第81話 ユニークスキル
ついに手に入れたんだ、ユニークスキルを。それを知った私は、今までの疲労感を忘れ去るほどに、興奮した。
「レベル100になった。ユニークスキル覚えたよ!!!」
私は嬉しすぎて、変な小躍りをしそうにかったが、慌てて自制する。
「え? アナちゃんついに!」
「性能はどんな感じなのかしら?」
「おめでとうございます。拙者達も早く追いつきたいですね」
皆は期待の篭もった目で私を見つめる。ユニークスキルがどんなものなのか気になるらしい。
私も自分のユニークスキルの性能は気になって仕方がない。さっそく私はユニークスキルの画面を開いた。ユニークスキルの画面が輝いて見えるよ。
ユニークスキル[カース召喚]
巨大な藁人形であるカースを召喚出来る。カースに触れている間、敵は10秒毎に、残りHPの10%のダメージを受け、味方は10秒毎に、最大HPの10%を回復する。カースに触れても、自分のHPは回復出来ない。カースは自分の呼びたい時に、いつでも呼べる。ただし、カースを召喚している間、1分毎に、残りHPの10%のダメージを受ける。
読んでいる感じ、強そうである。デメリットも、反転持ちの私にとって、なんてことは無い。むしろ【呪い姫】の称号と合わせたら、プラスになりそうである。
このカースとかいう藁人形、攻撃も回復も出来る万能型じゃん。敵がカースに触れたら、ダメージを受け、味方がカースに触れたら、回復する。素晴らしい性能である。
MP消費はかなり多いけど、MP消費を軽減する靴もギフトもあるので、問題ないだろう。
ユニークスキルは本人のプレイスタイルや職業、性格など色々考慮して、決まるらしいと言われていた。その噂は本当なのだろう。私のプレイスタイルが反映されているし。
新しいスキルを手に入れたら、さっそく試したい衝動に駆られるよね。
それから、ユニークスキルを覚えるとか、レベル100になるとかのミッションをクリアした。ミッション報酬も中々に美味しい。
で、ミッションが追加されていたので、それを見ると、新たな発見があった。レベル200になったら、ユニークスキルが覚醒スキルに進化するらしい。
ユニークスキルを覚えても、まだ次がある。やり込み要素だよね。こうして、人はゲームという沼にはまっていくんだ。そんなことをヒシヒシと思いながらも、私の心はもう覚醒スキルに惹かれていた。
「アナちゃんのユニークスキル見てみたい。あ、そうだ。エリアボスが吹雪の森にいるらしいから、そいつで試してみたら? 私達もレベル上がりそうだし、アナちゃんのユニークスキルも試せるし!」
「エリアボスかあ。それなら、ユニークスキルを試すのにうってつけかも。そのボスって、氷の大地に行く途中にいるんだよね」
「そうそう! 通り道だし、エリアボスの方へ行ってみよ」
氷の大地に行くには、エリアボスを通る道と、通らない道がある。どっちに行くかはまだ決めてなかったけど、ユニークスキルがあるし、エリアボスの方を通りますか。
「アナのユニークスキルはどんなのだったの?」
「見てからのお楽しみ! 簡単に言うと、カースっていう巨大な藁人形を召喚できる」
「アナちゃんのプレイスタイルの影響を思いっきりうけてるね」
「そうなんだよね」
藁人形と呪いってもろ私のプレイスタイルだよね。地味に、回復っていうエンチャンター要素も入ってるし。
こうなってくると、他の人のユニークスキルも気になるね。
「そろそろここを離れましましょうか」
「そうね」
私達は少し休んだ後、出発する。吹雪の中で、風や雪がすごかったので、あまり休めた気はしないが……。
私達はルージュちゃんの案内で、小屋まで歩く。私達は吹雪が止むまで小屋で休むことにした。
小屋は普通の小屋だった。なんでこんなところに小屋があるのか知らないけど、有難く使わせてもらう。
