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「エピソード56 市場調査編:『 独白は獨白をもって」(In.Ⅱ)』」

≪それで? 主よメインストーリーはまだですか? 朝を迎えて新たな地獄に往くだけですよね?≫


【あぁ~……。えっとぉ……】


 四手を打った後の祭りの後で、彼は頭も掻いて困った様な顔をした。


【私もこうなるとは思っていなかった。世界の膜を破る時は何時もぽしゃん……って音がする。その度に、どうしたもんかなぁって――】


 ――。


 【……四つ神を挟めば、彼ではなくなると思ったんです】

 【ところがですね】


 【四つ目を挟んだところで、私にも何を挟んだのか……。分からなくなりまして――それで、役割を散らすことにしたんです】


 ≪それで、我々が出来たということですか?≫


【ヴァル。君は元からいる神だから零層目だ……】


 ≪では、あの謎の男は何なんです?≫


【これをサブで明かすのは気が滅入るのだが。彼は一層目として存在している。僕はレッティーナやアレアやヘルリカ様を侍らすことにしにした……。そのせいで私自身が宇宙の端に存在しているって訳だけども……】


 ≪僕以外が別の層だと?≫


【私はそう思っている。どれも私の別の人格だと思っているし。彼女等を束縛している理由はないしな……】


 ≪何故、そんな神を創造したのです?≫


【こちユルには創造神・上位・中位・下位・藩神が居る訳だけれど。そのグラデーションなんだよ……。読者もそろそろ気づいているんでないかなって思っている】


 ≪めちゃくちゃ明かすじゃないですか? どういう風の吹きましですか?≫


 【謎の男と黒幕は別なんだよ。こちユルに一瞬、歴史の黒幕だって明記してただろ? 未だにこちユルでは歴史の黒幕が誰なのか未だ明示していない】


 ≪また、途中で役割が変わっちゃたんだと≫


 【こちユルはIFの世界線だ。今、中世に於いて、蒸留器が出来てしまった。これはタイムパラドックスだ。だから黒幕が存在している……】


 ≪その存在って、何ですか?≫


 【彼はブボは黒幕ではなかった。彼は据え駒だった。黒幕は最初から存在していた。明記もしている。

 作者である私が当たり前だと思っていて、忘れてたんだよ】


 その後、彼は資料設定集を僕に見せてくれた。―――確かに、その理屈は通る。最初から存在していた。


【あぁ! そうなんだ。最初からそうだった。僕等は最初から掌の上の駒で。握り締められていたんだよ……】


 ――――。


 賢闘士達に霧が散った。

 霧りが分厚くて良く視えない。


 『さぁ? 誰か宣言して貰いましょう? 誰が尤も正しく、誰がこの世界を御せる者なのか。さあ? ――決めて貰いましょう』


 〖誰が管理し、運用し、選別するのか?〗


 そう……もう答えは最初から在った。誰もが一番最初を意識しない。それは人生に於いて往々とする。

 その意味が今では、全て変質して、そうではなかった。――そんな気がしてならなくなるから。


 全て最初から定められているのだ。誰かの傘下に……。


 残照が全てを覆い隠してしまう。霧が全てを光を散らして……。


 分厚くて良く視えない。

 光が全てを霧を散らした。


 ……良く視えない。

 良く視えない……。


 ――良く視えない。

 良く視えない――。


 …………。


 残照が全てを覆い隠してしまう。

 全てを光を照らしてしまって。


 壌を証しているというのに。

 僕等は壌を掘ってずっと潜っていくというのに。


 真っ白で……。



 ナニモミエナイ……。

【「独白は獨白をもって」(In.Ⅱ)のプロットとプロセスについて】


【あぁ〜ごめんねwwww? 此処で世界の裏側の設定を明かすことは無いよ? その話は巡礼編中で明かされるからここでは言えないんだよ】


【今のサブ連載は市場調査編を話す所だから、ちょっと読者皆様に「アレって、そういう話だったの?」っていうフックを配置しただけなんだ。アレアやヘルリカ様がどんな存在なのかってことは、理解できたでしょ……。説明する必要もない要素だと思う。そう、君達の様な、なろう系読者には朝飯前だった内容さ】


