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「エピソード29 中世編:端艇變(たんていへん)『喪われた三枚銅貨-調査編Ⅰ-』」

【作者である私は、

女の子たちがキャッキャしてたらなぁ……って思ったわけだ】


⦅あーし、よく分かんないんだけど。マ?⦆


【マ。

 やたら茶請けみたいにパン食ってるけど、

 よく考えたらフィーネとアヴェーラが朝食してるかどうか、俺知らないし。


 ──というわけで。

 朝食がてら、推理パートだ】


取り合えず、新顔も機用するので様子見タイムだ。

作者の考えた謎解きは凄くシンプル過ぎた。


「朝・昼・閉店後。……なるほどね、三回の集計で、

 帳簿を取り、店の最終的な出入りは夫婦のみである」


(……帳簿に差異が出たなら、出入りできる人間がやった。

 つまり夫婦のどちらか、あるいは二人)


≪これは、単なる盗難とは違う。

 痕跡を残さず、目的も見えない。

 ――異質だな≫


【あぁ……そうだな、ヴァル。

 “不可解”だ。

 ――なんの為に?】


(この現象のどこかに、意図があるのだとしたら――

 それは一体、誰のものだ?)


≪お前の意図が見えているぞ!

 この……道化師風情が!≫


【私は硬貨を一枚、そっと滑り込ませた。

 あとは彼女たちの仕事だ。


 ──さて、とっくりと。

 ウィスキーでも呑もうじゃないか】


「消えたはずの銅貨が――

 何事もなかったように元の場所へ戻ってくる。

 その理由を、探るために」


*********************


― 喪われた三枚銅貨 ―調査編Ⅰ


1.目的と動線

1-1 クリー・チェの内部調査

1-2 夫・キーランの尾行

1-3 酒場「クレイトの巣」への導入


2.上記の行動によって発生した問題点

2-1 初期設定との矛盾

2-2 アヴェーラの服装ミス


***********************


ーーーーーーーーーーーーーーーー


1-1 クリー・チェの内部調査

ここでは、ナーレ達がレジ内を調べる場面となる。


重要なのは、

夜になると銅貨が増えていること。


帳簿を確認することで、

減ったはずの枚数が、翌朝には元に戻っている

という現象が示される。


オルウェンはもちろん鍵を持っている。

しかもそれは、この店の錠前すべてに対応する 共通鍵 だった。


「キーランさんは、普段から帳簿の記録に関わっていましたか?」


オルウェンは少し考えてから答えた。


「基本的には私が書いています。

 でも――買い出しの時だけは、

 預けた金額と釣り銭を彼が書くこともありました」


つまり、帳簿は都度どちらかが書くという決まりがあるわけではない。


完全な一人管理ではない、ということだ。

そして――

彼女の思惑が、見え隠れしている。


実際に帳簿を確認すると、

キーランが書いたと思われる、荒い筆跡の記録があった。


そこには──

「銅貨二枚」

とだけ書かれている。


しかし、

それが何に使われた金なのか。

あるいは何の利益なのか。


その説明は、どこにも書かれていなかった。


「……中身は、ご覧のとおりです」


蓋を開けると、

銅貨と銀貨はきっちりと仕切られて収められていた。


枚数も帳簿と一致している。


目立った乱れも、

盗難の痕跡も――どこにも見当たらない。


「中は全部正常……手詰まり」


************************


(※作者、ここで最初の手詰まり。


 ――気が付いた。

 山札が無い。


 カードを切り尽くしたあとで、

 まだゲームが続いていることに気付くとは……)


(土壇場で場を繋ぎ始める作者。

 中に無いなら、外だ……)


(そして平然と、

 墓地からカードを回収して手札に戻すという

 極悪コンボを発動させる)


************************


「これ以上は、店の中じゃ何も出てこないわね……」

 アヴェーラがふぅと息をつき、カップの残り香に目をやる。


「外からの調査に切り替えましょうか。

 キーランさんが買い出しに行ったまま戻らないって言っていたわね」


 私がそう言うと、アヴェーラが立ち上がった。


 「ええ。外に出てみましょう。人混みの中に紛れているかもしれません」

 私達は店を出て、街へと繰り出した。


彼女等をクッションにして、

場面が転換する。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


1-2 夫・キーランの尾行


ここでは、キーランの奇行を探るための尾行シーンとなる。


彼は市場におり、

何事もない様子で食材の買い出しをしていた。


(そもそも、昼時に素材を購入する亭主ってどうなんだろうな……。

 料理店の経験がないから、そこはよく分からんけど)


