第七幕【漢の戦い】
「……仁。てめぇはどれだけ人をおちょくれば気がすむんだ?」
「え〜?そんな怖い顔しないでよ、強面のロリコン新威ちゃん♪」
「……潰すぞてめぇ」
花が咲き乱れる公園で、二人の男は話をしていた。
「…そう言えば、あの子は?いつも一緒じゃないっけ?」
「あぁ…時雨か。時雨はお花摘んでくるから待ってろって言われた。」
「お花摘みかぁ〜今頃はたんぽぽとか咲き乱れだしねェ♪いやぁ〜実に可愛いね、時雨ちゃん。」
男は微笑する。
「……あぁ、可愛い。」
「ホラ、やっぱりロリコンじゃないか。嘘はいけないよ、嘘は」
「死神に言われても説得力ねぇ。お前なら、尚更だ。」
「あーあ、なんだよもー。新威ちゃんの意地悪〜♪」
「お前楽しんでねぇか?」
さっきから仁と話している男………、
彼の名は「観音坂 新威」。
ニット帽(?)がトレードマークの男。
「…でもよ、珍しいな。てめぇが俺に会いに来るなんざ……。頭でも打ったか。」
ズキっと仁の心に矢が刺さる。
「や、やだなぁ…。打ってない、打ってない♪ただ君に会いたかっただけさ♪」
「精神科行ってこい。」
そんな彼等の言葉のキャッチボールはイキナリ高速になる。
「……お前、まさか亜美羅に手、出してねぇだろうな?」
「…え〜?まさかぁ〜。手、出すわけないでしょ〜?」
「…何やったんだお前。殺すぞ。」
新威の目がキツくなる。
「…え〜。やだなぁ、やってないって言ってるじゃないか。君と僕との仲なんだから、信じてくれてもいいんじゃないの♪」
仁が喋り終わった時、新威は蹴りを一発入れた。
然し、その衝撃は新威に跳ね返ってきた。
「…チッ。」
受け身をとり、着地する新威。
「…あははっ、流石だね〜新威クン
パルクールなんて何処で覚えてきたのさ♪」
「パルクールなんて独学に過ぎねぇよ…‼︎‼︎‼︎」
新威が殴りかかろうとした時、一人の少女の声が周囲に響き渡る。
「けんかはやめなさい‼︎」
「…?」
「…………………。」
ぴたっと、新威の手が止まる。
声のした方を見ると、一人の少女が震えていた。
「………時雨。」
「……うぅ…。しんいぃぃいぃ〜‼︎」
少女は泣きながら新威に抱き着いた。
「……時雨、泣くな。どうしたんだ?言ってみろ。」
「あのね、さっき、おはなのかんむりつくったの。おはなのかんむり、しんいにあげようとしたんだけど………。ぐすっ。」
「したんだけど…?」
真剣に少女の話を聞いている新威。先程の怒りは何処へ行ったのだろうか。
「わんわんに、もってかれちゃった……。」
「……⁉︎わんわんに⁉︎怪我はねぇか⁉︎
どっか齧られたとか、引っ掻かれたとか…………………⁉︎」
「…うん。でも、かんむりが…。」
新威は小さく溜息をついた。
「時雨、お前が無事ならそれでいいさ。独りにして悪かったな。すまねぇ………。」
そう言った後、新威は時雨を優しく抱き締めた。
まるでそれは本当の兄妹の様だった。
「……えー、新威クン、お取込み中申し訳ないんだけどさぁ〜?………用件…いいかな⁇」
「…勝手にしろ。」
「じゃあ、勝手に失礼。実に簡単な仕事をたのみたい。それはーーーー。」
「………は?」
仁の一言に、驚きを隠せない新威…。
「………ま、そう言うコトさじゃぁ、頼んだよ〜♪」
「……ッ、待て、仁ッ‼︎」
新威が咄嗟に掴んだ仁の手は黒い影となって空に掻き消えた。
「…、どういう事だよ、亜美羅の兄妹を消せって……。彼奴に兄妹なんて………。」
ザッ‼︎
イキナリ響いた靴と砂利の擦れる音。
目の前に立っていたのは…。
「………亜美羅は渡さねぇぞ…………‼︎亜美羅に害を成す塵蟲風情が…!!」
鬼の形相をした少年だった。
然し、その顔は見覚えがある顔だった。
「‥‥お前‥‥亜美羅に似てるな。何者だ?」
「俺は九十九屋 破善笯。亜美羅に近づく塵を退治する者だ。」
「質問の答えになってねぇな破善笯。お前は亜美羅の何なんだ。」
「………気安く亜美羅と呼ぶなぁああぁぁあぁあああぁあぁあ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」
「……ッ⁉︎」
破善笯の叫びに心臓が破裂しそうになる…‼︎
「…ひっ…‼︎」
(マズイな、時雨がいるから、無駄に動けねぇ……‼︎)
「…亜美羅……‼︎俺のたったひとりの姉……、誰にも渡さない……‼︎」
「……亜美羅には兄妹なんていねぇ筈だが……?」
不意に、時雨が新威の裾を引っ張る。
「…しんい、このひと、ないてる。」
「……泣いてる…?」
おかしい、目の前に立っている鬼の形相をした少年は、今でも殺しにかかってきそうだというのに。泣いている要素なんて何処にもない。
「………。」
「あのおにいちゃん、さびしいの。ずーっと、ずーっとさびしいの。でも、おねえちゃんがいたから、さびしくなくなったの。」
「……?時雨、それは一体……?」
「…死ね」
一瞬の出来事だった。破善笯は閃光の如く、新威の腹に蹴りを一発いれた。
「……ガハッ‼︎…」
空中に血が舞う。
「しんいっ‼︎」
そのまま地面に叩きつけられる新威。
「……なんだよ、つまらない。以外と弱いんだな、アンタ。」
「……は、俺が弱いんじゃねぇ…。テメェが強いって話だろ……。」
フラフラと立ち上がる新威。口から血が滴り落ちているのにも関わらず、普通に喋っている。
「だがそれも……。さっきまでの話だぜ……、破善笯……‼︎‼︎」
新威の眼に焔が灯る。
「……本領発揮って訳か…。いいだろ、隅から隅まで潰してやるよ。」
「潰せるもんなら潰してみやがれ…潰せるもんならなぁ……‼︎」
「…しんい、まけないで!でも……ころさないであげてね……‼︎」
「…分かってる、時雨…‼︎」
こうして、2人の男の戦いの火蓋が切って落とされた。
勝者は……。
どっち?
一応キャラ設定です‼︎
【観音坂 新威】カンノンザカ シンイ
ニット帽(?)がトレードマークの男。
時雨と行動を共にする。
亜美羅とは幼なじみだが、破善笯と
春緋を知らない。
仁とは軽口を叩き合う仲であり、切っても切れない縁があるらしい。
パルクールを習得しており、運動神経がずば抜けて良い。
甘い物大好きな甘党系男子だが、甘えられるのは大嫌い。
然し、時雨は特別である。そのせいか仁からはロリコンと呼ばれる。
【雨宮 時雨】アマミヤ シグレ
パッキーが大好きな女の子。
新威と行動を共にする。
人見知りが激しい性格の為、一人で歩く事はまず無い。
新威が大好きで、いつも新威と一緒にいる。新威の為なら生命を賭けられる。