(さてと、賑やかしはこれくらいにしようか? どうせ碌な事に為らんからな……)


 それでは、意識を切り替えて下さい。


 私が「意識を切り替えて? お願いね?」と言うのは稀です。その事を意識として保持したまま、メインストーリーをお待ち下さい。


(また、話が脱線したぞ。戻そう……)


 前回の「エピソード55 賢闘士編:≪「治世は騙りき、処女は語る」-叡智はカタルシス、世情はオシリス。汝、片割れなる者-≫」を基に、説明させて頂く。


 ナーレ達は、弁論発表会という思想バリバリな戦いを終えた後、ネル先生に促され、市井の外へと足を踏み出していく。


 石畳を踏む足音が、遠くの荷車の軋みや人々のざわめきと交錯していく。


 かつて賑わった広場や公衆浴場は、今や静寂に沈み、時の流れを黙して受け入れていた。古い水道橋を渡る風が、少女たちの髪をそっと揺らしている。


 市井は、城下町や学院から少し離れた場所にある。


 秩序と執政を内包する城下町とは異なり、そこには自由と雑多さを抱えた、もう一つの世界が広がっていた――。


 ネル先生は生徒たちに、改めて両親への巡礼の旅と、城下町での市場調査について注意を促す。その後、現地解散となった。


 ※作者が、ようやく「この信仰国家における市井とは何なのか」というところを引っ張り出してきたところです。現在進行形で街の描写や、どこに位置しているのかを裏で考えながら書いています。


 改めて本文を読む限り、ネル先生は解散を促しては全くしてはいない。逆に『生徒たちに、改めて両親への巡礼の旅と、城下町での市場調査について注意を促す』としか明記していない。この一文で読者も現地解散も含めて促されたんだろうと推測させるような流れとなっている。


 市井の市場では、水道橋が街を横切り、その先にある城下町へと視線を導いている。かつて人が集った広場や浴場は、今では息を潜めていた。望郷は興亡に取って代わられ、かつて人々が行き交った場所には、新たな静けさだけが漂っていた。


 ナーレが市井の風景を見回していると、急にヴァルが言い出す。


 ≪ナーレ、いつか君は私を忘れる。だから、その謎を追うな≫


 ※このシーンは、ナーレが市井を見ているうちに、ローマの遺物を眺めるような感覚へと勃興してしまった場面です。その最中に、ヴァルの言葉が唐突に投げ込まれます。裏の描写的にはナーレを含むフィーネとアヴェーラが横に市井を歩いているのですが……。


 問いかけたい衝動に駆られる。だが、口を開く前に、風が頬を撫で、遠くで荷車の軋む音が重なる。言葉の意味を追いかけようとすればするほど、その輪郭は霧の中へ溶けていく。


 私は立ち止まり、疑問を抱えたまま、水道橋を渡る足を進めた。


「ねえ、ナーレ。あれ、お父さんじゃない?」


 フィーネの声に、思考の霧が一瞬で晴れた。


 ※文章を追っていくと、主人公たちが市井をどのように歩いているのかも見えてきます。


 『市井の市場は、水道橋が街を横切り、城下町へと視線を導く。かつて人が集った広場や浴場は――』という描写から、『口を開く前に、風が頬を撫で、遠くで荷車の軋む音が重なる』へと続いていく。


 この流れから、水道橋は主人公たちの視界の端を奔り、市井を横断していることが読み取れます。


 また、『口を開く前に、風が頬を撫で』という描写や、その後の『水道橋を渡る足を進めた』という文章から、主人公たちが水道橋へ向かって下っていることも推測できます。


 ========================


【アレフが登場するきっかけ】


 フィーネの発言通り、声のした方へ視線を向けると、そこにアレフが登場します。そのまま視線がアレフへ移り、彼が『ニール』という人物と押し問答をしている場面へと移行していきます。