もっとも――


キーランは市場の中を歩き回り、

いくつかの店に立ち寄っていた。


店主と短く言葉を交わしては、

すぐにその場を離れる。


その動きはどこか落ち着かない。


仕入れの確認というより――

駄弁っているようにも見えた。


街の坂を下り、

彼の足は次第に南へ――港区の方へ向かい始めた。


市場の喧騒も、少しずつ遠ざかっていく。


そして──


夕暮れが近づきつつある頃。


それまでどこか落ち着きのなかった彼の歩みが、

突如として速くなる。


******************


(※ここで読者の皆様にお詫びしたい。


 当初、アウローラ神聖国は

 現実のアイルランドの地域、

 キラロー付近を舞台にしていた。


 ところが何の気の迷いか、

 港区などというものを作ってしまい、

 地理の整合性が霧散してしまった。


 そのため第七十二話にて、

 舞台をコノート地方の

 ゴールウェイとすることで

 誤魔化すことにした。


 ……改めて見直すと、

 リムリックがあるので

 こちらでも良かった気がする。)

 

 話を戻そう……。

******************


彼女達はキーランを追っていくと、

謎の倉庫群、その一つでキーランは密会を行うシーンになります。


視ての通り、帆布の陰からもう一人の男が現れた。

二人のやり取りの様子から、それが仕入れの延長でも、街の雑談でもない。


『何かしらのやり取り……。

 表だって離せないヤツ』


──彼等はわずか数分の会話を終えると、

  二人は連れ立って港の外れへ歩き出した。


波止場の空気は、昼間の市場とはまるで違う。

酒と潮、男達の怒号と賭け声が混じり合う、夜の顔を持った場所。


足場の悪い石畳の先、薄明かりが漏れる細道には、干物と酒の匂いが入り混じっている。


荷を解いた網が無造作に積まれ、酔漢達が桶に腰かけて言葉を交わす度、

どこか遠い異国のような空気が流れていた。


(何度も読むと、時間経過が早すぎるんだよな……。

 これもミス・カウントだな)


やがて、二人の男は古びた木造の建物の前で立ち止まった。扉の上には、薄く塗装の剥げた木板──

「ネァド・ナ・グクレフ(クレイトの巣)」と書かれた看板。

よく見ると、板の隅に黒い甲虫のようなマークが刻まれている。


(男が酒場で二人、ナニも起きないはずもなく……。

 『パンツ・レスリングショー』が始まるわけでもない。)


*********************


作者がやりたかった意図としては、

中世時代におけるギャンブルの歴史であった。


【此処で、問題を出す。

 トランプにも賭博の歴史があるのだが。


 トランプ賭博の形成から終焉の歴史について、

 年号で答えてくれ】


**************************


作者は改めてミスをした。

アヴェーラの服装がフォーマルすぎるってこと。


(なぜ、此処まで品のある服装で来たんだ。

 謎解きの場合ではないぞ!)


しゃぁーなしで、無理やり『風見柱』を造った。

これなら、彼女を此処に配置できる。


そのとき──

酒場の中から聞こえてきた、男達の小声が耳に入った。


「……パン屋の旦那、また来たぞ」

「ここんとこずっとツイてやがる。“ドァ・ビトゥル”の癖に」

「フンコロガシが運を転がしてるってか……ふん、いつまで持つかな」


《Dor Beetle》──西洋フンコロガシ。


それは、表向きは「クレイトの巣」と呼ばれているこの酒場で、

賭場に入り浸る者達への、蔑称だった。


(要するに……掃きだめってことですね。

 ギャンブルはゼロサムって言われてんだ。

 ゴミがあぶく銭でギャンブルする世界だってことです)


(といっても、この破棄しても、ダメにならない人間も居るのは確か。

 情報は掃きだめに集まるもんです)


(謎解きなんだ、ミステリーなんだから。

 ハードボイルド! ファンタジーもハードボイルド!!

 そのマインドなんですよね、良くも悪くも)


高台の上、風見柱の下でこちらを見ているアヴェーラの姿が、

夜風に揺れていた。


私は、重たい扉に手をかける。

キーランの真意と、銅貨一枚の行方を追って。


(この扉の先に、きっと秘密がある……

 そのマインドがなんなのか?

 この『バグ』は何の因果か、確認しよう)

皆様、最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。


『第三十話「喪われた三枚銅貨-調査編Ⅰ-」』において、

プロットや物語の進行意図を、わずかでも感じ取っていただければ幸いです。


─────────────


⦅あーし、途中から分からなかったんですけど!?

 ナニこれ!?

 三枚銅貨どこ行ったの!?⦆


【いや、だから。

 これから『三枚銅貨』を知るんだって、元は『三枚銅貨』だった。

 今はその意味が喪われた『三枚銅貨』を知るストーリーなんだって】


【ほらさ? 最初は三枚、途中から二枚になって、今は三枚だろ?

 だから、根本的な意味合いは違うでしょ? 】


⦅あーし、オタク君の言っている意味が分からないんですけど。

 マジ、めんどくさい)


【君のトレードマークの付け爪を交換することと同じだよ。

 今はその柄の付け爪だけど、交換する度に『意味合い』は変わって、

 曖になるでしょう? 愛だけにってね】


⦅それってギャグで言ってんの!?

 思考回路、意味わかんないんだけど!?⦆

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