職業【遊び人】初心に帰りスキルを得る
カリナは強くなるために悩む。
初心に戻るという題目上、初めにやることは、スキルの収集である。
「『物理半減』と『魔法半減』みたいな防御系は既にあるから、攻撃かな?」
翠月刀や『常在異常』によって攻撃力は高められているが、それでもフラムほどの実力はない。
そこで攻撃力が高くなるスキルを得られないか、試してみることとした。
カリナは第九階層に向かう。ここはこれまでの階層の全ての要素が詰まっているため、スキル収集に向いていた。
「ここには水棲族がいるんだよね」
海の上を『空中歩行』で移動する。
海中から魔法を放ってくるモンスターに目をつけた。
硬翠サーペント
HP 400/400 MP 100/100
翡翠の鱗を持つ海蛇が、海面から顔を覗かせていた。
彼女はスライムを召喚する。スライムは『空中歩行』で空を漂いながら魔弾を放つ。
無詠唱で安定して打てる魔法が魔弾なのだ。魔力弾が海蛇を集中砲火する。
それは虐殺であった。カリナは申し訳なさそうな顔を浮かべる。一方的な攻撃に、海蛇はなにもできない。
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【遠隔召喚】
「遠くにモンスターを召喚できる……? 階層を離れても出来るんだ。ずるいなぁ……でも操れないと意味なくない?」
これは宝の持ち腐れかなと苦笑を浮かべた。
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【水棲致死】【水半減】【統御・硬翠サーペント】【始原・硬翠サーペント】
統御は『統御生多相』に、始原は『始原同一化』に統合された。
海から離れると、次は森林である。
第九階層の森林は六層と比べて草木の数は減っていた。
森林というよりは林である。草は地面を覆っている。弱い虫族がいるのが特徴だ。
カリナは林の中があまり好きではなかった。
それは、普通は動かない植物がうねうねと動いているからだ。
「うわぁ……」
紫陽ドリアード
HP 200/200 MP 300/300
数多の紫の小さな花を付けた切り株が、地面をバタバタと這っている。
大きさはカリナと同じ程なのに、苦しそうに荒れ狂う姿は虫さながら。
見ないようにしながら、炎スライムに攻撃してもらう。
どうせ攻撃を食らってもダメージはないのだ。カリナは目を多いながら神に懺悔していた。
「こ、これも強くなるため……ごめんなさい、命に感謝しております……」
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【生命感知】
スキルを得た瞬間、背後に気配を感じた。
具体的には、音や触覚が反応しているが、実際にはそれは起きていない。
自分の後ろからゴワゴワと触られている感覚、背後にモンスターがいると言っているのだろう。
「これは今じゃないよ……」
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【植物致死】【土半減】【統御・紫陽ドリアード】【始原・紫陽ドリアード】
「そういえばダリアが触手を使ってたよね……?」
『始原同一化:紫陽ドリアード』を使うと腕が草の根になった。彼が操っていた触手である。
翼のときと同様に全く動かないので、自分には意味がない。だが彼はこのスキルを使っていたのかも知れない。
「これを自分の意思で自在に操れるのがフラムだよね」
フラムには頭が上がらない。
あれから何度も翼の使い方を教わったが、ピコピコ反応するだけで、それ以上の成果は得られなかった。
変わりに『落下半減』というスキルを得たが、翼を広げていないと意味がなく、彼女には不必要であった。
この調子でカリナは様々な場所で戦闘を行った。
地下では鉱物が意思を持って動いていた。
金剛ゴーレム
HP 700/700 MP 100/100
一メートル程のダイヤの塊だ。
小石のような大きさの手足が生えており、よちよちと歩いている。
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【物質致死】【光半減】【統御・金剛ゴーレム】【始原・金剛ゴーレム】
「身体は小さいのに、体力多すぎじゃない……?」
倒すのに時間がかかったが、スキルを取得してからは容易であった。
今回嬉しかったのは、『始原同一化:金剛ゴーレム』を使った瞬間、スキルを得たことだ。
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【硬質化】
身体が金属のように固くなる。硬度はダイヤ並だ。
ほとんどのダメージが既に効かないが、これを使えば更にダメージを減らすことが出来る。
