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職業【先導者】悪魔の力を目にする

 六層は森林。ジャングルを連想させる草木の量に、湿度の高い空間。

 そこで終わらない争いを続けるのはフラム。

 双斧を同時に振り下ろし大剣に打撃を与えるが、衝撃は分散されて無に帰す。

 翼で距離を取るが、相手は瞬時に距離を詰め剣を横に薙ぐ。


「まるで私が避けるって分かってたみたいだな」

「俺は牛人(くだん)だ。行動予測くらい朝飯前だ」

「す、すごい……」


 近くで武器を握って呆然としているコロンをおいて、対決は苛烈さを増す。

 生い茂る草木をかき分けて敵を断つ。フラムの滾る熱で森は荒野になる。


「あんたが喧嘩吹っ掛けてきたんだ。負けたら恥だぜ、ソロモンさんよ」

「決闘だろ? 勝ったら相手のスキルを受け取る。それ以上でもそれ以下でもない」

「聞いたぜ? 『近距離最強』って呼ばれているようだな。そんなすげぇやつ、超えなきゃ魔王にはなれねぇな!!」

「冷静さを欠くなよ」

「笑止。舐めるな」


 フラムはソロモンを睨みつけて連撃を叩き込む。

 殺気と共に与えられた打撃はソロモンの鎧を穿ち、剣を削ぐが、それと同時に手先が痺れた。

 急所を狙った攻撃は、徹底的に避けられる。相手の攻撃を避け、フラムは息を整える。

 ソロモンから浮き立つ影は『悪魔召喚』によって呼び出された『東之王(バアル)』。

 息を飲む。彼は戦いが始まってから一歩も動いていない。それなのに彼の放つ威圧は、フラムの息を乱す。


「ほんとに未来が見えてるみたいだな」

「見えてると言っただろ。 ほら、かかってこい」

「VRMMOですよね……そんなことは――」

「このままじゃいけねぇな。コロン!」

「は、はい!?」


 コロンはゆっくりと二人から距離をとり逃げようとしていた。

 そんな最中に声をかけられて彼は動揺するが、フラムは気にした様子もなく続ける。


「こいつを打開する方法はあるか?」

「そ、そうですね……遠距離攻撃があればいいんじゃないですか……?」

「そうだな、私も同じ事思ってた」


 笑顔を無くして、背中から糸を排出する。

 勢いよく飛び出した糸は、幾本にも分かれる。それぞれがソロモンの体を纏うように伸びる。

 ソロモンは断ち切っていく。手が届かない攻撃は『東之王(バアル)』の魔力で切り裂くが、それは彼女の思惑通りである。


「あーあ、今目を逸らしやがったなぁ。もう終わりだぜぇ?」

「……っ!」


 大剣を縦に振る。目の前にはフラム。

 しかし目線を合わせて気がついた、双斧が握られていないことを。

 剣はフラムの体を切るが、彼女の体はドロドロに溶けて剣にまとわりついた。


「ぅぐっ!!!」


 背後から感じる鈍痛。体を支える力が一瞬なくなる。

 なんとか体勢を持ち直して剣を両手で握る。背後にいたのは、双斧を叩きこみ、満面の笑みを浮かべたフラム。


「ダメージを与えたのに、まだまだ元気そうだな。もしかして、体力がとんでもなく多いのか?」

「『悪魔召喚』は契約によって悪魔の力を得る。その時の代償は命だ。このゲームで言うところの、HP。だから俺は、体力を底上げしてそれを補った」

「難しい事言わないでくれ。要はあと何発耐えられるかだ」

「もう同じ攻撃は食らわない。俺が動くことも、もうない」

「お前馬鹿だな!! 貰うスキルは『悪魔召喚』にするぜ!!」


 フラムの浮かべた笑顔は、コロンに悲鳴を上げさせた。

 ソロモンも珍しく感情を表にする。それは焦りと恐怖。

 フラムにやられるのを危惧している訳では無い。それは彼女の執念に対する感情であった。

 彼は剣を構えてフラムを待ち構えた。攻撃が来るであろう軌道にすぐに剣を振れるように。


(きたっ!)


 ソロモンは剣を薙ぐ。

 瞬時に感じる違和感。体が思うように動かない。

 動作が重い、鈍足の状態異常に気がついた頃には、もう遅い。

 切られる。そう思った瞬間、ソロモンは考えるのをやめて、叫んだ。


「『明渡(めいと)』!!」


 刹那。『東之王(バアル)』がソロモンを飲み込む。

 辺りの魔力を固めて双斧の打撃を妨害する障壁を作成する。


「っ! ど、どこいった!!」


 ソロモンの姿が消えた。

 フラムは辺りを見渡すが、不穏なオーラを感じつつも、その正体を()()()()()()

 そして始まるのは蹂躙。

 フラムは見えない相手に抵抗術を持っていない。

 故に行動を予測してフラムの攻撃を避け、見えない箇所から攻撃を行う悪魔は理性を捨てて主を守る。

 それは一種の防衛本能のようであった。


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