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おまけ アナザープロット/第二章~第三章

「はい皆さんこんにちは、モーナです!

 アナザープロットの第二回は、リュークさんの秘密がいろいろ明らかになっちゃいます! ……ええ、もうこの時点で。

 あとこの際ぶっちゃけますけど、ヒロインはオルタ様じゃありません。賢者のそっくりさんです。

 ……そして私はいつだって脇役! ではどうぞ!」

・2:片目の記憶

 リュークはその夜、ベッドで目を閉じ、思念を集中させる。

 彼のオッドアイに、ある光景が浮かぶ。夢や記憶ではない、リアルタイムの映像だ。

 ……遺跡のどこかに存在する、ロストサークルの一つ――ミトック村。その中で、一人の幼い少女が眠っている。

 彼女は時が停まった特殊な状態にあり、もう何年もそのままだ。ただし死んではいないから、出会えればきっと助け出せるだろう。

 彼女の名はクリステ。――リュークの妹だ。


 今日宝箱から出てきた少女は、そのクリステが美しく成長したであろう姿を彷彿させた。

 ……いや、正確に言えば、あれは賢者自身の姿だ。クリステにも似ているのは、妹が純粋に賢者の血を引いているからだろう。リュークの家系が、そうだからだ。


 リュークも幼い頃から「目」に不思議な力を宿していた。

 だから――村が遺跡に呑まれた日、たまたま村の外にいて難を逃れたリュークは、村が消え去る前に、急いで自分の「片目」の魔力を切り離し、クリステの元に送った。

 彼女を見失わないようにするために。

 ……以来、リュークの「片目」は遺跡の中にある。彼がオッドアイなのはそのためだ。今、彼の目の一方は、魔力のないごく普通の目である。


 ――失われた故郷へ辿り着き、妹と片目を取り戻す。それがリュークの真の目的だった。

 だが一方で、彼の「片目」は、目的地が鍵のかかった特殊な扉に閉ざされていることも見抜いていた。

 あれを開けるには、賢者の力が結晶化したとされる、万能の魔力を持つ幻のレリック――「賢者の鍵」が必要なのだ。


 ……リュークがそんな追憶に耽っていると、ふと近くで気配を感じた。例の少女が寝室を覗いていた。

 リュークは自分の身の上を、少女に語り聞かせる。話しても仕方がないというのに、妹そっくりの少女を前にして、自然と口が動いていた。

 少女は心打たれたように言う。

「私が――あなたの妹の代わりになります」

 だがリュークは微笑んで、彼女を寝室から出しただけだった。



 翌朝――。リューク達は少女を連れて町へ向かった。

 発見されたレリックは、マスターに届け出る義務がある。町には鑑定ショップがあり、そこにはリュークほどの力を持たない一般的な鑑定士がいて、無駄に時間をかけた鑑定をするのだろう。

 しかし、その鑑定には意味がない。なぜなら、リューク自身がすでに少女の鑑定を済ませているからだ。


 ――「無」。

 そう、この少女にはアニムがない。それが鑑定結果だ。異例にもほどがある。


 とりあえず鑑定ショップへ向かったリューク一行。やたらと高圧的な町の鑑定士に迎えられ、リュークは彼に鑑定結果を伝える。

 鑑定士はリュークの言葉を信用しようとしないが、リュークがその場にあるレリックを次々と正確に鑑定してやると、さすがに口を噤んだ。


 さらにそこへ、顔見知りの女エルフ、モーナが顔を見せた。彼女はマスターの本部から来た局員で、リュークの監視役(と言っても、いつも撒かれているのだが)だ。

 リュークの力――「オープン」は、ひとたび乱用すれば、レリックのパワーバランスを容易く崩壊させてしまう。モーナは、これを恐れたマスターの上層部からの指示で動いている。

 かつてリュークが冒険者になれなかったのも、彼自身の強力すぎる力のためなのだ。

 ……冒険者でないが故にレベルもスキルも与えられていないリュークは、しかし生まれついての能力により、賢者と同等の力を持っている――。モーナはそれを知る、数少ない人物の一人だった。


 モーナの働きで、少女のレリック登録はスムーズに進む。ただ、あらかじめ分かっていたことだが、少女の所有権は発見したギルドにある。つまりオルタのものになるのだ。

 リュークはもともと、オルタとは一日限りの付き合いにするつもりでいたのだが……。しかし、すでにそれはリュークの本意ではなくなっていた。

 妹にそっくりで、なおかつアニムが存在しないレリック――。彼女の存在は、リュークの興味と関心を引きつけるには充分だった。それにロミィも、例の少女に対してお姉さんぶって、世話を焼きまくっている。今さら離れ離れになる理由はない。

