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職業【銃使い】女王となる

アントは自分のMPを確認する。


「これ、俺必要だったか……?」


目の前で繰り広げられる戦闘は、自分の想像を遥かに超える。

彼は自分が弱いとは思っていなかった。一応職業は進化しているし、職業の種類も当たりの部類だ。

それに、【鎖破悪狼(フェンリル)】と【戦場掌握】を獲得した自分は空をも自由に駆けられる。そう思っていた。

だが現状はどうだ?


「来たぜ!! 【城兵行使(ルーク・ムーブ)】、クリティカルヒットだ!!」

「【僧兵行使(ビショップ・ムーブ)】、『天光(ルミナス)大魔嵐線網(・テンペストレイ)』!!」


二人の男が宙を瞬時に移動すると、打撃と魔法を手早く与えた。

その攻撃は怪鳥を内側から破壊する。空を歩くように地面へと降りてくると、セレナを守るように囲う。


「アント!! どうだ、恐れ入っただろう?」

「……さすが噂のシルフ様だ。四層のボスにこんな簡単にダメージを与えるやつは見たことがない。恐れ入った」

「そうでしょう!? 私たち五人が揃えば誰にも負けません!!」


セレナが鉄の錫杖を振ると、血流が早まる。

MPが溜まり、マガジンが生成される。彼だって遅れを取るわけには行かないのだ。

『アンノウン』の恥にはなりたくない。


「ところで、俺にこの役職を与えてよかったのか?」

「俺たちはすでに慣れてるんだ! それにこれがちょうどいいんだろ? なぁメイト!」

「分かってんじゃん! 私の戦略に間違いはないよ! アントならやってくれる、でしょ!?」

「俺達が敵同士であることは理解しとけよ」


メイトの職業【西将者】は、チェスが由来になっていた。

カリナと同じく、職業が進化しても名前が変わらない特殊な職業である。

この職業の能力は、目の前にチェス盤を出して自由にチェスができるだけであった。

しかしさすがは生粋のチェス好き。彼女は誰よりも早く職業を進化させて、それを戦闘に応用していた。


「【女王行使(クイーン・ムーブ)】」


アントが口角を上げて発した。そのスキルを発動した途端、彼は怪鳥の目の前にまで移動を行う。

彼女のスキルは主に二つに分類される。役職の指定と、役職の行使である。

アントに与えられた役職は『女王(クイーン)』であり、チェスでは最強のコマであった。

彼が『女王』となると、『女王行使(クイーン・ムーブ)』を使うことが出来る。

役職の行使の内容は役職によって変化する。『女王(クイーン)』であれば、防御力・魔法防御力が極端に減る代わりに、攻撃力・魔法攻撃力の数値が爆発的に増える。また、半径十メートルの範囲を自由に移動することができる。


「『深淵(アビス)大魔冥珠(オーバーレイン)』」

「ヒューヒュー!! いいよいいよ、かっこいいねぇ!!」

「【王行使(キング・ムーブ)】」


セレナの声が届くと、瞬時に元いた場所に戻った。ヒットアンドアウェイというやつだ。

セレナの役職は『王』であり、全員に移動の強制が可能だ。

彼女がシルフやソートに指示をしているのが理解できなかったが、今実際に感じて分かった。

アントが魔法で怪鳥を怯ませた隙をついて、ソロモンが攻撃をするために走り出す。


「的確な指示だ。最速で階層を攻略しているチームの戦い方はすごいな」

「舐めてもらっては困りますよ! チームが全員揃った我々に勝るものはありません!」


セレナが胸を張ると、他の三人も同時にセレナを真似た。攻撃を終えたソロモンが困り眉を浮かべて帰って来る。


「なにしてんだよ……ほら、最後だ。行けよメイト」

「ありがとうソロモン! 【騎士行使(ナイト・ムーブ)】!」


ポニーテールが揺れたかと思うと、その姿は怪鳥の上部。

手元に握る斧槍が怪鳥の頭を貫く。

すると、怪鳥の体がみるみるうちに光となって消えていく。戦闘を開始して十分も経っていなかった。


「やったー!! 討伐成功!」

「やりましたね!! これでポイントゲットです!」


アントは画面を確認すると、大量のポイントが取得できていた。これまでの遅れを無視できるほどの収穫だ。

カリナにすぐに向かう旨のメッセージを送ると、皆に話しかける。


「俺は一層へ向かう。お前らはどうするんだ」

「シルフとソートは二層に! メイトはアントと一緒に一層に行ってください」

「……え、待て! 俺は?」

「ソロモンは私と二層にいる残ったプレイヤーを殲滅です!」

「うそ、だろ……?」


ソロモンはわかりやすく凹む。メイトの方を見て、一緒に行きたいと悲願する。

そんな彼を見捨てて、セレナは頭を錫杖でコツコツと叩く。


「それじゃあ行動開始! メッセージを送ったら再度合流です!」

「おー!!」


メイトがソロモンを見向きもせずに走り出すので、アントは着いていく。

少しは声をかけてやってもいいだろうと、アントはソロモンに同情するのであった。


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