14◇ランクA同行準備
14◇ランクA同行準備
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さて、2日後からドラゴンスラッシャーと共に依頼された調査に出発することになった。
収納魔法の使える俺に食料を管理して欲しいと言われ、明日の夕方に冒険者組合の解体部で受け渡しすることになった。
俺は組合長から聞いた高位冒険者に似合った装備を買いに行く。
勿論、ロバートに変装したままだ。
剣は日本刀は気に入ったので温存すべく収納魔法に放り込み、新たに片刃の直刀を買う。
肩当ての付いた革鎧と肘当て膝当て脛当てとヘルメットの様な頭部保護の鎧も買う。
まるでアメフトの選手みたいだな。
アレはもうちょっと軽くて頑丈みたいだが。
こんな風に勝手に出て来る異世界の情報にはもう慣れた。
最近ではちょっと楽しみになってたりする。
先程ドラスラと分かれた後に組合長経由で拳大の魔石を50万ラスク(500万円)で買って貰い、今は資金が潤沢だ。
各種装備は見てくれは多少くたびれているが、モノは良いのを選んだので結構かかった。
それでも全部で20万ラスクくらいだったので余裕だな。
手ぶらではおかしいので適当なリュックサックを買い、寝袋とテントも買って中に詰めて背中にかるう。
靴もトレッキングシューズ?みたいな足裏がゴツゴツした物を選んで買った。
異世界の知識では冒険者はコレを履くらしい。
一通り揃ったので組合長に見せに行く。
フル装備で冒険者組合に入るとちょっとどよめきが起きる。
中にはビビりが恐れをなして大枚はたいたのかとからかって来る者もいたが、シャドウボクシングをしてみると黙った。
俺が拳を振るうと空気が震えるのだ。
受付のリアーナ嬢に挨拶をし、カウンターの横を通って奥の組合長室に行く。
リアーナは他の受付嬢に言って俺の後を付いてくる。
組合長室のドアをノックし、入れと言われて入ると組合長は俺を見て呆れた表情をした。
「なんだその装備は。モノは良い様だが、そこまでガチガチにすると動き辛くならないか?」
「俺も買っている最中になんとなくそう思ったんですが、どうせなら完全装備というのを一度やってみたかったもんで。」
「重くはないのか?あぁそうだな。お前のステータスなら軽いものか。逆にあのステータスならそれ全部要らんだろ。」
ごもっともで。
俺のステータスで「防御力:279」となっている時点で、防具は殆ど意味無いんだよなー。
何せ防具を貫通しても俺の皮膚で止まるし。
「これ全部纏うと格好良くないですか?伝説の冒険者みたいで。」
「確かにお前はステータスは伝説の冒険者どころか英雄だ。まぁ気に入ったのなら止めはしないが。」
うん。
無事組合長のOKは貰えたな。
今後はこのスタイルでドラスラと同行しよう。
彼らも実は初心者の俺が防具満載の方が安心するだろうし。
俺は自宅に帰ってから父母に冒険者に同行して魔法を使う様に組合長に言われたので暫く家を空けると言う。
どこまで本当のことを話したらよいか分からないが、組合長も俺に危険性は無いと言っていたというと安心した様だ。
実はAランクに同行するんだが、そんなことを言ったら卒倒しそうだしな。
妹は別人を見る様な目で俺を眺めていた。
少し前のグータラ兄貴からの変化が大き過ぎたのかもしれないな。
次の日の朝食後に昨日買った装備を身に付けてみたくなった。
自室で色々試してみたら、収納魔法からダイレクトに着る方法が分かった。
異世界の知識で「蒸着」というのがあり、主人公は決めポーズと共にこのセリフを叫ぶと一瞬で着替えが完了する。
真似してみると、俺は次の瞬間昨日のフル装備状態となった。
こりゃー着替える手間が省けて助かる。
休憩時は動きにくい鎧は脱ぎたいしな。
さて、明日はいよいよランクA冒険者様と同行だ。
いくら俺の方がステータスが高くても経験量が違う。
ランクAの称号は伊達ではないのだ。
前回の失敗は彼らとて人間であることの証左なので周囲の者が責めることもない。
責めるんなら自分でやってみろと言われると誰も言葉が出なくなる。
そう、俺は一人であれば無双出来るが、チームを組むと途端に面倒臭くなる。
新参者なので期待されている反面、でしゃばり過ぎるとチームの輪を乱す。
ランクAと言えども感情で動く人間なのだ。
出過ぎた杭は打たれるし、余計なお世話は感情を逆撫でする。
といった内容の事を組合長室で組合長にしゃべっていると、途中で遮られた。
「お前は何を言っているのだ?昨日あれだけドラスラとのレベル差を見せつけて充分に鼻をへし折ったではないか。彼らも大人だからまだ半分子供のお前のする事を感情を抑えて微笑ましく思っているんだぞ。そこでお前が大人並みの配慮なんぞしたらたぶん奴らの心は折れるな。ステータスは気にせず、彼らにヤンチャを言ってやれ。」
「うーん、そうじゃないかと思ってましたが、やっぱりそう見えますか。でも俺って異世界の技術的専門家の人生経験まで持っているんですよ。多分心理的にはドラスラの皆さんよりも年上かも。」
「面倒臭さい奴だな。その異世界の経験も使ってドラスラの連中に無邪気に振る舞ってやれってんだよ。」
「努力します。まぁ性格定義という技も使える様ですので、それに色々設定して試してみますね。」
俺は「性格設定魔法」というのを起動する。
その中に自分が自然とその性格ならではの動作をする様にするパラメータがある。
結構細かい所まで設定出来るが、パラメータに無い事をさせようとする場合は別に定義ファイルを書く必要がある。
完全にプログラミングだな。
そこに先ほど組合長と話していた性格を設定して実行する。
俺自身は普通に喋っているのだけど、出てくる言葉や態度は15歳平均の無遠慮で乱暴なものになる。
学習効果がある様で、喋っているとだんだんベラんメェ調みたいに崩れた言葉使いになった。
組合長は頭を抱えていたが、もうなる様にしかならんと匙を投げられた。
どうすんだよ。
その日の夕方に冒険者組合の解体部でドラスラの面々と落ち合い、収納魔法に入れる食料を受け取る。
・生肉30キラル(30kg)
・生野菜60キラル(60kg)
・白パン90個18キラル分(18kg)
どこに出荷するんだよという量だな。
レストランでも持て余すだろう。
一応魔道具の冷蔵庫はあるから1週間程度は持つらしいが。
量もさることながら、全て一級品とのことだ。
前世で言うところのA5ランクだとか有機栽培だとか天然酵母だとかだな。
俺は呆れながらも自分の収納魔法で格納する。
時間経過と重量軽減はどちらも1000分の1だと言うと、そっちのほうを呆れられた。




