完璧な異世界、完璧な彼女たち
初めまして。ご覧いただきありがとうございます。
前世で散々な目に遭った主人公が、神様から貰った最強のチート能力と最高の美少女ハーレムで、今度こそ絶対に幸せになるお話です。
異世界ならではの夢のような無双ライフを、どうぞゆったりとお楽しみください。
神様、ありがとう。前世であんなに惨めな死に方をした俺だけど、この異世界での第二の人生は、控えめに言っても最高だ。
「ライト、見て見て! 今日もギルドの依頼、一番に終わらせちゃった!」
そう言って無邪気に笑いかけてくるのは、幼馴染の猫耳獣人・ミーシャ。前世の記憶を持ったまま生まれた俺が、この世界で最初に救った、大切な女の子だ。
「ちょっとミーシャ、ライトの前に出すぎよ。……ライト、今日の晩ご飯は何がいい? 私、あなたの好きなものなら何でも作れるわよ」
少し頬を赤らめて服の裾を掴んでくるのは、エルフの天才魔術師・セリア。俺の「全属性魔法チート」に惚れ込んでパーティーに入ってくれた、クールなツンデレ美少女だ。
「お二人とも、ライト様が困っていますよ。……さあライト様、ハーブティーの準備ができています。今日も一日、お疲れ様でした」
穏やかな微笑みを浮かべてハーブティーを淹れてくれるのは、教団の聖女・ルナ。
超絶イケメンの肉体、規格外のチート魔力、および俺を盲信してくれる三人の可愛い美少女ハーレム。
前世の日本で、あの薄暗いアパートの部屋、ドアを激しく叩く音、狂ったような着信履歴、そして最後に俺の胸を刺し貫いた『あの女』の包丁――あの地獄のような日々は、もうすべて過去のこと。俺はついに、誰にも脅かされない本物の幸せを掴んだんだ。
「みんな、いつもありがとう。俺、この世界に来て、みんなに出会えて本当に良かったよ」
俺が心からの感謝を伝えると、三人は一瞬だけ動きを止め、それから示し合わせたように、全く同じ角度で首を傾げてにっこりと微笑んだ。
「「「私たちもよ、ライト」」」
ハハ、息がぴったりだな。
俺は温かいハーブティーを口に含み、幸せな気分でソファーに深く腰掛けた。
「そういえばライト、さっきミーシャが言ってたんだけどね」
セリアがトレイを片付けながら、何気ない様子で口を開いた。
「大通りの角に、新しいオムライスのお店ができたの。卵がふわふわで、上に赤いケチャップがかかってるんですって。今度みんなで行ましょうよ」
「ぷっ、オムライス? セリア、この世界にそんな料理は――」
笑い飛ばそうとした俺の言葉は、途中でピタリと凍りついた。
この世界に、オムライスなんて料理はない。
卵を焼いて米を包む文化も、ケチャップという調味料も、この世界には存在しない。
なぜ、エルフの村で育ったセリアが、そんな言葉を知っている?
「あれ……? 変ね、何で私、そんな名前を知っているのかしら……」
セリアは不思議そうに自分の頭をトントンと叩いている。その横で、ミーシャがくすくすと笑いながら、猫耳をピクピクと動かした。
「ほら、ライト。前世のアパートの近くにあったでしょ? あそこのオムライス、あなた大好きだったじゃない」
――ドクン、と心臓が嫌な跳ね方をした。
アパート。前世。
ミーシャの口から、出るはずのない単語が滑り落ちる。
ガタガタと手元が震え、ハーブティーが床にこぼれた。
「ら、ライト様? 大丈夫ですか?」
心配そうに顔を覗き込んできた聖女ルナが、俺の顔の汗をハンカチで優しく拭う。
そのハンカチから漂ってきたのは、清らかな聖水の匂いではなかった。
前世の日本で、俺の部屋のポストに毎日大量に投函されていた、あの不気味な手紙と同じ――安っぽい薔薇の香水の匂いだった。
「だ、誰だ……お前ら、一体……」
俺はソファーから転げ落ちるようにして距離を取り、腰の剣に手をかけた。
怯える俺を見つめる三人の美少女たち。
次の瞬間、ミーシャの、セリアの、ルナの瞳から、同時に生気がすっと消え失せた。
三人は人形のように全く同じ動きで、じり、と俺に向かって一歩歩み寄る。
死を覚悟したあの瞬間が脳裏をよぎる中、三つの美しい唇が、完全にシンクロして、あの聞き覚えのある『女の声』で囁いた。
「「「やっと見つけた。もう絶対に、離さないからね、ライトくん」」」
窓の外では、異世界の美しい満月が、血のように真っ赤に染まっていた。
第1話をお読みいただきありがとうございました。
完璧な異世界で、完璧な美少女たちに囲まれて幸せの絶頂にいたライト。しかし、彼女たちの口から出るはずのない「言葉」が漏れ聞こえた瞬間、世界は一変します。
次回の第2話は、この異常な状況に気づいてしまったライトの、終わらない悪夢の続きが描かれます。
逃げ場のない異世界で、彼は一体どこへ向かうのか。
それでは、第2話でお会いしましょう。




