表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/124

職業【乱打士】平均値を中心にバラつく

 兵士スケルトン

 HP 200/200 MP 50/50


 堅守オーク

 HP 400/400 MP 0/0



「『大火魔球』」


 トトの放った火球は、多数のスケルトンを葬る。

 火属性が弱点である魔生族(デモニック)に、トトの魔法は頼りになった。


「しまった! スカった!!」

「シルフ!?」


 ピコッ!!!という頼りない音に、トトは苦笑する。

 その攻撃はシルフの攻撃の下振れを示している。

 多くのモンスターを、たった一つのハンマーを振り回して討伐する。

 最多討伐数はシルフであった。


「それにしても多いですね。やはり城が近いからでしょうか?」

「そうだろうな。あそこにボスがいるって認識でいいんだろ?」

「雑魚モンスターは魔生族だし魔王がいるのかもね!」

「魔王……フラム?」


 トトが首を傾げた。それを聞いたレッカは、魔王城で待つフラムを想像していた。


「意外と様になってるね……!」


 一行はスケルトンやゴブリンにオークと、多くのモンスターに足止めをされていた。

 彼らは怯むことなく押し入る。それはセレナとレッカによって強化された、シルフの圧倒的な殲滅力にあった。

 レッカはここに来るまで、シルフがイベントの上位に入ることができた理由を理解できていなかった。

 それは彼が近距離戦闘特化型のプレイヤーだと思いこんでいたからだ。

 彼の真価はそれではない。


「来たぜ! 俺の本領発揮!! クリティカルヒット!!」

「当然ですよ!!私の運気上昇のバフを受けて、スカなんて出す人がいますかっての!」

「お、おう……すまんって……」


 彼の職業である『乱打者(らんだし)』は、攻撃の数値をランダムにしてしまう。

 与える攻撃力は、当たる直前にシルフに伝えられる。


「まだまだ行くぜ!! もういっちょ、クリティカル!!」

「す、すごい……」


 シルフによる攻撃は、一度の衝撃で五体のモンスターを吹き飛ばす。

 また、攻撃の頻度も高い。彼は武器を振り回すだけだが、モンスターにとっては一瞬たりとも隙がない。

 レッカはそんな彼の戦闘方法に感心していた。

 フラムやソロモンのような戦闘センスを必要としない、近距離の戦い。レッカは新たな戦術に感嘆の声を漏らした。

 あらかたモンスターを討伐すると、彼らは戦いながら話し出す。


「シルフはどうしてそんなに強いの? トトの成長に繋がらないかな」

「そうだな。俺の場合は運気を上げているんだ」

「運気?」

「実は俺らのパーティーのアタッカーは、攻撃力だけで言えばそこまで強くない」

「そ、そうなの?」

「俺の攻撃は完全にランダムだし使い勝手が悪すぎるだろ? ソートは大規模魔法ばっか撃つせいで燃費悪いし、ソロモンなんて単純に攻撃力不足だ」

「まぁあの人、最近悪魔と契約したおかげで私がいなくても暴れてますけどね」

「コロンと一緒にいる人だよね。私はちょっと怖いな……」


 レッカからすれば『黒白戦線(モノクロボード)』といえば、言わずも知れた強プレイヤー群。

 その本質は最速階層ボス討伐パーティー。

 誰よりも早く階層ボスを倒し、動画に投稿。そのプレイ動画が一躍有名となった過去がある。

 イベントではMVPが一人、入賞が二人もいて人気が絶えない。

 そんな認識であったため、弱いという印象がまったくなかった。


「私たちのおかげなんですよ!!」

「そうだな。俺等を支えるのはメイトとセレナのバフ。特にセレナはステータス上昇に特化しているから俺との相性が良い」


 乱打者の攻撃は本来、平均値を中心にばらつく。

 だが運気の上昇が、その分布を高威力側へと押し上げていた。

 結果としてシルフは、低火力を捨てた上振れだけの連撃を叩き出しているようだ。


「レッカ、分かった?」

「す、少しだけね」

「すごいね。私は、さっぱり……」


 セレナが鼻を高くしている。

 二人は疑問符を浮かべながらもセレナを称えた。

 彼女が貢献しているのは間違いないのだ。称えるのも間違いではなかった。


「てか、その運気上昇をトトに使ったらいいじゃん!」

「私もやりたい。けどガチャを引ける回数がもう限られてて……」

「じゃあボス討伐の時にやろうぜ! 城はすぐそこだ」

「レッカも手伝ってください! 運気のステータスを与えることはできますか?」

「当然!! 私は『錬金術師』だよ? できないことはあんまりない!」


 最後のゴブリンを討伐し終えたシルフは、ハンマーを背負った。

 目指すは悪雲が立ち込める城。

 踏み心地の悪い地面を前進しだした彼らを待ち構えるのは、魔王以外にいることを、彼らはまだ知らない。

 花は笑って、四人を見下ろしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