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職業【先導者】悪魔を断つ

「あぁーーーー……」

「「……」」


 コロンとソロモンの脳内は、疑問符で埋め尽くされていた。

 フラムが水打の魔法を放ち、それを自分の頭に掛けているからだ。

 びちゃびちゃと音を立てて水が消えていく。灰の髪の毛が逆立つ。


「なぁ、なにしてるんだ」

「見りゃ分かんだろ。水浴びてんだ」

「僕たちが聞きたいのはそうじゃなく……」


 フラムは次に風撃を使用し水を飛ばす。

 人差し指から放たれる風は、髪をなびかせた。

 首筋があらわになり、コロンは目をそらした。しかし、赤面する頬は嘘を付けない。


「……俺達を置いてかないでくれ」

「あぁ分かった分かった言うよ……私はな、頭が硬いんだ」

「それはよく分かった」

「同意です」

「お前ら、そういうのは思ってても言うもんじゃねぇよ」


 髪をまとめて、フラムは歩き出した。

 二人もそれに着いていく。


「だから思考をリセットするために、水を浴びることにしたんだよ」

「良いジンクスだな。それに、髪をまとめてるほうが似合ってて良い」


 ソロモンの何気ない言葉にコロンは目を覆った。

 なんて人の心を考えない人なのだろうと、ヒヤヒヤしていたが、いつまで経っても怒号が聞こえない。

 じっとフラムの方を見ると、少し口角をあげているのが分かった。


「……フラムさん?」

「あ、あぁ。そんで、ここはどこだか分かるか?」

「第六層です」

「もう少しでボスの居所だ」

「そうだ。向日葵を倒した時、私たちは悪魔を召喚して助けてもらっただろ」


 三人はその時のことを思い出す。

 それは目の前に広がる広間で行われた、戦闘。

 広間を前にして、みなが息を飲む。


「今度の敵は、その悪魔だ」


 そう言うと、フラムは一歩前進する。

 そうして、戦闘が開始された。



 触域葵禍樹(グリーン=インベイド)

 HP 300/300 MP 100/100



 何度も討伐したので理解している。このボスの戦い方。

 三人は触手を迎え撃つ。それぞれ斧、大剣、片手剣を握った。

 草の根が留まることなく三人を攻撃し始める。フラムはモンスターを召喚すると、攻撃を指示した。


「やるぞテメェら!!」


 召喚に応じるは頂脳ガイコツに亡失ナイト。魔生族を代表するモンスターが錆びた剣を握って戦闘に加わった。

 本来スピードの遅い彼らの動きが、限界まで上昇している。

 それは、フラムの【裏切り者】による効果。二種のモンスターは悪魔の力を持ったのだ。

 三人の背後にスペースが生まれる。そしてフラムの手が空いた瞬間、第二の戦闘が開始される。


「【悪魔召喚】」


 召喚に応じる影。

 その存在に、十のモンスターとボスは畏怖する。

 しかし三人は、もう慣れたものだった。


「フラムさん! 任せて良いんですよね!?」

「俺達はお前を死守するからな!!」

「あぁ。任せたぜ、我が戦友よ」


 ニヒルな笑みを浮かべる彼女は、既に【堕天王(サタナエル)】の胸元へと飛び込んでいた。


「これで終わったら無問題!!」


 影を一刀両断する。

 当然、その攻撃が悪魔を断つことはなかった。

 フラムの舌打ちをすると同時に、悪魔による例の攻撃が開始された。


「来るぞ!!」


 二人は『悪魔召喚』や『竜人化』を使用する。三人を庇うようにフラムは飛び上がると、硬質化された触手の壁を作る。

 その行動を終えたと同時に、全ての触手が消えた。

 放たれた覇気。黒の陰影は、万物を包み込み、冥土へ送る。


「クッ!!」

「……っ! 行けますよ……!!」


 三人はまだ生きている。皮膚がただれて、穴が空く。それでも三人は立っていた。

 それが勝機であった。


「【使役】……っ!」


 フラムが消えかける触手に触れた。

 瞬間。この空間を覆う全ての草の根が【堕天王(サタナエル)】目掛けて突き刺さる。

触域葵禍樹(グリーン=インベイド)』を味方に付けたのだ。形成は逆転、数では勝っていた。

 影に触手が触れられないのか、数多の草の根を黒の粒子で消し炭にすると、こちらへと歩いてくるのが分かった。


「させませんよ!!」


 竜と化し、竜鱗を纏ったコロン。

 フラムへと降ろされた斬撃を、片手剣で守り通した。


「ゥグッ!! お、重い……!」

「よくやった、コロン!」


 ソロモンが大剣を横に薙ぐ。

 雲を裂くような一撃、それは空間を歪ませ、凪いだ風を騒がせた。

 影がまとまる、それが顕現すると同時に、二人は気がついた。


「「――!!!」」


 その存在の威圧感。存在感。圧倒的な、上位存在。

 しかし彼女は臆さない。


「一撃でも入れれば、私たちの勝ちだ!!」


 フラムの双撃。空が嘶く。


「【重烈打震撃(ドミネイト・バッシュ)】!!」


 起こる、悪魔の咆哮。

 鳴り響く、スキル取得音。

 この勝負に勝ったのは、誰でもない。たった一人の、魔王である。



 スキル取得

【魔王覇気】



「魔王の座は譲らねぇぜ」


 コロンは剣を振り下ろし、ソロモンは大剣を地面に突き立てた。

 灰となる向日葵を背に、フラムは二人に微笑みかけた。


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