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3 家族

 ドアが激しく開けられた。


 そして何ががお腹の上にドスンと飛び乗ってきた。うぅっ、ぐるしい・・。


「にいに、だいじょうぶ?」


 俺の顔の上に覗き込む王子様のキラキラオーラ全開の弟ジュリアス。かわいいぞ。しっかし力が強いな。


「こら、ジュリアス、にいには怪我をしているのだよ。優しくしなければダメだよ」


「あい!」


 父様と部屋に入ってきたジュリアス。


「にいに、いたいとこある?だいじょうぶ?」


 うん、お前が飛び乗った腹以外は痛くないよ。


「大丈夫だよ、ジュリ。心配かけたな」


 甥っ子ぐらいの歳か。弟なのにおじさん目線だよなぁ。


「ケビン、大丈夫か?すまなかった。父様がもっと注意してお前を見ていればこんなことにならなかった。本当にすまない」


「父様、やめてください。俺が悪かったんだよ。剣術とか不真面目にやってきたから、体勢を整えられなくて倒れたのだから、父様のせいではありません」


「お前、俺って言ったか?今まで僕と言っていたような」


「あっいや、心の中ではいつも俺と言っていたのです。俺の方がかっこいいので、ついつい出てしまいました。すみません」


「お前も俺というようになったのかぁ。意識が戻ってよかった。このまま意識が戻らなかったらと心配だった。本当に良かった。お腹すいたか?食事を持ってこよう」


 ベッドの横に座り抱きしめてくれた。泣いているのか?俺と言うのはダメか。それならこれからは僕と言うか、しょうがない。ついつい俺って言ってしまいそうだし。僕、ぼく、ボク。よし!


「にいに、よかった、よかった」


 2人に抱きしめられ心地よかった。母に抱きしめられたふんわりボヨン感はなかったが、嬉しい、が、しかし母がいいな。


「ありがとう、ジュリ」


 抱きつくジュリアスを抱きしめていい子いい子した。マジかわいいな。


 それから母が食事を持ってきてくれた。


 薄味の素材を活かした味だな。何も食べていなかった胃に染み入る。胃に負担がない味でよかった。


 しばらくはベッドの住人と化し、ゴロゴロし、これからのことを考えた。そもそも俺は魔法を使えるのか?どうやって魔法を使えるのだ?父に聞いてみた。


「父上、俺はいつ魔法を使えるのですか?あとで教えるからと誤魔化された覚えがあるのですがまだ教えてもらえないのですか?」


 びっくりした、それでいて気まずそうな顔をした父。


「そ、それはだな、す、すまない、ケビン。お前にはずっと誤魔化していたのだ。話さないといけないな」


 なんだ、なんだ?何か病気なのか?聞くのが怖い。


「どういうことですか?」


 そこに母もやってきた。父は母に何か言って、母が泣いてしまった。なんだよ、ほんとに聞くのが怖いよ。言わないほうがよかったな。別に魔法がなくても生きていけるぞ。泣かないでくれよ。


「話さなければと思いつつ、ここまで話さずにいた。お前はあまり剣にも魔法にも興味がなかったからな。興味があったのは領民が作る野菜や刺繍などが興味ありそうだったな。はぁ、これから言うことはお前にとって辛いことかもしれない。これ以上先延ばしにできないな。ふぅ、お前は魔力量は多い。それは王族の血が入っているからかもしれないが、今の王族よりも多分多い。ただ、魔法が使えないのだ。母様と同じなんだ。母様も体外的な攻撃魔法は使えない。これから貴族として生きるお前には酷な話だ。この国は魔法属性持ちの方が優位な国なのだ。でも、母様も勉学や色々なものを習得している。それに魔石に魔力を補填できるのだ。それはすごく助かることだ。お前にも色々経験して自分の道を見つけていって欲しい。そのために私たち家族はお前に協力するし相談にものる。一緒に頑張っていこう」


「そうですか、魔力量はあるのですね。魔石に補填。いいじゃないですか、お金になりますね」


 「お金って、お前は。あとはステータスオープンといえば、自分のステータスがわかる。今までは、ケビンに魔法属性がないことを知られたくなくて、魔法のことは詳しく言わなかった。他の者も魔法のことは口に出さぬよう口止めをしていたのだ。ステータスオープンで自分のスキルなどが見られる。人に自分のスキルのことを無闇に話さない方がいい。悪い奴らに目をつけられては困るからな。稀に神様や精霊に好まれ、スキルが後から付くこともあると言われている。ただ、精霊を見られるのはエルフやドワーフだけだ。我々は精霊がいるかどうかもわからないのだ」


「ステータスオープン!エルフ!ドワーフ!精霊!ファンタジー!」


「お前、何言っているのだ?ふぁ、ふぁんた?」


「ごめんなさい、ステータスオープン、エルフとドワーフに興奮しました」


「興奮する要素がわからん」


 いやいや、ステータスオープンで自分のスキルが見られるのか。そしてエルフだよ、ドワーフだよ。この世界にいるんだよ。獣人もいるのかな?会ってみたいなぁ。


「エルフやドワーフは自分たち独自の国家を持っているのでなかなか会えないな、ドワーフはたまに鍛冶屋で働いている人がいる。エルフはわからない。いるのかいないのか。たいてい阻害魔法をかけてくることがあるらしいので誰も認識したことがないという話だ」


「そうですか。ステータスを確認して自分なりに自分自身を見つめ直したいと思います」


「ケビン、大人になったなぁ」


 すみません、中身大人です。38歳です。あれ?父上と同じ年齢が?おれ、38歳でおっさんだったぞ。こんなイケメンで20歳代にみられる男性ではなかった。そして、結婚もしていなかった。魔法が使えないことより愕然としてしまった。なんだこのビジュアルの違い。


「だ、大丈夫か、ケビン。悲観することはない。魔法が使えなくても、何かしら仕事はある。魔力はあるのだ。スキルは自分しか見られないからスキルを見て今後の自分の生き方を考えてもいいではないか。相談にのるから大丈夫だ。お前、1人ではない!」


 すまん、父上、魔法が使えないことを悲観していたのではなく、ビジュアルの違いで泣いていたのだよ。このビジュアルで前世にいたらモテまくっていただろう。


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