第82話 吹雪の森のエリアボスとユニークスキル
エリアボスと対面した私は、さっそく鑑定を使う。
ホワイトタイガーLv100
スキル 獅子の咆哮 ホワイトクロウ 牙琉
称号 吹雪の森のエリアボス
さすがエリアボス。スキル名がかっこいい。てかエリアボスって称号なんだ。そんなどうでもいいことを考えながらも、皆にスキルを伝える。
「獅子の咆哮っていう威圧スキルと、爪で攻撃するホワイトクロウ、後牙で突進してくるスキル持ってるよ」
「なんか強そう」
「エリアボスですからね……」
私達は一斉に構えると、戦闘を始める。ホワイトタイガーは動かず、ただ私達を見ていた。これが強者の余裕というやつだろうか。まあ私達にすぐに狩られるんだけどね。
私はさっそくユニークスキルを発動する。
「【反転(呪)】[カース召喚]」
私は、自分に呪い効果を回復効果に変える反転を使った後、ユニークスキルを発動する。すると、私の体から怪しげな紫の光が出現する。そしてそれが私の頭上で魔法陣となって、魔法陣の中からカースという藁人形が現れた。
「大っきい……!」
藁人形を見た私の1番の感想はそれだった。私の数倍、いや下手したらそれ以上はある。そして、放っている威圧。大きさと禍々しさとが相まって、怖いです。
藁人形は私の方を見た。それが私には「よろしくな相棒」とでも言うように、私に笑いかけたように見えた。
カースちゃん可愛いかもしれない……。これを怖かわと言うのだろうか。
「いくよ、カースちゃん! あの魔物を呪える?」
私がそう言うと、カースは「任せとけ!」とでも言うように、走っていき、暴れるホワイトタイガーの体を掴んだ。カースちゃん速い。
ホワイトタイガーは逃れようと暴れたが、逃れられなかった。カースちゃんの力はかなり強いらしい。
カースちゃんは触れるだけで、呪える。ホワイトタイガーのHPは徐々に減っていった。
ホワイトタイガーは減っていく自身のHPに怒りを表し、必死で抵抗する。しかし、ホワイトタイガーがカースちゃんの力に叶うことはなかった。
ホワイトタイガーは呪いダメージを受け続け、やがて消滅していった。
ーーエリアボス「ホワイトタイガー」を討伐しました。
いや、カースちゃん強っ!
エリアボス相手に、圧勝だったよ。
ちなみにエリアボスなだけあって、ホワイトタイガーはかなりの経験値を持っていた。私のレベルは104まで上がった。エリアボス美味しすぎる。これからは積極的にエリアボスを狩っていくのもいいかもしれない。
まあ狩るのは違うエリアのエリアボスになるけど。エリアボスは狩っても時間がたったら復活する。それなら、永遠に同じエリアのエリアボスを狩ればいいんじゃないかと思ったが、それは効率が悪い。
復活するのを待たないと行けないし、同じエリアボスを2回倒しても、2回目の経験値は普通の魔物を倒すのとそんなに変わらないのだ。初めてエリアボスを倒したら、初討伐ボーナスとかもついてかなりの経験値になるけどね。
「アナちゃんの藁人形すごい! ねぇ聞いて、私のレベル100になったの。ユニークスキルゲットしたよ!」
ルージュちゃんはぴょんぴょんと飛び跳ねながら私に抱き着いてくる。ユニークスキルを手に入れたのが本当に嬉しいらしい。気持ちは分かるよ。ユニークスキルを手に入れた時の高揚感といったら。
「どんなのだったの?」
私が尋ねると、ルージュちゃんは得意げに答える。
「私のユニークスキルはねぇ、まあ実際に見せた方が早いかな。私の爆弾要素が出てるよ」
やっぱりルージュちゃんは爆弾から離れられないんだね……。呪いから離れられない私も人のことは言えないが。
「爆弾かあ、ルージュちゃんらしいっちゃルージュちゃんらしいね」
職業や種族より、本人のプレイスタイルが反映されているみたいだね。
「2人ともいいわね。こうなって来ると、私達も早く異能力を手に入れたいわ」
「そうですね、拙者は後3レベルで100なので、今日中に覚えたいです」
