技は輸入
全然更新できてない。反省。
有りの侭、今起こったことを言おう。扉が開いたら男の股間に角材が叩き込まれた。
男は地面に倒れ伏し、原因を作った張本人は、
「よし、次はあっちの扉でやってみよう。なに、先程のは只の事故だ。そうそう起きることじゃない」
と、開き直って次に移ろうとしていた。
「テメエ……、イキナリ何しやがる!!」
声のする方に振り向くと、さっき角材をもろに食らった男がまだ足を振るわせながら立ち上がっていた。
男は背丈が2mに届くかという巨体で、制服のボタンを全て外すという不良とかが好みそうな格好をしていた。
「ふむ、中々いい体つきをしているな。その制服は烏葉高校の制服だと見受けるが?」
「あぁ?確かにウチは烏葉だぁ。そして、オレが烏葉をまとめ上げている総代の廿楽一馬様だ!!」
「うむ分かった、よろしく」
「雑!?」
烏葉といえば、与河原市屈指の不良の巣窟だといわれ、その総代を勝ち取るために県内外からも不良が集まる悪い意味で有名な高校である。その総代は烏葉高校最強を意味し、不良達をまとめ上げる技量と腕っ節を持つ者がなるといわれている。要するに不良の親玉である。
そんな畏怖の対象に、如月は実に素気なく対応した。
「おい、流石にまずくねえか?」
「知るか。そんなことより私は次に移りたい」
完全に眼中にないようだった。
「ここまでコケにされるとはなぁ……。こいつぁ一度痛い目に合わせないと分からねえようだなぁ?」
如月のなめた態度に、烏葉総代・廿楽は相当頭にきているようだった。
「ほう?この私と一戦交えようというのか。いいだろう、相手をしてやろう。手早く済ませてやる」
「上等だテメエ。吠え面かかせてやるよ!!」
廿楽の発言に、如月が若干乗り気になってきた。これはもう避けられそうにない。
そんなことを思っていると、廿楽が入ってきた扉の右側の扉が開いた。
「あれ、人がいる」
入ってきたのは人当たりの良さそうな男だった。
「あんたは?」
「ああごめん。俺は柊翔、白波高校二年だ、よろしく。君は?」
柊は軽く紹介をすると右手を差し出してきた。ここで断るのは失礼かと思ったので俺もそれに応じた。
「市立第二高校二年、渡来浩太だ、よろしく」
「ところで、後ろのあれはいったい何なのかな?」
挨拶と握手を終えると、柊が俺の後ろの方を指差した。何のことか分からなかったので後ろを振り向くと、先程の決着が着いたようだった。
しかし、俺と柊が疑問に思ったのはそこではなかった。立っていたのは如月で、如月が廿楽の両足を掴み顔にフックを掛けた体勢になっていた。
要するにプロレス技の筋肉バスターが完璧に決まった状態だった。廿楽は完全に気を失い(かろうじて生きてはいるもよう)、如月は勝ち誇ったかのような顔をしていた。
「ヘーイ、誰かいる~~?いる訳ないかーっているし!!ていうか何この状況?」
その状況下、残った扉から入ってきた女子がいたが、場は何とも言えない空気に包まれていた。
数分後、如月は床に正座させた。不機嫌な顔をしており、納得してはいないようだが。ちなみに廿楽はのびたまま放置されている。
「それじゃあ、何でこんな事態になったのか話してもらおうか。できる限り分かり易く」
「いや何、奴の『上等だテメエ。吠え面かかせてやるよ!!』の後、殴りかかってきた奴を投げて天井に届きそうな所で落下してきた後にジャンプして奴を掴んだら偶然ああなった訳だ。だから私は悪くない」
「どんな偶然だ!!」
自信ありげな顔をしている。反省の色はまるでないようだ。ここの天井は普通の教室より高いが、2m近い廿楽を投げ飛ばすとかこいつの身体能力はどうなってるんだ?ちなみに他の二人は如月に頼まれて教室にあった机や椅子等を使い持参していたメジャー(用途は不明)で天井の高さを測っていた。
「それで?何であの二人に天井の高さを測らせてるんだ?」
「単純に高さが気になったからだが?教室の高さは昔、建築基準法で3m以上と決められていた。この天井高規制が撤廃されたのが2005年であるから、この教室は2005年11月以降となる。しかし、私の雪華学園、君の第二高校、奴の烏葉高校、柊の白波高校、そして……、済まない。彼女の名前は?」
……そうえば聞いていない。
「なぁ、あんた。名前は?」
「ん?石動凪風。よろしく~」
こちらが名前を聞くと、首だけこっちに向けて石動は名前を教えてくれた。
「おう、よろしく」
「そして、石動の天束高校。これらはどれも2005年以前に設立されたものだ。つまり、ここはどの高校にも属していない場所になる」
如月は石動の名前を聞いた後、続けて説明を行った。どこにも属していない場所って、それじゃあここは何処なんだ?
「そそられないか?5つの離れた高校を繋げる謎の教室!!誰が何の目的で作ったのかは不明!!実に謎だらけだ!!とても興味をそそられる!!ハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
如月は腕をめいっぱい広げ、余程楽しいのか高笑いを響かせた。面白そうなことを見つけた子どもか、悪役のようだった。




