職業【賢者】スキルを獲得する
大きな爆発のあと、カリナの姿が消えた。
「【自爆】か……逃げられたね」
エスは着地する。
【模倣】を使って相手の技を奪うという新たな戦い方を手に入れたのは良かった。
しかし、新たなスキルはゲットできなかった。
「カリナのスキルは一つも奪えなかったね」
【奪取眼】の他に、スキルを奪うスキルは作れる。
しかしどれも条件が厳しくて使い勝手が悪い。他に愛用しているのは三十秒以上対象を触れていると奪える【接触受領】というスキルだった。
「【奪取眼】と『魅了』は良い手立てだと思ったんだけどな。上手くいかないね」
エスは【常連】で拠点にまで戻る。
十層は今は夜であった。
星空の輝きが、コンクリの窓からよく見える。
「まぁ今は見逃してやるさ。多分カリナは僕に勝つために、もっと強いスキルを生み出すだろう。それを狙えばいい」
エスが星を見つめて高揚していた時、スキル取得音が鳴り響いた。
スキル取得
【強欲】
新たなスキルの自然取得に、エスは驚いた。
「こんなことは久しぶりだ」
早速スキル内容を確認して、彼は悪態をついた。
「神様は性格が悪いね。俺に縛りを付けたか」
その効果は、攻撃を与えた際に、スキルの奪取が可能となるものであった。
しかしそれだけではない。
「対象の体力が低いほど、スキル奪取の成功率向上……」
裏を返せば、相手の体力が満タンであればスキルを奪うことができない。
この効果は【奪取眼】や【接触受領】にも影響するようだ。
カリナやモザンと戦ってきた彼にとって、体力というのはただの飾りである。
彼らには体力の概念がほとんどない。攻撃は効かないし、魔法は反射されて、削れたHPは無限のリソースで回復される。
「それを分かっててこのスキルを与えやがったな」
彼は空をじっと睨む。
強者の戦いには不要なスキルであったが、彼は臆さない。
「とことんやってやるさ」
彼を止めることが出来るのは、神ではないのだから。




