職業【遊び人】イベント後の余韻に浸る
イベント終了時は、心臓が鼓動を打ち鳴らして騒がしかった。
フラムが命からがらプレイヤーの攻撃を避けたタイミングで、世界が暗転した。
気がつくと皆は普段のフィールドに戻っており、イベントの感想を言い合っていた。
カリナも例に漏れずに三人に話しかける。
「す、すごかったね……! フラム、大丈夫?」
第四階層のいつもの場所で四人は座っており、フラムは汗を拭うと笑顔を浮かべた。
「あぁ! 大丈夫に決まってるだろ!? いやー、楽しかったな! ってか、私何位になったんだ!?」
「ちょっと、フラム。ランキングは明日公開だよ!」
「とりあえずは反省だな、今回のイベントでの戦闘は後から見返せる。俺は今一度魔法の強化だな」
「お前は真面目だなぁ……ちょっとは余韻に浸ろうぜ?」
フラムがアントの背中をバシバシと叩く。
彼はため息をつきつつも口角を上げていた。イベント戦が楽しかったのは自分だけではない。
最後にはチーム皆で戦えたのだ、カリナはそう考え思いふける。
「ちなみにランキング上位には誰が来るかな? 私はあんまり戦えなかったから数千位かな?」
「数千位? そんなに人いたのか?」
「あぁ、そもそも一人も倒せないのが数万いるだろう。そのうち五十人以上倒せるのが三割、更に百人以上倒せるのが一割も満たないだろうな」
「……アントの話は難しいな。カリナ? どういうことだ」
「そうだね。レッカは複数人倒してるから数千位ってのはあってるかも。アントと僕は百人以上倒してるから千位以上、もしかしたら百位圏内になる可能性があるし、フラムは多分数百人とか倒してるから上位は確実かもって話」
「私が!? ランキング上位か!! ますますランキングが待ち遠しいぜ!!」
「というかそんなにプレイヤーいたんだね……」
カリナはあえて話さなかったが、第二フェーズの階層ボス撃破もポイントとして加算される。
つまりカリナは自分やアントも百位圏内はなれる可能性があると考えていた。しかしアントが口を出す。
「カリナはボス撃破も視野に入れていると思うが、自惚れるのは早いぞ」
「えっ、なんで?」
「レッカ、確か見たんだったな。二体ボスモンスターが現れてることに」
「……そうだね」
レッカは、第二階層で甲鎌針禍蟲を二匹見たという。そしてその二体を瞬きをする間に葬ったプレイヤーがラトラス。
アントが言いたいことは分かる。ボスを倒したのが自分たち意外にもいるということだ。
カリナは青ざめる。
「あれを触れずに一瞬で……それって冗談じゃないよね」
「冗談だったら私も嬉しかったよ。あれは格が違う」
「もしかしたらマゼランよりも強いかもな! マゼランは私でも敵わなかったんだぜ?」
「話を聞くにラトラスは第五階層ボスの濁流殻禍魚と同じ性質のようだ。それにその『始原回帰』ってのは……」
「……」
聞き馴染みのある言葉に四人は口を閉ざした。
上には上がいるとはこのことを言うのだろう。彼女は頭を降ると画面を操作する。
「と、とりあえず僕はログアウトするよ! 結果が出たらもう一回集合! それでいい?」
「あぁ、了解だ!! 明日が楽しみだな!」
「百位圏内のプレイヤーにはアイテムが、十位圏内は更に良いスキルやアイテムが貰えるようだ。想像を膨らませとけば、それがそのままゲット出来るかもな」
「な、いいなーそれ……私のもとには『練達』が届くこと待っておこうかな」
そう言って各々ログアウトしていった。
カリナは渋い顔を浮かべて笑った。もし手に入れるとしたらなんだろう。想像を胸に彼女もログアウトのボタンを押した。




