第六幕【誓い】
「……ふぅ、遅くなっちゃった。」
春緋は両手いっぱいのレジ袋を抱え、亜美羅のいる病室へ向かう。
「早く亜美羅姉には元気になってほしいから、いっぱい買って来ちゃったよ〜〜、なんてね!」
春緋はウキウキ気分で扉を開ける。すると、そこにはドス黒い影を纏った亜美羅がいた。
「……⁉︎亜美羅姉⁉︎」
春緋がいない間に何があったんだろうと思いながらも亜美羅に声をかける。
「亜美羅姉⁉︎どうしたの⁉︎何があったの⁉︎」
然し、春緋の声は亜美羅には届いていないようだ。
「この影って……?生きてるじゃん……。」
春緋には分かった。その影が生きていることを。
春緋には分かった。その影が怨みを持っていることを。
「……………ん」
「亜美羅姉⁉︎」
試行錯誤を繰り返してる内に、亜美羅は目を覚ました。いつの間にかあのドス黒い影も消えていた。
「……春緋…?どうしたの…?」
「亜美羅姉、何があったの?」
春緋の問い掛けにキョトンとする亜美羅。
「……へ?」
「もしかして……憶えてなかったりする?」
「憶えてないもなにも、私は何もして無いけど…?」
「そ…っか。」
コレは記憶が飛んでるな。原因としたら……やっぱりあの影かな……。
「亜美羅姉、寝てなよ、多分破善笯にもそう言われたでしょ?」
「あら…何で分かったのかしら?」
「…あの破善笯の言う事じゃん?…なんとなく分かるの。」
「でも、そうするわ……すこし、体がダルいの…。」
そう言ったあと、亜美羅は死んだ様に眠った。
「……あの影は、何だったんだろう……。」
春緋はレジ袋を置き、亜美羅を見つめる。
人が生きること…其れは奇跡に等しい事だ。
「亜美羅姉…亜美羅姉だけだよ、化け物扱いしないでくれたのは。」
春緋は昔、常識を知らなかった。
普通の少女ではなかったのだ。
人よりも少し丈夫だっただけなのに
いや、常識を超えた丈夫さだった。
一度、春緋は交通事故にあっている。然も、無傷で。
その光景を見た人は、こう言ったそうだ。
「女の子が歩いていると、トラックが飛び出して来て、女の子を撥ねた。然し、女の子は無傷で、撥ねた後、何処かへ走り去ってしまった。」
こんな事は普通、まず無い。然し、実際にあったのだ。でも、それを聞いても亜美羅は化け物扱いしなかった。
だから、私は亜美羅姉が大好きだ。
「……亜美羅姉は、絶対守るよ……。だから、安心してね……。」
春緋は亜美羅の手を握り、誓った。「絶対に守る」と。