「氷の大地のエリアボスも倒しちゃおう」
ルージュちゃんはエリアボスに緊張していたのに、今は乗り気である。とても張り切っていた。
「氷の大地のエリアボスかあ。強いって噂だけど、全員のユニークスキルを使えば、撃破出来るかな?」
氷の大地のエリアボスは強いって評判である。これは晴人さん情報だけど。強いって以外情報はない。
そもそもフェリシモ王国が最近解禁された王国だから、あんまり情報ないんだよね。フェリシモ王国に来たプレイヤーはオークションとか観光目当てだったりしていて、まだ森とかを探索してる人は少ない。
オークションが終わった後も、治安が悪いから、プレイヤーが離れていっているのだとか。
私達も吹雪の森では数グループしか見かけてないし。
「ユニークスキルで押し切ろう。氷の大地は全体的に魔物のレベル高いから、エリアボスは強くて、経験値も多そう」
「経験値欲しい。格上相手でのレベリングは経験値美味しくていいもんね。氷の大地での経験値は期待出来る」
私の言葉に、マロンちゃんは頷きながら付け足す。
「ドロップアイテムも美味いわね。ガチャチケットの他にも、特殊効果を得られるドリンクも多いわ」
マロンちゃんの言う通り、ドロップアイテムはかなり美味しい。ガチャチケットも後で回したい。もっと強くなりたいし。上を目指すとキリがないのはわかってるけど、ここで止まりたくない。
私達はエリアボスを倒したことや、珍しいドロップアイテムを手に入れたこともあって、かなり晴れ晴れとした気分だった。
エリアボスをどう倒すかとか、もっとレベルを上げるにはとか、ポジティブな話をしながら、歩く。
私達はそのまま氷の大地へと向かう。エリアボスのいるエリアを超えたから、氷の大地までもう少しである。
私達が何体か、魔物を狩った時だった。ホワイトウルフの群れを倒した時、茶々さんとマロンちゃんから喜びの声が漏れる。
もしかして、と思ったらやっぱりそうだった。2人はレベルが100になったみたいだ。2人ともユニークスキルを覚えたって大喜びだ。
「どうなのだったの?」
私だけだなく、ルージュちゃんも興味津々みたいで、2人に尋ねる。
「拙者のは身体能力up系ですね。一時的に伝説のくノ一と同じくらいの身体能力を得られるみたいです。嬉しいですが、伝説のくノ一ってなんなんでしょうか」
「「伝説のくノ一……」」
見事に私とルージュちゃんの声がハモった。
伝説のくノ一ってなんなんだろうね。誰のことを指してるんだろう。そもそも誰とかそういう概念はない?
茶々さんの能力は物議を醸した。
「マロンちゃんのはどうだったの?」
さっきから、スマホ画面をじっと見つめているマロンちゃんに、私は声を掛ける。
「私のは、少し難しいれど、一定時間、物や人の動きを予測することが出来るスキルよ」
「物の動きを予測?」
そう尋ねるルージュちゃんの頭の中には? マークが浮かんでいるだろう。首を傾げていた。
私は何となく分かるよ。物の動きを予測って、多分あれでしょ。敵の攻撃が右から来る! とか敵がこう動くから、あそこに攻撃しようみたいなのが出来るようになるやつ。
「そうね……。物がどこに飛んでくるかとか、敵が次どう動くかとかが分かるようになるって感じかしら」
私の予想は合っていたようだ。マロンちゃんのけっこう強いんじゃない? ガンナーにとっては特に。敵を狙いやすくなるだろうし。
マロンちゃんのユニークスキルも茶々さんのユニークスキルも2人の戦闘スタイルにあっている気がする。
聞いてる限りだが、ユニークスキルはかなり強い。他のスキルとは比べ物にならないレベルだ。まあSCRとかLEのスキルなら、ユニークスキルとも渡り合えるかもしれないけど。
私達は4人全員がユニークスキルを獲得した喜びを分かち合いながら、先へと進む。
もう少し歩いたら、氷の大地だ。今日中に氷の大地に辿り着きたいもんね。