 ※『ニール』という人物は、第二十六話『「自家製エールの所以 -アリフ趣味発足記‐」(Af.Ss)』から登場しています。「トゥリー・ヒーラ・オルガ(黄金の三匹の羊)」という酒場の亭主です。


 そのストーリーでは、納品の折にアレフが亭主の自家製エール作りについて立ち聞きしたことをきっかけに、ニールから樽を押し付けられることになります。その経緯を通して、アレフがなぜ自家製エールを作っているのかも分かる、というシーンでした。


 今回はそのニールが再び登場し、嘗てのようにアレフを困らせている場面です。


「こいつを先に受け取れって話だ!」


 ※ニールは、再びアレフに酒樽を押し付けています。ニールにとっては、納品してくれているアレフへのお礼という形で酒樽を横流ししている状態なのですが、これについて領主には全く説明していません。つまり、ニールの中では「納品のお礼」でも、領主側から見れば「勝手に酒樽を回している」状態です。そのため、これが見つかったら大変なことになります。


 その後、アレフとニールとですったもんだが開始する。整理内容が多いので、すったもんだの内容を箇条書きする。


 了解。本文を小説調に直すのではなく、**すったもんだの内容そのものを箇条書きとして整理**します。


【ニールとアレフのすったもんだの内容】


 1. ニールがアレフのもとへ酒樽を持ってくる。

 2. アレフは、すでに倉に樽を置く場所がないため、受け取りを嫌がる。

 3. ニールは「日頃の感謝」として酒樽を渡そうとする。

 4. ニールにとっては、アレフが普段から納品してくれていることへの**お礼**のつもり。

 5. ニールはさらに「これで一山当てろ」と言い、樽を商売に使うよう促す。

 6. アレフは、その「感謝」がむしろ自分を困らせることを指摘する。

 7. 特に問題なのは、**ニールが領主に何も説明せず、酒樽をアレフへ回していること**。

 8. アレフが樽を売れば、領主側から問題視される可能性がある。

 9. アレフは「誰がワインの空樽を持ってこいと言った」と呆れる。

 10. ニールは、自分が悪事を働いているとは考えておらず、「何を企んでいる」と疑われて驚く。

 11. アレフは「盗賊よりタチが悪い」と即答する。

 12. その理由は、ニールが樽だけ置いていき、**その後の処理や責任をアレフ側に押し付けるから**。

 13. アレフは、樽を売れば領主が「光あれ」と飛んでくる、と危険性を改めて指摘する。

 14. ニールは、それでも「一山当てろ」という姿勢を崩さない。

 15. 結局、アレフは完全拒否するのではなく、**酒樽を一つだけ受け取る**。

 16. アレフは「これだけだ」と釘を刺し、今後勝手に樽を持ってこないようニールに忠告する。

 17. ニールは「分かった、まずは一山」と返す。

 18. しかし、その返答からしてニールはあまり懲りていない。

 19. アレフは半ば諦めながら、ニールを「商売の神に愛されすぎ」と評する。


  この一連のやり取りによって、ニールの善意と商売勘が、アレフにとっては行政上の面倒事になるという二人の関係性が描かれている。 また、過去の酒樽騒動を踏まえることで、「またニールがアレフに酒樽を押し付けている」という再登場時の笑いにも繋げられると思った。


 最終的にアレフは呆れかえってしまう。


 アレフは樽を眺め、呟いた。


「ったく。酔ってるだけにしてくれよ、アイツ……。また俺がシャイマーに怒られるぞ」


 そう愚痴をこぼしながら、アレフは樽を見つめる。


 ========================


 此処までが、一応ニールとアレフのやり取りです。


 ニールが「トゥリー・ヒーラ・オルガ(黄金の三匹の羊)」という酒場の亭主であることを、本文中で明記しているのは、実は『相手の男は丸太のような腕を組み、濃紺の帽子に金糸の縁取りが光る。胸当てには三匹の羊の紋章が刺繍され、陽光を受けて黄金の羊毛のように輝く』という文章だけです。


