職業【遊び人】所持金に悩む
「素早さ1でも10分で着いた。親切設計だね」
初期地点から少し離れた場所にある町。
そこはリリース直後のゲームと言うこともあり、大勢の人で賑わっていた。
町は広く、道具屋や装備屋などの店舗がいくつも並んでいる。
町の中央には噴水がある広場がある。そこには掲示板が立っており、プレイヤーが異様に集まっているのが見て取れた。
「あの人だかり……なんだろう?」
人混みを分けて、申し訳なさそうに前へと進む。
掲示板の上部には、大きな字で『クエスト』と書かれていた。ここで自分のやることを決められるようだ。
クエストには二種類あり、一つはゲーム側が用意したもの、そしてもう一つはプレイヤーからプレイヤーへ依頼する物。
どうやら依頼と報酬さえあればクエストとして申請できるらしい。
「うーん……ひとまずはお金稼ぎかな。装備を買うためのお金が必要でしょ?」
彼女は武器が欲しかった。それは先行プレイの動画を見ていた時に、剣を振って敵をなぎ倒す姿に憧れたからだ。
武器を得る方法は武器屋での購入か、クエストとして受注するかの二つだろう。
「普通のお金とは別で、『遊び人』でも装備できるための加工にもお金がかかるよね」
武器を使わないにしろ、何かしらのアイテムは使いたい。毒や爆弾などの攻撃系アイテムがあれば、少しは戦闘が有利になるというものだ。
そうしたアイテムを得るにしろ、今はとにかくお金が必要だ。
彼女は掲示板を見渡すと、スライム討伐依頼というクエストを見つけたためそれを受諾する。
こうすればスライムをただ倒すだけでお金を得れるし、クエストクリアでもお金が稼げる。
「お得だね、これこそ頭脳プレイというものよ」
彼女は頭を指で叩く。
これは他のプレイヤーからすれば当たり前のことであり、決して頭脳プレイとは言えない。
町から出ると、スライムを探すために少し歩いて行った。途端にスキル取得を知らせる音が流れる。
不思議に思い画面を開く。
空中で指をスワイプさせると薄青色のパネルが浮かぶ。これをユーザーは『画面』と読んでいた。
ステータスの確認やゲームの情報、スキルについて書かれているのだ。
スキル獲得
【歩耐性】
手に入れたスキルは、移動時に疲れにくくなる効果だった。
歩いているだけでスキルが得られるなんて想像もしていなかった。先行プレイの動画を見ていても、自然にスキルを取得するなんてことはなかったからだ。
本来スキルの取得は基礎ポイントを使ったり、一定のレベルになった時に得られるもののはずだ。
しかしこの調子でスキルを取得していけば、いずれはスキルのみで戦うことも可能になるのではないだろうか?
「これは、胸が躍るね!」
ステータスは弱いが、スキルで敵を翻弄するプレイヤーは強キャラに決まっている。
剣の達人や最強の魔法使いなどの戦いにあこがれていたが、如何せん難しそうだ。その点、スキルだけを盛った戦い方であれば、必要な思考も少量で済むというものだ。
彼女は膨らみまくった想像ににやけながら、目についたスライムに殴りかかった。




