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チーム【カクメイト】ガチャは当たるまで回す 

 鯨の魔法が空から降り注ぐ。それを受けるのは巨大なスライムが二体。

 スライムが無事なのはカリナのスキルの影響であった。その背後では作戦会議が進む。


「カリナはなにか大技ある!? それがなきゃイトマと私で連撃かなー?」

「『始原顕現(プロベール)』があるけど、倒せるほどの攻撃は与えられないかも」

「回復されたら損です、一発で削りきれなければ……」


 クレートもわざと魔法を受け打ち返しているが有効打にはならない。さながら壁打ちをしている感覚だ。

 トトは落ち着こうとガチャを回す。それを見てイトマが首を傾げた。


「トトのそのガチャは無限に引けるの?」

「違う。五分に一回引けるようになって、引かなかったらストックする。けどお金が必要」

「お金、たくさん持ってるよね?」

「友達がくれる。だからお金の心配はない」


 トトの当てたアイテムが宙から降ってくる。

 アイテムの種類はランダムで、モンスターのドロップや店で買える物があった。カリナは降ってきたアイテムが気になる。


「これってなんだろう?」

「メガネ? なにかな!」


 メイトにメガネを渡すと掛ける。

 すると目を見開いて驚く。


「それは相手のステータスが分かるメガネ。『C(コモン)』だしあげる」


 トトがこちらを見ずにそういった。

 クレートがメガネをまじまじと見つめる。彼の指輪が光っているのが分かった。

 その時、イトマとカリナが閃く。

 カリナは自分の鑑定のスキルを試しに使うと、クレートの腕を握った。


「クレートってスキルを核にできたりするの?」

「え、可能ではありますが。なにをするつもりですか……?」

「た、例えば、スキル同士の合成とかも出来るってこと!?」

「それって……」


 クレートの右手にメガネを握らせ、カリナは鑑定を使う。

 彼は察したのか、それぞれの核を抽出する。カリナの体が軽くなる。


「【核・融合】」


 彼は融合した核をカリナの腕を握りアウトプットを始めると、カリナの視界が変わっていく。



 スキル取得

【可変鑑定】



 クレート


 HP 300/300

 MP 70/70



 頭の上にステータスが見える。防具を見ると防御力の数値が青色で浮かび上がる。

 鯨の方を見つめると、数多の数値が鯨を覆っているのが分かる。そのうち、緑に発光している数字が毎秒出現していた。あれが回復を表す数値だと確信する。


「ありがとう、クレート……スキルゲットできちゃったよ!!」

「え! え! それってすごくない!! さすがカリナだよ!!」

「ま、待ってください!! これって、だって……」


 クレートは自分でやったこととは言え、それを理解したくなかった。

 もし彼女のスキルを無制限に合成して、それもスキルとは関係のないアイテムや武器から核だけの抜き取りスキルへ転用出来るとするならば……

 彼はカリナの可能性を理解して青ざめる。


「カリナ様、今回の戦い以外では『核・融合』は使いませんからね……!!」

「戦いでは使ってくれるってことだよね!」


 カリナは鯨を睨みつける。あの緑の数値をどうにかすれば勝てると理解したからだ。

 それとは別に、イトマはトトの頭の上にそっと手のひらを乗せると、暇を注入していた。


「ど、どう……?」

「っ!! 早くなってる、すぐガチャが回せる」


 空から降り注ぐアイテムが辺りに散らばる。

 五人にステータス向上のバフが何度も掛けられ、騒然としていた。


「なにこれ! めっちゃ動けるんだけど!!」

「すごい、ステータスの数字がどんどん上がっていってる!」

「よし、当たりだ!! 『閑暇・投与』はガチャを回す速度も上げられるんだ!」

「す、すごいです!! これが生産職上位……見届けられて良かった」


 四人の声に応答するように空は徐々に暗くなっていく。

 そして流れるBGMは、四人の声をかき消して流れた。辺りのプレイヤーが騒がしくなる。

 空から降りてくる一本のスタッフ。それは金に光っており、杖の先には月の飾りが付いている。

 トトは大事にしていた大剣をその場に置くと、当たったスタッフを握る。


「『SSR』が、当たった」


 カリナはそのスタッフを見て息を飲み込む。

 魔法攻撃力の数値が四桁にまで達しており、大規模魔法が印字されているからだ。

 トトのステータスは限界を超えて上昇しており、準備は万端であった。

 少女はスタッフを掲げると、魔法を唱える。

 刹那。その場の全ての魔力がスタッフへと集まる。

 光が点となり鯨を滅する。


「【天光極大魔煌点滅リベレーション・アルカナ・フォーカス】」


 光は、線ではなかった。空が裂ける。遅れて、世界が追いつく。

 空を貫いた極光は、雲を蒸発させ、遠くの地平を白く染め上げる。

 もし海があれば、きっと割れていた。

 超位。災害級。

 その名に恥じぬ一撃だった。

 鯨の胴体が爆ぜる。巨大な体が軋み、空気が震える。


「やった……?」


 トトの声が震える。

 だが、カリナの視界には、緑の数字がまだ残っていた。

 三割。確かに削った。だが、消えていない。


「……まだ、生きてる」


 鯨は悲鳴のような振動を放つと、ゆっくりと高度を下げ始めた。

 高空遊泳をやめ、低空へ。それは明確な意思表示だった。

 次の瞬間、空が魔法陣で埋まった。


「来るよ!!」

「スライム召喚!!!」


 水、土、風属性の大スライムを召喚して五人を囲む。

 光線が降り、火柱が落ち、雷が裂く。地面が爆ぜて、空気が焦げる。


「全快する気だね!! 止めるよ!」

「トト、行けるかい!?」

「こ、怖いけど……」

「私に任せて!! イトマとトトは一緒にガチャを、クレートとカリナは打開出来るスキルを探って!!」

「クレート、任せたよ!」

「ラトラス様にいいところを見せるためです! 決して勝つためではありません!」


 イトマは城兵、クレートは僧兵として動き始める。

 それについていくトトは歩兵として、カリナは柔軟に動くために『念動』で捕まる。

 魔法の雨が止まらない。

 体が濡れて肌が痺れる。しかしカリナはイメージができた。それは新たなスキルの片鱗。


「もう回復は終わりだよ」


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