 低ランクギルドに居座るのは決して効率的ではないが――。それでもリュークは、しばらくこの王都に滞在し、オルタのギルドランク上げをしながら、遺跡探索を続けようと決めたのだった。


 最後に、少女の名は、所持者であるオルタが付けることになった。オルタは少し考えてから「クリステ」の名を提案する。

「リュークどの、あなたがこの名前を口にした時、特別な想いが見えた気がしたのだ」

 そう説明したオルタに、リュークは小さく微笑んで、肩を竦めてみせた。

 ――案外いいパーティーになれるかもしれないな、と思った。



・3:クリステの力

 この日から本格的な遺跡探索が始まった。

 賢者の鍵の発見ももちろんだが、最深部であるミトック村へ辿り着くためには、いくつもの階層を突破していく必要がある。そのためには、パワーシェアで補える分以上に、ギルドランクを上げるしかない。

 ギルドランクを上げるには、パーティー全体の強化が必要で、それにはオルタのレベル上げだけでなく、強力なレリックを所持することが必須だ。

 リュークにも手持ちのレアレリックはいくつかあるが、所有権がオルタにないため、ギルドランクには反映されないのがネックだった。


 一方クリステは、遺跡に付いてきたがった。

 彼女は戦力にはならないが、容姿が賢者そっくりということで、町中の冒険者がその希少性の高さに目をつけている。

 しかも、城にいても決して安全ではない。使用人の一人がクリステを誘拐しようとして、リュークに撃退されるという小事件があったからだ。

 リュークはクリステを守るため、彼女を希望どおり、遺跡に連れていくことにした。


 ところが、そこでクリステの意外な力が判明する。

 彼女は遺跡そのものとリンクし、周囲の構造を瞬時に把握。階層ごとに、空間に見取り図を表示させることができるのだ。

 下の階に下りる階段や、ロストサークルの扉、宝箱の位置まで、すべてを見通すそのマッピング能力は、とてつもなく強力である。探索ははかどり、パワーシェアの効果もあって、この一日で一気に10階層まで進むことができた。


 しかしこの遺跡には、節目節目で難所がある。

 フロアボス――。旧冒険者時代のダンジョンを再現したシステムが、遺跡にもしっかりと反映されているのだ。


 フロアボスは、その階層にいるロストワンダーの中から強力なものが選ばれ、下に下りる階段の前に配置される。第10階層に待ち受けていたのは、双頭の大蛇、アンフェスバエナだ。

 しかもそのアニムは《覚醒》――。「賢者が幼少期に魔力を覚醒させ、森の一部を焼き尽くした」という過去に基づき、この大蛇は瞬間的に口から膨大な魔力を吐き出して、正面のものを破壊する力を持っている。しかも頭二つが、それを交互に繰り返す。


 そこでリュークは「オープン」によって、相手の顕在度を上げ、当時の賢者の行動をさらに忠実に再現するように仕向けた。

 これによりアンフェスバエナは攻撃の直後、自らの力に呆然として動きを止めるようになった。あとは二つの首の攻撃タイミングを、交互ではなく同時になるよう調節すれば、大きな隙が作れるはず――。

 ここでクリステのもう一つの力が発揮された。彼女は周囲のアニムを感じ取り、それを自らに一時的にコピーすることができるのだ。

 《覚醒》をコピーしたクリステが、大蛇の頭一つと魔力を撃ち合い、敵の攻撃のタイミングを、交互から同時パターンへとずらす。リュークは敵の同時攻撃を難なくかわすと、タイラントアームの一撃で大蛇を倒した。


 こうしてフロアボスは倒されたが、それはあくまで一時的なもの。いずれまた別の難敵が配置されることだろう。

 ただしギルドには、「踏破の証」と呼ばれるマジックアイテムが、マスターから支給されている。これを使って階層のスタート地点にマーキングすることで、遺跡の入り口からそこまでの転送ルートが生まれる。

 つまり、オルタのギルドは次回、11階層から探索を再開できるのだ。リューク達は一度遺跡を引き上げた。


 リュークは思う。

 ――クリステは、パーティーの立派な一員になるだろう。ただし、妹には決してならないが……。

「はい、またまたモーナです!

 賢者のそっくりさん改めクリステさん、ついにヒロインとしての本領を発揮し始めましたね。

 他にも『賢者の鍵』が本編とは別物だったり、オルタ様の口調も違っていたり……いろいろと変更があったようです。

 ――あと補足。前回も文中で触れていましたが、遺跡に深く潜るためには、ギルドランクを上げなければなりません。だけどギルドのメンバーは実質オルタ様一人。オルタ様をいかに強くしていくかが、今後の課題のようですね。

 ではまた! きっと近日中に!」

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