 そのため、今回の場面では、ニールの名前や酒場の名前を改めて説明していません。


「三匹の羊」と「黄金」という意匠を手掛かりに、アフターストーリーをきちんと追っている読者なら、「あれ、この人物って……」と気づけるようにしています。逆に、過去の話を覚えていなければ、ここだけを読んでも単純にアレフと押し問答をしている男として読めるようになっています。


 つまり、過去エピソードを読んでいる読者だけが、ニールの再登場にパッと気づけるような仕掛けとしています。


 ========================


【アレフとナーレ達一行】


 アレフとニールのやり取りが終わるとナーレ達に視点が戻っていきます。とりあえず、彼女達はアレフの作業と商人らしさを見て関心する。そして、ナーレから父に声を掛けていく。


 ナーレが父に声を掛けると。アレフは気づいて此方に返答してきました。


「おお、ナーレか。こんなところまで、よく来たもんだ」

「お友達も一緒か? 市井の市場に何しに来た? 母さんから何か頼まれたか?」


 ※ここで、アレフが「こんなところまで、よく来たもんだ」と「市井の市場に何しに来た? 母さんから何か頼まれたか?」と分けて返答しているところがミソです。


 最初、アレフは娘たち一行が市井にいることを意識していません。ナーレたちを見つけたことで、「こんなところまで来たのか」と驚き、続けて「市井の市場に何しに来た?」と尋ねています。


 そして、「母さんから何か頼まれたか?」と続けていることから、アレフはこの時点では、娘たちが何かのお使いで市井まで来たのだろうと考えています。しかし、ナーレたちは修道服を着ています。そのため、アレフの認識とナーレたちの実際の目的には、少しズレがある。そこで、ナーレたちは自分たちが何をしに来たのかを説明します。


 アヴェーラが少し緊張した声で口を開く。


「おじさま……実は、パンテオン大殿堂で弁論会があったんです。学院のイベントで」


 フィーネも小さく頷き、補足する。


「はい、ネル――ネフィル先生が、巡礼の旅に役立つって……」


 アレフは眉をひそめ、一瞬考え込むが、すぐに優しい笑みを浮かべる。


「巡礼の旅か。なるほど、よく来たな。お前たち、ずいぶん学びたがりだな」


 肩にかかる樽を支えつつ、娘たちを見渡す。


「でも、市井の騒がしさに巻き込まれて、道中で何か起きなかったか?」


 ※ここでもアレフは、少し変な言葉で返答していますね?

「巡礼の旅か。なるほど、よく来たな。お前たち、ずいぶん学びたがりだな」そして、「でも、市井の騒がしさに巻き込まれて、道中で何か起きなかったか?」と続きます。


 アレフにとっては、アヴェーラの「パンテオン大殿堂で弁論会があった」という話と、「学院のイベントだった」という説明を聞いた時点で、ナーレたちが何をしてここまで来たのかを察した、ということになります。


 つまり、ナーレたちから「巡礼の旅です」と最初から説明されたわけではありません。


「パンテオン大殿堂」「弁論会」「学院のイベント」という情報から、アレフの中で「なるほど、巡礼の旅か」と繋がった。そのため、「巡礼の旅か。なるほど」と一度納得した後に、「よく来たな」「ずいぶん学びたがりだな」と、少し変わった方向へ話が進んでいきます。


 さらに、その直後には「でも」と切り替えて、市井まで来る道中で何か問題がなかったのかを心配している。ここでは、アレフが事情を一から説明されて理解しているのではなく、娘たちの話を聞きながら自分の中で状況を組み立てていることが分かります。


