職業【遊び人】各プレイヤーが集結する
「あっ! おーい、カリナっ!!」
「レッカ! 良かった、大丈夫だった?」
「平気平気!」
レッカとハイタッチをするカリナ。
二人の背後でフラムが邪悪な笑みを浮かべていた。
「おいおい、カモがネギを背負ってきたなぁ。トトがいるじゃねぇか?」
「……」
フラムは握っていた手斧を振りかぶりトトへと飛翔する。
レッカの注意が発せられるよりも速く距離を詰める。だが、その双斧を受けたのはトトでもレッカでもない。
「ら、ラトラス様!」
「……」
ラトラスの鎌が双斧を防いだ。
まるで氷の張ったような眼差しで、フラムは思わずたじろぐ。不意に聞こえた『ラトラス』という名前を聞き、本能が揺らいだ。
「ふ、フラム! その子は私と戦わないって約束したの! だから戦わないであげて」
「そうか。レッカがそう言うなら仕方ねぇ。悪いことをしたなぁ」
睨みながら斧を納める。レッカは焦りで滝のように流れた汗を拭く。
カリナはフラムの腕を掴むと、勝手に動かないように注意した。
イトマは少女と目線を合わせる。
「それよりも、トトさん、だよね! 俺会ってみたかったんだよ!」
「は、初めまして……」
少女は緊張して声が震えていた。しかし目線を上げると、息を漏らした。
そこには巨大なモンスター、レッカが並んで驚いている。
「レッカ、あれが……」
「第五階層ボス、だよね! カリナ」
「そうだね。僕は戦おうと思うよ、レッカはどうする?」
「あ、あれと戦おうとしてるの……? 流石はカリナだね」
レッカは腕をばってんにクロスさせる。
フラムは笑って肩を組むと、カリナの邪魔をするプレイヤーを倒すという話していた。レッカもその方針で戦うようだ。
カリナはトトを横目で見る、彼女がじっと鯨の方を見つめるのが理解できた。
「トト、一緒に戦おう」
「うん」
トトは思わずそう呟いていた。
ハッとして目線を上げると、笑顔を浮かべたカリナと目が合う。
「いや、嘘。戦わない」
「戦わないの? 戦いたいんじゃないの?」
「わ、私二人を待たなきゃだから……」
「二人ならもう来てるよ」
「えっ」
トトが目線を上げると、そこにはコロンとエレンに、それに構うアントとフラム。
カリナはアントの存在に気が着いていたが、あえて触れていなかった。
それはトトのことが気になっていたからである。
「アント!」
「カリナ、無事だな? それにそっちは」
「『エレメント』のトト……です」
「トト! 大丈夫だったか! 襲われなかったか!!」
「トトー!! もう大丈夫だ、私が来たからには巨大な鯨であろうと、私の敵ではない!!」
コロンとエレンがトトを心配するように駆け寄った。
カリナはアントに微笑みかけると、彼は自然と笑った。
「カリナはあれと戦うんだろう? 俺はMPを消耗したくないから手伝えない」
「もちろん、そこまで欲張りじゃないからね」
「あれを倒したら集合しよう、いいなカリナ。倒されても集合だ」
「その心配は要らないんじゃない?」
「心配してないからわざわざ言ってやったんだ」
「言うねぇ、任せといてよ」
三人は戦いへと赴く。フラムがコロンとエレンを無理やり連れて行こうと腕を引っ張っている。
それに二人は精一杯の抵抗をするが、あえなく空へと連れ去られて行かれた。
「あっ……」
「トト、戦うんだよね?」
「……うん、戦う」
トトはそれでもやる気を失ったわけではない。
彼女の闘気は燃え尽きていなかった。
そんな二人の背後に気配を感じる。
「カリナカリナカリナ!! チェス振りだね!!! 私だよ、メイトだよ!!」
「おぉ、メイト! お疲れ様」
馬人のプレイヤーと目が合う。
メイトとはチェスの大会で知り合った仲であった。ちなみにカリナが二位で、メイトが一位である。
「あの鯨と戦うんでしょ! 私も戦うよぉ!! ちゃっちゃと倒して、目指せナンバーワンってね!!」
「やかましい仲間が増えたねぇ」
「カリナ……この人、怖い……」
イトマが薄目で話すと、追随するようにトトが話す。
そんな二人を励ますように、メイトは鼓舞する。
「私、君たちのこと知ってるよ!! 『百鬼星行』のイトマと『エレメント』のトトでしょ!? よろしくね! 私はメイト、皆の『仲間』だよ!」
青のポニーテールが揺れて、二人は覇気で声を発せれずにいた。
その背後から話しかけてくる存在が若干一名。
「我々も参加しますよ! ですので無視しないでください!!」
「おっ! 『キティー』のクレートだね?」
「ラトラスも参加するの?」
カリナはラトラスに声を掛けると、その首をおもむろに振る。
クレートはそれを見て目を点にさせた。彼は先程参加すると伝えられていた。しかし今彼女は参加しないと言っている。
「ど、どういうことですかラトラス様……まさか」
「……」
ラトラスが鷹揚に頷くと、クレートは顔を青ざめた。
彼女が言いたいのは、クレートだけが参加するということだ。ラトラスは振り返ると歩を進める。
「ら、ラトラス様!?」
「仲間ってもんは、世知辛いねぇ」
「何いってんの! 信頼でしょ!! クレート、良かったね!!」
「よ、よくありません!! ら、ラトラス様、どうか御慈悲を……!!」
ラトラスが小さく呟く。カリナはそれを聞き取れなかったが、ゆっくりとこちらへ戻ってきたクレートの表情は、まるで蛇に睨まれた蛙のようであった。
そうして五人は集結する。
「五人であれと戦うんだね! 勝てるかな?」
「最高じゃん!! 私たちの力があればあんな鯨、ワンパンのパンチで粉砕だよ!!」
「そ、それ本気で言ってますか!? 皆さんのこと、僕知りませんからね!!」
「俺は知ってるよ、『核操者』のクレート。最近参加した新規プレイヤーだよね」
「私は誰も知らない。知ってる人は襲ってきた人だけ。でもやるよ。やれるだけやる」
五人は鯨を見据える。
この戦いは後に『RCO』を象徴する歴史的なバトルになることを、彼らは誰も知り得なかった。
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