暖炉に火をつけて、暖を取る。暖炉の暖かさが心に染みるね。
「暖かいね」
ルージュちゃんは暖炉の前で、毛布にくるまりながら、暖かいスープを飲んでいた。
「暖かいですね。これならどうします? もう夕方ですけど」
「今日はゆっくり休もうよ」
疲れた私はそう提案した。今日でかなりレベルが上がったし、吹雪と雪女戦で体力を消耗した。休息も大事よね。
「賛成よ。疲れたもの」
「私はもう今日はゆっくりすると言う気しかなかった」
そう言うルージュちゃんはこの中で1番寛いでいるかもしれない。
「そうしましょうか」
「ルージュちゃん何飲んでるの?」
失礼だけど、得体の知れない飲み物を飲んでいたのが気になった。美味しそうには見えないんだけど。
「暖かいヨーグルトだよ」
「それ美味しいの?」
「美味しいよ、それに暖かいヨーグルトは健康にいいんだよ。ママが言ってた」
ルージュちゃんは得意げに言う。暖かいヨーグルトねぇ。ヨーグルトって冷たいものだと思っていたよ。
「暖かいヨーグルトなんて初めて聞いた。あ、ルージュちゃんが飲んでるのみたら、私もなんか飲みたくなった。りんごジュースある?」
「ここでまさかの冷たいものを注文していくスタイル」
「この部屋暖かいし、冷たいものが飲みたくなって。冬に暖房の温度思いっきり上げて、アイス食べるのと同じ心理だよ」
「それ、たまにやるよね」
「暖かい部屋で食べるアイス、美味しいんだよね」
地球温暖化のこの時代に、暖房の温度を高くして、アイスを食べるの、環境には良くないけど、たまにやっちゃうんだよね。
「拙者は緑茶を貰えますか? 冷たいのでお願いします」
「私はコーラ」
「皆そんな冷たいのを飲むの……」
ルージュちゃんは呆然としながらも、私達の欲しいものを出してくれた。
「夜ご飯何食べる?」
「私はショートケーキが食べたいわ」
「それ、夜ご飯じゃないよね?」
マロンちゃんの答えに、ルージュちゃんは呆れた顔をする。
このゲームでは、ご飯を食べないとお腹は空くし、ずっと食べないでいるとHPは減るが、食事のバランスみたいなのは気にしなくていい。あんまり偏った食生活をすると、太ったりはあるらしいが。
私は一応食事のバランスとかは気にしている。今まで、朝ご飯、昼ご飯、夜ご飯をちゃんと食べてきたし。ゲームで、偏った食生活を送っていると、現実に戻った時とのギャップもすごそうだから。
「それなら、グラタンにしようかしら。デザートはショートケーキで」
「私はラーメンで」
冷たいものを飲んだら今度は暖かいものが食べたくなってきた。
そんなこんなで、私達はレベルが上がったことや、私がユニークスキルを覚えたこともあり、楽しい一夜を過ごしたのだ。
そして次の日、私達は今日も経験値上がーるを飲んで、狩をしていた。今日は昨日の吹雪が嘘のように天気がよく、狩日和である。
私達は何時間かの遠征の末、私のレベルは102に、ルージュちゃんは95に、茶々さんは90に、マロンちゃんは89になった。
そして、ようやくエリアボスのいると言われているところにやってきた。エリアボスのいる辺りに木はなく、雪だけが広がっていた。ここのエリアボスを倒すと、その先の氷の大地に行けるのだ。
「ここから先に進むと、エリアボスがいるんだよね」
ルージュちゃんは少し緊張しているらしい。エリアボスと戦うのは初めてだし緊張しているのかも。
私は高揚感が体を包んでいくのを感じていた。私のユニークスキルをここで、試せるんだもん。すっごくわくわくする!
「行きましょうか」
私達は気合いを入れ直して、ゆっくりと、エリアボスへ向けて一歩を踏み出した。私達がエリアボスのいるエリアに行くと、エリアボスーー大きなライオンのような白い魔物が私達を待ち構えていた。




