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職業【銃使い】備えあれば憂いなし

「【灼熱大魔炎球ブラスト・インフェルノ】」


 アントの魔法は地上を焼き尽くす。

 森林を業火へと変える魔法は猫又には効かない。

【紙一重】が割れて、ニーナが姿を表す。


「【虚大魔消撃(デトネートリリース)】」


 中位の魔撃がアントを包む光線となって放たれる。

 たちまち逃げ道を失うが、アントの姿は既にそこにはない。

 猫の背後に姿を表した巨狼は、腕を掴むと、魔弾を放った。


「クッ!」

「座標の計算が早くなったね」

「感覚を掴み始めたんだ」


 この勝負はアントの一本である。

 イトマは猫をそばまでやると、【閑暇:投与】を施した。

 しばらくして、傷口が閉じる。

 彼はスキルは、身体の速度を上げて、結果として自動回復のスピードを上昇し回復することができた。

 ニーナは謝礼を行うと、またしてもアントの前まで躍り出る。

 これの繰り返し。草木は灰になり、焦げた匂いが三人の鼻についた。


「よく飽きないよね、二人とも」

「「……」」


 イトマの言葉は、彼らには届かない。

 二人は再度魔法の放ち合う。ニーナの剣がたまに巨狼を裂く。

 咆哮が空間をひしゃげて、イトマは苦笑を浮かべた。

 カリナのようにスキルが得られるわけではない。モンスター相手でもないので、経験値も得られない。当然レベルも上がらない。

 しかし彼らは戦闘をやめない。

 それは、あの日の苦痛をいつまでも覚えているからだ。

 そうして時間が経つ。イトマは自分の中に溜まった『暇』を回収する。この暇を二人に与えるのだ。

 いつまでこうして戦っていれば、ナギやツムギを討つことができるのかとイトマは思案する。

 そんな疑問に終止符を打つのは、彼らの仲間であった。


「暇そうですね。戦いには参加しないのですか」


 背後から声を掛けられた。

 和やかだが毒のある声、振り返ると、そこにはこちらを見下ろしたメドゥーサ。


「……目を合わせちゃったよ」

「今はなにも施してませんよ。マゼランから、仲間の手助けをしてやれと言われて来ました」

「余計なお世話じゃないかい……?」


 眼前に広がるは、疲労困憊の猫と狼。

 新たな気配に目線をよこした瞬間、二人の時は止まった。


「やめにしましょう」


 動けない。

 狼は銃を手放し、猫は本を落とした。


「本当にそうして戦えば勝てるとお思いですか? カリナ様のようにもっと勝ち筋をあげる方法を探そうとはしませんか?」

「……よく言うぜ。俺は勝つためにやってんだよ」

「ニーナの言うとおりだ。強くなれば、勝つ。勝つために、強くならなければならない」

「無知蒙昧の徒に過ぎないですね……」


 サリアは画面を広げて三人に見せつけた。

 イトマは二人に手をやる。暇が体から抜ける感覚。二人はおもむろにサリアの元へと歩み寄ってきた。


「これは?」

「二人の情報です。ナギとツムギは両方同じ種族でした」

「……打開策があんのか?」

「えぇ。『不知火(しらぬい)』、二人の体は本体ではありません」


 サリアの言葉に、三人は耳を貸した。


Tips:サリアの一人称は『わたくし』

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