 その後、アレフはナーレ達はこの後どうするのか尋てくるのですが。そのあとの返答もおかしな点がちょこちょこあります。実際に視てみましょう。


 その後、アレフはナーレたちがこの後どうするのかを尋ねてきます。ですが、そのあとの返答にも、ちょこちょことおかしなところがあります。実際に見てみましょう。


「そうか、よかった。それで、お嬢ちゃんたちは帰り道か?」


 アヴェーラとフィーネも小さく頭を下げる。


「はい、おじさま……」


 アヴェーラは少し恥ずかしそうに続ける。


「帰りは市井を抜けて、学院の方に戻る予定です」


 お父さんは少し考え、にっこり笑う。


「なら、馬車で送ろう。荷台に乗れ。荷物も樽もあるから、ちょうどいい」


 私たちは顔を見合わせ、驚きと安心が入り混じる。


「ほんとにいいんですか?」


 アヴェーラが遠慮がちに尋ねると、アレフは肩をすくめる。


「もちろん。市井の道を歩くより、ずっと安全だろ」


 ※実際には、コロッセオへ到着した際、修道女たちがぞろぞろと入っていく姿を、市井の人々が奇異な目で見ていた描写があったと思います。アレフは、その様子を見ているので、市井の道を修道女たちだけで歩かせることを「危険だ」と察知しています。


 ただし、アレフ自身は、その理由をわざわざ説明していません。もちろん。市井の道を歩くより、ずっと安全だろ」と、それだけを言っています。つまり、アレフの中では「市井の人々が修道女たちを珍しそうに見ていた」ことと、「馬車で送った方が安全」という判断が繋がっている。