そして更に良い点が、これがスキルなので召喚したモンスターにも適応されることだった。
「とは言っても……これは……」
試しにガチガチのスライムを作ってみた。水色に輝くドットのスライムだ。
これは神への冒涜ではないだろうか? 光り輝く神殿で、スライムが甲高い音を響かせながら跳ねる。
今後召喚するときは、デフォルトでこのスライムにしようと思った。
「金剛スライムだね」
カリナは次に広原に出る。
天気の悪い方へと向かえば、そこには魔生族の巣窟であった。
呪腕トロール
HP 800/800 MP 0/0
トロールに掴まれると、懐かしい感覚に襲われる。
「あっ、呪いだ」
状態異常の一つ、呪いである。これを受けると、相手にダメージを与えられない。
それに、身体が重く感じて動きづらくなる。だが、カリナには関係ない。
「僕が攻撃をできないだけで、召喚したモンスターは出来るもんね」
金剛スライムを召喚すると、魔弾を唱えてもらう。
しかし体力が多くダメージが通りづらい。
身動きが取れないが掌は動いたため、画面を操作する。
「これまでにゲットできてる状態異常は五つなんだね」
ポーションを呑んでゲットした毒。ヘビを倒してゲットした麻痺。剣を振りながら得た鈍足と混乱。あとはフラムと地下に潜ったときの火傷だ。
もしこのまま全ての状態異常をゲットできたら面白いだろう。
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【呪い半減】
「この調子だよー! あ、でもこのままだと効率悪いか」
フラムであれば自分の体をスライムに変えて脱出するだろうが、カリナがそんなことをすれば、元の体に戻れなくなってしまう。
カリナは召喚した金剛スライムの内、一体を【念動】で掴む。
どうやらこのスライムは力の値も極端に高いようで、カリナを掴んだトロールごと動かす事ができる。
トロールは麻痺で動けないし、スピードは遅いが動かないよりはマシだ。
近くによってきたゴブリンやオークにヘビを撒いて麻痺を与えていると、充分な時間が経った。
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【呪縛の体】
もちろん『常在異常』へ統合される。
「もう倒しちゃっていいかな? 『灼熱大魔炎球』!」
スタッフをインベントリから取り出すと、即座に魔法を放った。
自然に魔法が発動出来るようになったのは、カリナが魔法の練習を怠らなかったためだ。
今やニーナと戦ったときのアントと同じくらいには、魔法の扱いが上手くなっている。
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【魔生致死】【闇半減】【統御・呪腕トロール】【始原・呪腕トロール】
スキルをゲットできてホクホク顔のカリナの耳に声が届く。
それは、統御をするときに声を掛けてくる天の声であった。
『スキルの重複を確認。合成・統合を開始しますか?』
今となれば聞き慣れたもんだ。
心のなかでイェスと唱えると、頭の中でガチャガチャと音が響く。
『【水半減】【土半減】【光半減】【闇半減】【氷半減】【雷半減】を合成。レアリティは希少級です。
【魔獣致死】【水棲致死】【植物致死】【物質致死】【魔生致死】を統合。レアリティは固有級です。』
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【魔属性半減】【万象致死】
『……重複を確認。
【魔属性半減】【魔法耐性】を合成。レアリティは固有級です。
……スキルの余剰を確認。新たにスキルを生成。レアリティは希少級です。
合成・統合を終了します。』
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【魔法拒絶】【魔力蓄積】
全ての魔属性への大きな耐性と、全ての種族のモンスターへの大きな特攻が手に入った。
『魔法拒絶』は魔法への耐性で、確率でダメージが無くなったり、反射が行われたりする。
『魔力蓄積』は魔法を受けた際に、そのMPを自分のものへと変えることが出来る。
「これゲットしてから鯨と戦いたかったな……」
今となってはもう遅かった、強いことには変わりないが。
「『呪縛の体』が手に入ったし、次は状態異常かな?」
カリナは次のスキル取得のために、歩を進める。
「ん?」
『生命感知』が作動した。
背後に人がいる気がするが、そこには誰もいない。
「バグなのかな? でも人工知能がすぐに対処してくれるはずだし……」
既になにも感じなくなっていた。気の所為だろうか? そう思い、カリナは無視する。
『……』
その正体に気づく事なく。




