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ペンタゴンSCR  作者: sasami
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きっと一度は誰でも扉を壊してみたいと思ったことがある(物理で)

せめて、一ヶ月に一話ずつは更新したい……

「おや?こんな所に誰かいるとは。珍しいこともあるものだ」


 ゆっくりと開いた扉から、知らない女子生徒が姿を見せた。


 姿をよく見てみると、女子生徒はうちの制服ではなかった。しかし、なぜかどこかで見た覚えがあるような……。


「ふむ?その制服は第二高校の制服だな。成程、ここはそういう場所なのか。興味深い」


 女子生徒はこちらの姿を見て、何か色々と納得したみたいだが、こっちはさっぱり分からない。


「なぁあんた、なんか納得してるとこ悪いが、こっちは全然分からない。説明か自己紹介頼む」


「ああそういえば忘れていたな、失敬。では自己紹介をさせてもらおう」


 女子生徒はこちらを向き、胸に手を当てながら自己紹介を始めた。


「私は私立雪華学園高等部二年如月藍星(あいせ)。誕生日は一月一日、血液型はAB型、趣味は読書・運動・人をからかうこと、特技は暗記・悪戯・ムーンサルト、周りからは藍星様と呼ばれることがある。因みに今まで貰ったラブレターの数は68通だ!」


「あぁ成程、見覚えがあったのは市内一の進学校だからか」


 ここ与河原市で最も有名といってもいい進学校、私立雪華学園。偶に通学路でそこの生徒とすれ違うから見覚えがあったのか、と俺は納得した。うん、すっきりだ。


「そして最後に、ほんのちょっぴり○IOとは違う!!」


「それは絶対おかしいよな!?」


 唐突なボケに思わず突っ込んでしまった。そしてドヤァッとしてるこいつの顔を見てちょっとイラッときた。


「ハッハッハッ、ではそちらも自己紹介してもらおうか?自分だけしないというのはなしだぞ?よくいうじゃないか?『相手に名を尋ねる時はまず自分から』と。私はもう教えたからしっかり答えてくれるね?」


 如月がポーズを決めながら催促し始めた。まぁ特に困るわけじゃないから普通にすることにした。


「市立第二高校二年、渡来浩太。誕生日は7月4日、血液型はA型、趣味は友達との駄弁り。特技は自転車のパンク修理」


「ラブレターを貰った数は?」


「ねぇよ、んなもん」


 隣の下駄箱の奴が貰ってるのを見たことはあるけどな、何だ悪いか。


 俺がそんな返事を返すと、如月はすまなそうな顔をして、


「すまなかった……。まさかそんな寂しい奴だとは知らずに」


「おいコラ、完全に今全国の男子高校生に喧嘩売ったぞ? つうか絶対ラブレター貰った奴の方が少数派だろうが」


「安心しろ、冗談だ」


「余計質悪いわ!」


 如月は一転して、してやったりといった顔をしていた。これ以上気にしていたらきりがなさそうなので、このくだりは終わらせる。


「聞きたいことがあるんだが……」


「構わないよ。私のスリーサイズかね?」


「ど―でもいいわ!!この部屋のことだ。何か知らないか?」


「残念ながら。しかし誰も使っていないから、私が勝手に私物化している」


「するなよ……」


 この部屋にある本はこいつのだったのか……。


「だが今回のことで少し分かったことがある」


 如月は少しだけ真面目な顔になっていた。


「……何だ?」


「君は第二高校にあったであろう扉から入ってきたのだろう?同じように、私も自身の学園からこの部屋に入ってきた。しかし第二高校と雪華学園は約7キロ離れている。つまりここは、何かしらの要因によって遠く離れた場所を繋げているということだ」


「何かしらの要因……」


「そしてここにはあと3つ、開いていない扉がある。恐らくそこもどこかと繋がっているとみて間違いないだろう」


 原因は分からないが、多分如月の考えの通りかもしれない。そうじゃなきゃ、離れた高校の奴と接点を持つということはないだろう。


「しかし、あの扉から誰かが来るとは限らない。ちょっと待っていてくれ」


 如月は自分の入ってきた扉から出ていき、1分もかからないうちに戻ってきた。しかし……、


「何時開くか分からないなら、いっその事抉じ開けてしまえと考えた。という訳で、この角材でこれからあの扉を破壊する!」


「途中までまともだったのにいきなり物騒な事になった!?」


「知的探究心の為せる業と言ってくれたまえ」


 如月が持ってきたのは50cm弱位の角材だった。


「もう少し穏便な方法を考えろ!」


「何を言う。これでも大分穏便な方だ。最初はランマーでやろうと思っていたのだが、あれは資格がいるものだからな、手近なところで妥協したのだよ」


 分かっていたと思っていたが、まだこいつのことを理解できていなかったようだ。そんなことを思っている中、如月は3つの扉の真ん中の前に立っていた。


「ではまず、この扉から」


 如月が扉に向かって角材を突いた瞬間、


「何だぁ?この扉んごぉ!?」


 その扉が開き、扉を開けてきた男の股間に、如月が突っ込んだ角材が叩きこまれた。その光景を見て、俺も股間を抑えていた。


「お、おぉおぉおぉおお……」


男が悶絶する中、


「これは失敗したな。まさかこのタイミングで人が入ってくるとは……」


 如月は冷静な分析を続けていた。


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