 しかし、その間の思考は本文では語られていません。ここでもアレフは、状況を見て自分の中で判断した結果だけを、ぽんと口にしているわけですね。


 ========================


【馬車でのシーン】


 馬車内では、アレフとナーレが馭者台に座り、アヴェーラとフィーネが後ろの荷台に乗っているという状態です。


 アレフの馬車は、簡単に言えば、よくある乗り合い馬車のようなものですね。二頭立ての馬車であることからも、そのように捉えることができます。


 そのため、ナーレだけがアレフの隣に座り、アヴェーラとフィーネは後ろの荷台に乗るという配置になっています。


 殆どのシーンではアレフが前方を視ながらナーレ達と会話しています。後半ではアヴェーラが会話に参加してきます。一旦、内容を箇条書きにしましょう。


【シーンの理解と内容の箇条書き】

 1.冒頭はナーレの理解から始まる

  ・ナーレが「言葉の奥に、いろんな思いが隠れている」と理解する。

  ・アレフは前方を見ながら、ナーレの頭を撫でる。

  ・「弁論は言葉だけで人の心を動かす」という話から、「表面だけ追うな」と教える。

  ・冒頭の「言葉の奥を見る」というテーマを、ここで明確にする。


 2.ナーレからアレフ自身への疑問へ移る

  ・ ナーレは、父親がなぜそんなに落ち着いているのか尋ねる。

  ・ アレフは「落ち着いている」のではなく「経験だ」と答える。

  ・ 「何度も棘に刺され、笑い飛ばしてきた」という言葉で、過去の苦労を直接説明せずに示す。

  ・その経験によって、言葉の裏側まで楽しめるようになったと語る。


 3.アレフの修道士時代が明かされる

  ・ アレフが「昔は剃髪していた」と話す。

  ・ 現在の農夫としての姿からは想像しにくい過去を、軽い調子で提示する。

  ・ 「あの頃の俺を見たら、お前たちも驚くぞ」とすることで、重苦しい回想にはしない。


 4.フィーネが会話へ入る

  ・ここでフィーネが「なぜ修道士から農家になったのか」と質問する。

  ・それまでナーレ中心だった会話に、後方のフィーネが参加する。

  ・アレフの過去が、本人から語られる段階へ移る。


 5.修道士から農夫になった理由

  ・アレフは「土と人に触れる方が性に合っていた」と説明する。

  ・ 「言葉より、手で感じる方が好きだった」という、アレフらしい感覚的な価値観を出す。

  ・さらに「父の家業を守りたかったのかもしれん」と付け加える。

  ・単なる宗教からの離脱ではなく、家業や家族への意識も含まれていることを示す。

 6.アヴェーラが聖書から問いを投げる

  ・アヴェーラが聖書を開き、アレフの生き方を聖書の教えと結びつけようとする。

  ・「修道士をやめて農家になったことを、どう解釈するのか」という質問になる。

  ・ここから会話が、個人の過去から信仰や人生観へ広がる。


 7.アレフは「種」を農業へ繋げる

  ・種を蒔く」という言葉を、教えを守るだけではなく「自分で土を耕すこと」として捉える。

  ・聖書の教えと農夫としての生活を対立させない。

  ・修道士時代の学びと現在の農夫としての生活が、ここで繋がる。


 8.ナーレが「土を耕す」を具体化する

  ・ナーレが「農作業のこと?」と尋ねる。

  ・アレフは「その通り」と答える。

  ・「手、足、肌で世界を感じる」という言葉によって、農業を単なる仕事ではなく、世界との接触として語る。

  ・「土の匂い」「作物が育つ手応え」という具体的な感覚を入れることで、アレフの価値観を肉体感覚へ落とす。


 9.アヴェーラがアレフの考えを受け取る

  ・アヴェーラは「聖書の教えも日々の営みに生かせる」と理解する。

  ・アレフの言葉を、宗教的な意味へ翻訳する役割になる。

  ・ここで三人それぞれの理解の仕方が違うことも見える。


 10.ナーレが父親を評価する

  ・ナーレは「修道士も農夫も背負える」と父を捉える。

  ・「自由で、逞しい」という肯定的な評価をする。

  ・ここで一度、アレフの人物像がナーレによってまとめらる。


 11.アレフがその評価を否定する

  ・アレフは「それは……どうかな?」と返す。

  ・自分を「自由で逞しい人物」と単純化することを避ける。

  ・ここで会話に一段深い層が入る。


 12.一人で背負えるものではない」という考え

  ・アレフは、自由も逞しさも自分一人だけで成立するものではないと語る。

  ・修道士として学んだこと。

  ・農夫として感じたこと。

  ・それらを全部まとめ、形を変えながら残していくことが大切だとする。

  ・「過去を捨てて現在へ進む」のではなく、・過去を現在の中へ組み込む・考え方になる。


 13.ナーレが「言葉の裏」を実際に見る

  ・冒頭でアレフから「表面だけ追うな」と言われたナーレが、最後には父親自身の言葉の奥を感じ取る。

  ・「父さんの言葉は軽やかでも、その裏にはいつも考えが渦巻いてる」という認識につながる。

  ・つまり、この場面そのものが・冒頭の教えをナーレ自身が実践する構造・になっている。


 14.アヴェーラとフィーネの反応

  ・アヴェーラは聖書を閉じ、アレフの話を受け止める。

  ・フィーネも頷く。

  ・二人は「修道士から農夫になった人物」という単純な見方から、アレフの生き方そのものを見る段階へ移る。


 15. 最後の台詞でテーマを広げる

 ・「外から見える姿だけで判断するな」

  ・人にも人生にも、いろんな顔がある。

  ・これはアレフ自身の「修道士」「農夫」「父親」という複数の顔にも掛かる。

  ・最後の「時と場所を、領域さえ超越する」で、個人の人生論から作品全体の世界観へ視野を広げる。


 ※ちょっとAI君の力も借りながら整理している私ですが……こうして並べてみると、思っていた以上に内容が多いですね。いや、これ笑えないぞ……。此処のシーンではやっとアレフが元修道士であった。ということが判明します。


 その後、何かの理由で父親の農家を継ぐことにしました。彼は『言葉じゃなく、手で、足で、肌で世界を感じる。修道士の時も学んださ。でも、俺は土の匂いと、作物が育つ手応えに惹かれたんだ』とも話していますけれども。


 彼は何故、修道士になったのかということについては明言していません。彼がどの様な人生を送ってきたのかは推測できますが。此処で明かされない。それはずっと何十話の後で彼は『どんな修道士だったのか』は明言は、されます。


 最終的にナーレは、アレフの生き方を評価しています。


 ただ、作者としては、十三歳の少女の感想としては、なんとも言えないなぁ……と思っています。


 『――どんな顔を持っていても、お父さんはお父さんなんだ』


 (うん。まあ、そうなんだけどさ。ナーレ? もうちょっとお父さんのこと褒めてあげてもいいんじゃないかな?)


 元修道士で、そこから農家になって、今もこうして色々なことを考えながら生きているんですよ。……いや、娘からしたら、これくらい普通なのかな?


