表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/123

ギルド【アンノウン】無銘舎で戦闘を復習する

 四人は一つの画面を注視していた。

 そこには、二人の軍服のプレイヤーに襲われるアントと、見知った二人の姿。

 動画の前半では、ニーナがイライラとしているシーンが流れており、中盤では、一緒にボス討伐を行っていた。

 動画の後半での奇襲は、想像を絶する光景が映し出されていた。


「……」


 フラムは動画の最後で見るのをやめて、窓の外へ視線を逸らした。

 レッカとカリナは終始動画を見ており、内容を頭の中でまとめていた。


「というわけだ」

「最低な野郎だ。絶対に許さねぇ」

「アント……」

「安心しろ、もう気にしてない。スキルは奪われていないし、こうして逃された。充分だろう?」

「だめだよ、僕もフラムと同意見。同じ目に合わすまでは、他のことができないね」

「お前らなぁ……」


 ため息をついて画面を消した。

 椅子に座ってうーむと唸る。


「なにが悩ましい」

「攻撃が効かない点だよ。詳しく教えてくれる?」

「あぁ、裏庭にいくぞ」


 アントが廊下の窓をまたいで外へと出る。

 そこは裏庭になっていた。建物のそばには花壇がいくつも並んでおり、いくつも雑草が生い茂っていた。

 広さはさほどなく、人が十人ほど手を広げられる程度である。

 三人は窓の外を見る。そこには、『二人のレッカ』と『二人のアント』の姿があった。


「私のスキル、『偽装』! 錬金術師の最先端技術だよ?」

「あんた、何でも出来るんだなぁ……」

「僕の目にはどれもレッカに見えるよ……?」

「それはカリナが常に『可変鑑定』をオンにしてるからだよ! これは私の『複製』の姿を『偽装』で変えて、動画の中の二人と同じ動作を行うように『鏡像』で動かしてるから、鑑定されたら姿がバレるんだよ」

「な、なにを言ってるのか分かんねぇ……」

「とにかく俺達の仲間はすごい。それでいいだろ」


 アントは軍服兄妹の姿をまじまじと見つめていた。怒りは無いようで、単純な興味のようである。

 カリナは『可変鑑定』を切る。すると、軍服の二人のプレイヤーの姿が現れた。近くを浮遊する灯籠まで再現されている。


「こっちの暖色系のラインが入ってるのが『ナギ』で、こっちが『ツムギ』」

「兄妹か。お揃いの名前に姿。この調子でいけば職業も種族も近いのかもな」

「二人とも表情がないよね。人形みたい」


 近くで動画を再生すると、二人のプレイヤーもゆっくりと動き出した。

 アントの姿も近くにあった。これもレッカによって動画と同じ動きをする複製体である。

 彼は銃を構えて魔法を放った。


「『灼熱大魔炎球ブラスト・インフェルノ』」


 魔法が放たれる。その大きさは実寸と比べても極小で、これは複製体のMPに依存しているのが分かった。

 マッチのような火の光は、ツムギに当たると、燃え尽きる。


「『迅射貫撃(ラピット・ピアーズ)』」


 銃から放たれた弾丸は、アントの少し上を掠ると、動きを止める。


「俺はこの時、巨狼を召喚していたんだ。それに当たって、ダメージを負った」

「見てる感じ、初めからダメージ覚悟で攻撃をしているな」

「というよりもさ、攻撃が効かないことがまるで分かってるみたい」

「そんな事あり得る!? それって最強じゃん!」


 レッカが目をバツにして叫ぶ。

 その通りだ。これはゲームであり、戦いには勝敗がつきものである。

 それなのに効かない、無駄だということがあって良いのだろうか?


「こんなことをカリナに言うのは癪だが、攻撃が効かないってのはよくあることだ」

「……え?」

「あんただって、スライムからの攻撃は効かないだろ」

「あっ」


 その言葉に声を漏らした。

 冷や汗が額を流れるのを感じる。


「……今のは無し。続けてよ」

「あのなぁ……まぁいい。次にこの場面」


 アントの姿はイトマに変わった。

 彼は自身にバフを掛けると、走り出す。


「スローにしている。ここでイトマが『閑暇:即応』で加速して、剣で斬りつける」


 言葉通りにイトマがツムギの身体に対して、剣を振った。

 しかし剣は彼の身体に当たることなくすり抜ける。レッカもこの挙動には驚いていた。


「スキルじゃねぇのか? 一時透明化的なよぉ」

「それもあり得るが、それじゃあ他の攻撃も透明化でよくなるだろ」

「そ、そうか。それにしても攻撃が効かないだけじゃなく、そもそも当たらないなんてな」


 スローでイトマの頭に銃がぶつけられる。この先は気の毒なので、レッカは複製体の動きを止めた。


「それで、あんたの方はどうなんだ」

「私? 私たちを襲ったのは、ダリア。自分で名乗ってたよ。確か『地面師』の『樹人(トレント)』だって」

「これは錬金術師様の最新技術は使わねぇのか」

「とんでもない範囲攻撃だったし無茶苦茶なスキルを使ってきたんだよ! それを再現するのは難しいね」

「どうせ動画は見せてもらっただろ。大人しく満足しとけ」

「それもそうか……」


 フラムは画面を開く。

 そこには、ダリアについてのプレイヤー情報が残っていた。

 彼が一生懸命に解説してくれたお陰で様々な情報が収集できた。主にアントが情報を調べ上げてくれたのだ。


「主なスキルは三種類、まずは『複製』」

「私がよく使うやつだね。ものを最大三つまで増やせる。強さも三分の一になるよ」

「次に『開花』」

「状態異常をいくつも与える技。僕の『常在異常』みたいだけど、違う点は触れなくても与えられるところかな?」

「最後に『偽造』」

「これは……どうなってんだ? 触手が再生して、与えたはずのダメージが無くなってやがる……」

「『偽造』っていうくらいだから、何かしらを騙してるのかな?」

「僕には時間が巻き戻ってるように見えるなぁ……」


 何気なく呟くと、三人が一斉にカリナを見つめる。


「もし、そうだとすれば……」

「辻褄は合うよ」

「だが、そんなことが許されていいのか」


 皆が呟く。いくら考えても結論にはたどり着けなかった。

 レッカは複製体を消す。


「とにかく私たちもまだまだってことだよね」

「あぁ。それに、ダリアもツムギもナギもどうやらグルのようだな」

「え? なんでそうなるんだ?」

「『エス』という共通の人物の話題が出ている」

「エス……?」

「私知ってるよ! ほら、前回のイベントの三位」


 彼女が映す画面の三位の位置に刻まれた名前。

 四人はその人物について詳しくはなかった。しかし、彼の存在は彼らにとって忘れないものとなる。


「もし僕たちと対立するっているなら、容赦しないよ」

「同感だよ! 私だって強くなって、やり返してやるんだから」

「あぁ、(かたき)はぜってぇ取ってやる」

「そりゃ無理な話だ。俺が先にやってやるからな」


 彼らの意思は同じ方向へと向かう。

 そして同時刻。新たな対立が怒ったことを知るのは、数時間後となる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