くから旅してやってきた、そうでしょう?」
この質問に彼は頷いた。私は微笑んだ。
「トータス、遠くの田舎の村の名前を聞いて場所がわかりますか?」
「わかりません、お嬢様」
トータス団長は諦めたように首を振った。私がこう決めたらてこでも動かないのをトータス団長は知っているのだ。
「貴方、お名前は何といいますの?」
私は誰も尋ねてなかった名前を聞く。
「ホシノ ミライと言います」
彼は少し緊張しているのか、固くなりながらそう答えた。
ありがとうございました!




