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覚醒したからには無双しないともったいないよね?  作者: 賽の目四郎


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15◇ドラスラ初同行

15◇ドラスラ初同行

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翌日、俺は夜が明ける前に起きた。

ドラスラとの集合は冒険者組合の玄関前で夜明け前後と聞いていたのだ。

もちろん俺は睡眠圧縮で10時間相当寝ているのですこぶる快調だ。

まだ家族は起きていないので、昨晩作ってもらっていた朝食を収納魔法から出して食べる。

うん、ベーコンエッグは作りたてのホカホカだ。


家族が起きない様にそっと家を抜け出し、冒険者組合に向かう。

途中で細い路地に入り、光学擬装魔法でロバートに化ける。

ついでにポーズを決めて「蒸着」と言うと一瞬でフル装備冒険者になる。

うーん、便利だ。


冒険者組合前に着くと、ドラスラの4人は既に来ていた。

何故か組合長まで居る。


「おはようございます。今日はよろしくお願いします。」


「おう。おはよう。」


「はよう。」


「うっす。」


「ん。」


順番に、

ダンカン:36歳 ランクA、チーム・ドラゴンスラッシャーのリーダー兼アタッカー

エリック:34歳 ランクA、チーム・ドラゴンスラッシャーのアタッカー兼クッカー

オニール:35歳 ランクA、チーム・ドラゴンスラッシャーのブロッカー兼トランスポーター

ウォルト:33歳 ランクA、チーム・ドラゴンスラッシャーのシーフ兼マネージャー

だそうだ。

返事と共に吹出しの様に頭の上に浮かぶので非常に分かりやすい。

名前を忘れても誰だっけなーと思うと必要性に応じて吹出しの量が変わり、今は名前だけ小さく頭上に浮かんでいる。

うーん、まるで異世界前世のMMORPGみたいだな。

こっちは現実だが。


「やっぱりその格好で行くのか。一人だけ浮いているぞ。それに着たり脱いだりの手間がすごいだろ?」


組合長が茶化して来るが、俺はこの格好が気に入ってるんだ。

余計なお世話はしないでほしいな。


「いえいえ、収納魔法から直接脱着できますんで。トイレに行く時なんかも便利ですよ。」


俺がそう答え、「脱衣」と言うとフル装備冒険者装備が消えて普段着のロバートになる。

次にポーズを付けながら「蒸着」と言うと一瞬でフル装備冒険者になる。


「ね、簡単でしょ。」


「お前にはもう何も言いたく無くなった。分かったからドラスラに迷惑だけはかけないでくれたらそれでいい。」


組合長が酷い。

せっかくやる気を見せているのに、手をしっしっと振られてしまった。

ドラスラのメンバーの方を見ると気の毒そうな目で俺を見ていた。

いや、初陣でっせ!

気合いが入るのも当然でしょう。

厨二病とか若気いのたりとか黒歴史とかの単語が脳裏に浮かんで解説も付いている。

どれも酷いではないかい。

はいはい、ヘルメットだけは脱ぎますよ。


俺が妥協したところでドラスラのリーダーのダンカンが号令をかける。

他のメンバーがそれに応えておう!と言うので俺も半拍遅れでおう!と言ったら一斉に見られた。

何だよ一時的とは言えメンバーなんだろ?


その後5人で馬車に乗り、東の森を目指す。

依頼内容は東の森の奥に不穏な動きありとのことで、それの原因調査と可能なら対策だ。

本来なら東の森から出ることのないダークウルフやストライクボアが周囲の農地を荒らしているらしい。

街から東の森までは馬車で丸1日かかるとのことで、距離にしたら70キロム(km)くらいだそうだ。

時速10kmの馬車で7時間だな。

と言うことはこれを1時間で走破する俺の速度は時速70kmってことになる。

異世界前世の記憶では時速120kmで走れる道があって、誰でもその速度で走る乗り物に乗っていたらしい。

そう考えると俺の走りも要改善だな。


4時間くらい走ったところで休憩に入る。

少し早いが飯にすると言うことで、俺に預けた食材の取り出しを頼まれる。


・生肉2キラル(2kg)

・生野菜4キラル(4kg)

・白パン5個1キラル分(1kg)


合計7kgを5人で食べるから一人当たり1.4kgになる。

いや、俺はそんなに食えないから0.5人分としてもらおう。

とりあえず言われた量を出すと、エリックが自分の背負子から調理器具一式を取り出した。

複雑な形状に折り畳まれた金属製のそれを組み立てると、バーベキューセットと鉄板焼きセットが合体したかの様な大型調理器具になった。

熱源としては魔石を利用するホットプレートがある様で、表面がうっすら赤みを帯びる程の温度に上がるので輻射熱だけで炭火焼きくらいの火力がある。

エリックは白いエプロンとコック帽を被り、肉と野菜をガンガン焼いていく。

メンバーはそれに合わせてガンガン飲み込んでいく。

おいおい、良い肉をそれでいいのかと思うが、「体が資本」の一言で片付けられた。

俺も遅ればせながら食べるが、まるっきりペースが違うので途中で諦めて、エリックに俺用に横にどけておいて貰ってそれをちまちま食っていたな。

エリック自身も調理しながら他のメンバーと同じくらい食っているそうで、逆に肉の選りすぐりの場所を素早く食えるから調理することへの不満は無いそうだ。


俺は0.5人分くらいを食べて満足し、他のメンバーも出した量は全て食べ尽くした。

これをいつでも食える様にしたいと言うのはランクAならではの贅沢な悩みだな。

帰ったら親父に相談してみよう。


食後に10分くらい休んだと思ったらエリックが調理器具一式を清浄魔法で汚れを洗い流し、パタパタと逆の手順で畳んで背負子に固定した。

ホットプレートは水魔法をぶっかけて冷やしていたな。

完全にプロだ。

聞くと、若い頃に王都のレストランで修行をしたことがあるらしく、 暖簾分けするところで同僚とトラブルになって辞めたそうだ。

ただ調理そのものは好きで、作った物を美味しそうに食べてもらうのが何よりの喜びなんだとか。


食後の休憩もそこそこに再び車上に戻る。

馬車は2頭立ての幌つきの大きな物で、かなりの大物でも積めそうだ。

まぁ先日仕留めたストライクボアはさすがに運べなかった様で、マネージャー兼シーフのウォルトが怪我をした魔法使いのパーカーを応急処置して馬車に乗せ、一人で早馬して応援を呼んだそうだ。

他の3人はその場で野営して倒したストライクボアのお守りをしたので、非常に危険な状況だったとか。

それで俺が一人で収納魔法にストライクボアを丸ごと入れたと聞いて反応していたのか。


馬車は農地の中を延々と走る。

所々に村があり、農民が畑を耕していた。

太陽が少し傾いた頃に東の森に到着する。

本当に東の森ぎりぎりまで農地があるんだな。

俺が一人で来た時は深夜だったのでよくわからなかったが、突然鬱蒼とした魔の森が始まる。

そりゃー魔獣がふらふら出てきたら危ないわな。


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