 【でも作者としては、"「お父さん、けっこう凄いじゃん!」" くらい言ってあげてもいいと思うんですよ?】


 (もう少し、お父さんを褒めて遣ってください)


 ≪――娘よ――≫


 と、そう思うのは、私だけなのでょうか……?


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【別の意味で明かされている内容】


 話が少し別の方向へズレてしまいますが……ここで一つ、ゲロっちゃいます。『独白は獨白をもって』(In.Ⅱ)の中で、たった独りだけ、本名が登場しています。本編中で、誰だか分かりました?


「はい、ネル――ネフィル先生が、巡礼の旅に役立つって……」と、フィーネが発言していますね。


 ずっと序盤から、ナーレたちが都度「ネル先生」と呼んでいるので、読者には「ネル」が本名だと思われていたかもしれません。


 ですが、ここで初めて「ネフィル先生」と呼ばれています。そうです。「ネル」は本名ではなく、生徒たちの間で使われている愛称なんですね……。フィーネも、いつもの癖で「ネル」と言いかけてから、「ネフィル先生」と言い直しています。


 つまり、これまで何度も登場していた「ネル先生」という呼び方も、実は生徒たちが普段からそう呼んでいただけだった、ということになります。


 そして、もう一つ。


 これまで生徒たちから「ネル先生」と呼ばれていても、ネフィル本人は、その呼び方について特に訂正を求めていません。つまり「ネル先生」という呼び方は、生徒たちの間で自然に定着していて、本人もそれをわざわざ正すような関係ではなかった、ということですね。


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【タイトルの命名について】


 タイトルの命名は、見た通りですね。


「独白」です。


 ただし、「獨白」の「獨」は、単なる旧字体というわけではありません。作者の中では、「濁」から「獨」になった、という感覚があります。


 ※初案は『独白は濁音を白として――、獨ともって』というタイトルでした。 執筆しているうちに、この「濁」から「獨」へと変化していきました。明確に意味を定義して付けたというより、これは執筆中に浮かんだインスピレーションです。


「獨」には、「それひとつだけ」「自分だけ」という意味があります。ですから、一度「獨」という漢字そのものの意味を追ってみていただければと思います。


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 以上を以て、「独白は獨白をもって」(In.Ⅱ)のプロットとプロセスについての説明を終えたいと思います。本編の後書きでも、作者がダラダラと色々説明しておりますので、よろしければそちらもお読みください。

「エピソード56 市場調査編:『独白は獨白をもって』(In.Ⅱ)」


 皆様、最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。


『第五十六話「独白は獨白をもって」(In.Ⅱ)』において、プロットや物語の進行意図を、少しでも感じ取っていただけたのであれば幸いです。


【なんか、普通に本文が一万文字に手が届きそうな状態になってない?】


≪貴女様の説明が長いからでしょう!?≫


【何よ!? 何か……文句があるのかな?】


≪もうちょっと、削減してくださいよ≫


【これでもカットしてるんだけど? というか、こっから先ずっとクソ長いロード時間だぞ?】


≪貴方様が設定を盛ったからでしょ!?≫


【いいや! 必要な設定だったね! あれは必要だった! でなければ膜が破れてた!】


≪……それ、本当に必要だったんですか?≫


【あぁ……。必要だったの! そうでなかったら、134話も進んでなかった!】


 その後、作者自身が珍道中を奔るハメになるということを。この時点では知る由は無かった。彼は気づかないまま。躰道する途へ足を踏み入れてしまった。それが遥か遠いゴールさえも見えない巡礼に続いているだなんて。


 作者はとうとう、『こちユル』の呪文、その遅効性の毒が廻りはじめた。作者自身にも、あの呪文が発動したのである。


 『そう、人生とは、時には、自身の思い描く範疇、空間と時間を超越して変化することがある。そのようなことは御伽噺や幻想小説のことだけだと決めつけていた。“そんなこと”という常識が、いとも簡単に毀れるものだと。この時はまだ、知りえなかったのである』


 ……が。


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