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職業【西将者】イベントへの貢献に歓喜する

 カリナがログインすると、目の前にいたのは青髪の馬人。


「えっ」

「カリナーーー!!! やったね!! 私たち超有名プレイヤーの仲間入りだよーーー!!!」

「え、えっ!? なに、なんの話……!?」


 メイトがはしゃいで斧槍を振り回していた。

 周りにはアンノウンは当然として、黒白戦線やエレメントのメンバーまでもが集まって話していた。

 近くにいたフラムと目が合う、彼女は頬を膨らませてこちらに駆け寄ってきた。


「カリナ!! こういうのがあるなら先に言っといてくれよな!」

「え、な、なにが? 僕なにも知らないよ!?」

「カリナ、お前はMVPに選ばれたんだと」


 背後から声を掛けてきたのはアント。

 聞いたことのない情報に首を傾げると、遠くにいたトトがこちらに気がついて近づいてくる。


「お疲れ様、トト」

「カリナ……だよね? ちゃんとした自己紹介、してなかった。私、ハーピーのトト。職業『選ばれし者』だよ」

「もう充分理解したよ! 僕は『遊び人』のカリナ。スキルが簡単に手に入れられる職業なんだ」

「どおりで……メッセージ読んだ? 運営から届いてるよ。それにイベントの概要にMVPの五人の名前が書かれてたよ、私たち『カクメイト』の五人が」

「ほ、ほんとだ……」


 画面を開くとメッセージが届いていた。概要はイベントでの多大なる貢献を称するというなんとも胡散臭いメッセージだ。

 気になるのは最後の一文。


「どんな装備品でも装備可能に変更しました……?」

「MVPになった報酬だよ!!! カリナは装備が出来るようになったんだね! 私は職業が更に進化したよ!!」

「このゲーム初の『()()()』だ。全く、運営はなにを考えているんだろうな」


 遊び人の詳細をみてみると、その内容が変わっていた。



 職業【遊び人】

 基礎ポイントが増えない。スキルが選やすくなる。



 カリナは職業が進化したわけではなかった。装備ができないという枷が外れて動きやすくなっている。

 レッカが寂しそうな表情を浮かべているが、どちらにせよ今後も武器や防具は彼女を頼ることになるだろう。


「レッカ、今後もお世話になるからね?」

「え、ほんと? 私のこと、捨てないでね?」

「なに言ってるの!? レッカがいなきゃ僕は今頃素寒貧なんだからね」


 レッカは心配そうに指遊びをしていたが、今後も頼ると伝えると、安心して晴れた笑顔を浮かべた。

 しかしこれを伝えるためだけにわざわざ皆を集めたのだろうか? そう思いメイトに目線を向けると、彼女は珍しく困った顔をしていた。


「メイト、どうして皆集まってるの?」

「別に意味なんてないよ! 皆で集まったら面白いじゃん!!」

「そ、そうなんだ……」

「でもね? イベントのあとからずっとソートがうるさかったんだ! だから……ソートはカリナにあげるね!」

「……? えっと……」


 そう言うと目の前にソートが現れる。

 初めて生身で見たが、違和感がすごい。

 その姿は黒髪のオールバックで、髪の毛が黒光りしている。

 服装は異世界の軽装なのに着こなしは抜群だ。メガネをかけた彼への印象はサラリーマンを彷彿とさせた。

 それなのにカリナは目を疑う。手元に握られたのは星のステッキ。


「あ、あの……」

「初めまして。カリナさん、ですね? 職業『魔導学者(まどうがくしゃ)』の半霊(はんれい)。ソートと申します」

「半霊ってことは、僕と同じ人間なんですね」

「敬語は結構。そのとおり、半霊の力は普段使いませんので、人間として接してください。それよりも、伝えたいことが少々」

「は、はぁ」


 ソートはメガネをあげると、こちらを睨みつけた。

 まるで喧嘩をふっかけてくる直前のインテリヤクザだ。

 しかし彼の逆鱗に触れるようなことはしていないはず。そう思って言葉を待っていた時、ソートは画面をこちらに向けてきた。


「こ、これは……」

「えぇ、ご存知ですね。『カクメイト』対濁流殻禍魚(トレント=アクア)の頂上決戦。その最中、あなたは新たなスキルである『魔法作成』を手に入れましたね」

「あっ、それは……えぇっと」


 画面に映るのは、魔法のイメージやコントロールが上手く行かなかった際の映像。

 冷や汗が流れ始める。確かクレートによると、ソートが同じスキルを持っていたはずだ。

 言い訳が頭の中を駆け巡るが、彼は額に青筋を立てており、どんな言葉をかけても無駄だと悟る。


「メイト」

「どうしたの!?」

「エレンも連れてきてください。彼女にも伝えたいことがあります」


 遠くでコロンと仲良く話していたエレンの表情が一瞬にして曇った。

 これは逃げられない。メイトに腕を掴まれた。振りほどけないかと力を込めてみるが、馬人である彼女の力を理解して背筋が凍った。


「ってことでごめんね皆! カリナのこと持ってっちゃうね!?」

「あぁ、なにかあったら連絡してくれ!」

「カリナ! 元気でね!!」

「俺以上に強くなるなよ」


 アンノウンのみんなは、仲間が連れ去られようとしているのに、爽やかな笑顔を浮かべて手を振る。

 どうやら仲間に慈悲などなかったようだ。カリナは涙を拭いスキルを習得を恨むのであった。


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