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伊藤課長深く考察する

家に帰ると帰りがけに立ち寄ったスーパーで買ってきた惣菜をテーブルに置き、冷蔵庫から冷えたビールを出した。そして例の紙切れを広げて置いた。


唐揚げを口に入れビールを流し込みながら紙切れをもう一度読んだ。



゛好きになってしまいました。ごめんなさい゛

とても男性的な力強い字で書かれていた。


煙草に火を点けながら考えた。一体誰だろうか・・・。


紙切れに気が付いたのは今朝出社し椅子に上着を掛けた時。上着のポケットに入っていた。昨日は会社のやつらと呑んで帰り、朝少し寝坊して慌ててそのままのスーツで出社。昨日会社を出る時にポケットから煙草を出した時は入っていなかった。という事は、昨日の退社後から今朝の出社までの間・・・。会社の人間だろうか。


「それにしても・・・。」

煙草の煙を吐き出しながら思わず独り言を呟く。


一体どういう事だろう。三十路も後半の普通のオッサンにそんなに興味が湧くものだろうか。坊主にしたら間違いなくその筋の方ではないか?と疑われる様な少し強面の顔。昔はスポーツで鳴らした身体も最近はちょっとビールっ腹になりつつある。良くテレビで見るイマドキの綺麗な芸能人の子達に比べたら赤点まっしぐらだろう。でもまぁ全体的に至って普通の感じだと思うのだが・・・。ゲイの考える事は・・・


・・・・・・・ん!?。


そこまで考えて俺はハッと気が付いた。居た。ウチの会社にはゲイのやつが一人居るではないか。

鎌田正彦かまたまさひこ。たしか前に「男好きですから」と言っていた。女の子達はしばらくはその話題で騒ぎ、゛オカマの鎌ちゃん゛とみんないつしか゛鎌ちゃん゛と呼ぶ様になった。俺には興味無い話しだったし、仕事中は極めて普通の子なのですっかり忘れていた。それに昨日の呑みの席にも居たではないか!。俺は何だか急に緊張してきた。まさかあいつが?。



ピィーンポォーーン

急に玄関のチャイムが鳴って現実に引き戻される。まぁ、通常チャイムはいつも突然だ。


「はい。どなた?」

今は夜9時半過ぎ。こんな時間に誰だろう?。


「あ、課長すんません。鎌田です」




俺は固まった。

まさかまさか!?。


俺はとりあえず返事をし、玄関に向かった。

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