職業【遊び人】素寒貧を強いられます
「いい方法思いついた!」
カリナは一つの作戦を実行する。
第一階層唯一の敵であるスライムは、武器さえあれば簡単に倒せる雑魚だ。
スキル「七転び八起き」の効果は、ダメージをくらう度に攻撃力が上がるという効果だ。
次に自身が受けたダメージは町に入ることで回復することができる。しかしスライムは町に侵入することはできない。
それを踏まえて立てた作戦は、スライムからダメージをわざと受け、受けたダメージを町に入り回復。そして「七転び八起き」の効果で上がった攻撃力のまま一度だけ攻撃をすると、体力の少ないスライムは一発で倒せるという作戦だ。
こうすることで与える攻撃の必要回数を極限にまで減らすという戦法。彼女は不敵な笑みを浮かべる。
「僕は頭がいいなぁ」
既に攻略法として確約されているのは、彼女には内緒である。
彼女は一時間くらいこの作戦のサイクルを回し、所持金を五百まで貯めた。クエストにより効率的にお金を得ることができたので非常に満足だ。
今回の作戦では、副産物のほうが多く手に入った。スキルである。
スキル取得
【スライム特攻】【スライム耐性】【積年の恨み】【練達】
『スライム特攻』『スライム耐性』は共にスライムに対してステータスが上がるというものだった。
『積年の恨み』は一度倒した敵に対して攻撃力が上昇するようだ、こんな万能なスキルをスライムを倒しただけで手に入れていいものだろうか。
『練達』はクエストをクリアしたときに得られる報酬に、プラスの補正がかかるらしい。これが重宝した。
徒手での戦い方も何となく理解できたので、満足のいく狩りであった。
潤った財布を片手に町へと戻って行く。
ひとまず得たいのは武器と防具だ。
おそらく装備することはできないだろうが、一度は試してみたいのだ。
彼女は迷わず武器屋に入る。
「いらっしゃい」
武器屋の奥へと突き進むと、大柄な眼帯をした男の人が立っていた。NPCなのだろう。こっちをじっと見つめて動かない。
「あ、あのっ、僕が装備できる武器って、ありますか?」
「残念ながら今紹介できる武器はないな!」
有無を言わさずそう言われた。
もう少し希望を抱かせても良いだろうに、彼女は頬を膨らませて店を出る。
一応隣接していた防具屋にも入ってみる。
防具屋の店主は肩の露出した女の人だった。
「いらっしゃい」
「僕が装備できる防具は……」
「残念ね、今紹介できる防具はないわ」
店主はそれから何も言うことなく温かい目で彼女のことを見ていた。
空しい。彼女はこのやりどころのない気持ちを抱えたまま店を出た。
結局彼女は武器も防具も装備できないようだ。記載通りだったが、こうもあっさりと現実を突きつけられて、はいそうですかと食い下がれるほど彼女は単純でなかった。
彼女はもう一度町に出て、他の案を模索し始めたのだった。




