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職業【信仰者】推しの覚醒に目を輝かせる

 サリアといっしょに来ていたのは、第七階層のボス部屋であった。

 アントが軍服兄妹に襲われた場所である。

 二人ともどこか居心地の悪さを抱きつつ、ボスと対面する。

 そこには箱が一つ。


「ここ、二人で来る所じゃないよね……?」

「カリナ様なら余裕でしょう」

「言うよね。この敵魔法効かないから、今までの努力意味ないんだよね」

「面白い冗談です」



 封匣光禍核(パンドラ=コア)

 HP 1000/1000 MP 500/500



 カリナは箱に翠月刀による打撃を与える。戦闘が開始した。

 外殻に描かれた魔法陣が宙を漂うと、魔法が飛んでくる。


「それは効かない。『挑発』」


 魔力は全てカリナに集中する。当然魔法は効かない。


「召喚、紫陽ドリアード」


 そこには、触手を纏った紫陽花。五体召喚すると地面が草の根で覆われる。

 もしゃもしゃと動く姿に、カリナは嫌な顔を浮かべた。


「【硬質化】」


 カリナは走ると、箱に打撃を与えていく。

 ダメージは通っているが、感触が一切ない。

 自身の『可変鑑定』を疑ってしまう。

 紫陽花の花が生み出す触手は『硬質化』によってダイヤモンドと同等の強度を持つ。

 これが箱にただならぬ連撃を与えるのだ。


「カリナ様、早すぎます……」


 箱がおもむろに開き出した。それを『生命感知』で確認したカリナは、『念動』で蓋を閉じないように抑える。

 しかし箱から現れるのは光の波動。


「うぐっ!」


 これが狙い。

 このボスは、箱の中から状態異常を与える光を浴びせてくるのだ。

 カリナは見えなくなった視界に頼ることなく、生命感知で自分の位置を把握した。

 盲目の効果は視界からの情報がゼロになることだ。しかし今のカリナには無駄である。

 箱の中に強い反応がある。おそらく核があるのだろう。

 そこへ触手を忍ばせると、刺すように攻撃を与えていく。



 スキル取得

【盲目耐性】



 それと同時に盲目への耐性を得ると、カリナは喜びで声をあげる。


(……話せない)


 声が出ない。

 沈黙の状態異常。いつの間にか掛けられていた。

 これは発声ができなくなる。つまり魔法が唱えられないのだ。

 無詠唱で放つことが出来ればよかったが、カリナにはそれは不可能だった。

 しかし生命感知により敵の位置は把握しているし、召喚したモンスターへの指示は思考内で完結した。

 つまり今のカリナには見る必要も話す必要もないのだ。

 安堵と同時に、違和感を抱く。


(この状態異常、いつ受けた?)


 箱の動きは常に監視していた。見えなくても動きは分かる。

 つまりこの状態異常の発生元は一つだ。


(それなら次は僕の番だよ)


 カリナは念じる。

 それは思考の共有。彼女は考えたスキルを容易に獲得できるのだ。

 次第に視界も光を得るようになっており、箱へのダメージも蓄積していた。

 そして、スキル取得音が流れる。



 スキル取得

【思念伝達】



(これ、サリアの仕業だよね?)

「うえぇえ!!! い、今……カリナ様の声が……!」


 サリアと目が会う。



 スキル取得

歪視(わいし)の眼】【無詠(むえい)の声】


 どうやら『盲目の体』じゃなかったようだ。

 箱のコアに剣撃を与えると、箱はあっけなく倒されていった。



【第七階層ボスの討伐に成功しました】



 すべての攻撃に【万象致死】が乗っているため当然であった。


(サリア、これは優しさとして受け取っていいんだよね)

「も、もちろん! パンドラが全く沈黙の状態異常を放ってこないので、私のスキルで――」

(最初無銘舎にいる時に言ってくれれば良かったのに)

「……す、すみません」


 彼女に悪意はないのだ。カリナは笑って許す。

 しかしこれで全ての状態異常が揃った。

 そう思っていると、あの声が聞こえる。


『スキルの進化を開始します』


「イェス」


 耐性を得て声が出るようになっていた。

 サリアは目の前の光景に手の組んで目を輝かせる。


(僕は神じゃないんだけど……)

「聞こえてますよ」


『【常在異常】のスキル数超過を確認。進化を行います。レアリティは固有級(ユニーク)です』



 スキル取得

【変異の円環】



『……続いて、スキル譲渡を行います』


「スキル……譲渡?」


 聞いたことのないセリフに、カリナは頭を捻った。

 しかし、これで全ての状態異常系のスキルを手に入れたと思うと、それも納得であった。


『スキル生成。レアリティは希少級です。以上、進化・譲渡を終了します』



 スキル取得

【異常魔導】



「ど、どんなスキルが手に入りましたか?」

「『変異の円環』は『常在異常』の進化版だね。与えた異常が一定時間で増殖・変化だってさ」

「つまり一度だけでも状態異常を与えれば、それが勝手に増えて色々な種類に変化するということですね!」

「『異常魔導』は魔法の属性に状態異常を追加する! いいね、魔法がどんどん強くなる」

「魔法を発動する感じで状態異常を追加できるんですね。私も使っていますが、遠距離への付与は安定しておりよいです」


 二人は獲得したスキルに歓喜していた。

 カリナは次のスキルに向けて歩みだす。

 サリアと分かれた彼女が次に向かったのは、仲間の待つ無銘舎であった。


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