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超・事件17

更新72話目


国体最終日

最終日最初の種目である少年男子B3000mは気持ちの良い日差しのもと迎えた。

2組の中で勝ち抜いた10名と幸運を掴み這い上がった5名での決勝戦。

初日の少年男子A5000mの次に注目されていると言って良い状況だった。

1組目の中学生の目覚ましい飛躍に2組目の最初の400で既に決勝メンバーが決まったレース展開はこの決勝がどんな結果になるのかと観衆をドキドキさせる。


優勝最有力候補の足利勇旗、次点で2組目にいた前年度少年男子B 3000m8分18秒準優勝者の橘真人(たちばなまさと)から少し離れて1組目で飛躍した陽太郎、小野寺、赤坂、凪が団子の評価になりその後ろに2組目で5位以内に入った中高生達だった。

実力を良く知る人達の評価は足利と橘の2強、そしてその2人に他の子供達がどれだけ追い縋れるか?になっている。

登り調子の陽太郎達に期待はされているが前日のレースという事もあってタイム自体はそこまで期待されていないのが見てる人達の本音だった。

しかし観客にとって予想外だったのはレースに挑む中学生達が過去の選手達と比べても一際集中力が高く殺意に近いやる気を漲らせていた事だろう。


「…………小野寺先輩来年と言わず今日ここで中学記録を更新してやりますよ」


「来年から直の後輩になるんだ……上下関係叩き付けてやるよ」


「上等……!!だけど中学記録更新するだけじゃ足りねぇですよ。目の前に中学記録保持者にして中長距離全てで高1歴代1位の記録保持者(タイトルホルダー)!!」


「「足利勇旗!」」


「……挑戦を受ける側の礼儀として一言だけ言ってあげるよ

        『叩き潰す』!!」


「「上等!!!」」


ほんの少しの時間を置き皆がスタートラインに着いた。

陽太郎と小野寺の小僧は溢れる殺意が見て分かるほど足利勇旗に向けられている。

その殺気すら涼風に感じているのか足利は笑みを浮かべた。


オンユアマーク



パァン!!

音が鳴ると同時に選手が一斉に飛び出して行く。

いつもは先頭を取りに行く陽太郎が先頭を取れず足利が先頭を獲った。レースの主導権を握った足利はどんなレースをするかと思えば走る者全てを払い落とすタイムしか狙わない超高速レースだった。


「「「「「……っ?!?!」」」」」


「はっ!」


200m通過31秒


「速い」


「これは……!足利勇旗はここで自身の持つ記録を更新するつもりなの?!!」


「狐雪さんこれは相当厳しいレースになりますね」


「レースの主導権を握られた今陽太郎達に出来るのはただひたすらに耐える事だけ……辛い展開ね」



───────────────



400m通過63秒

72秒は1キロを3分丁度、68秒は1キロを2分50秒、64秒は2分40秒。

まだ最初の1周目とはいえ足利勇旗は3キロを8分を切り7分台で走ろうとしている。

高校1年歴代1位の記録を持った今年の4月のレースで8分9秒から8分00秒8の記録更新をしていた足利勇旗はこのレースで途轍もなく悔しがった。

あとほんの1秒速くスパートをしていれば夢の7分代の世界に立てたのにと。

それから悔しさが爆発しより一層練習に励んだ。

同じ学校の先輩には高校No. 1の選手がいる事もあり毎日積極的に挑んだ結果高校1年ながら総体の5000mで13分50秒の壁を破るに至る。

そして今日心体共にベストコンディションの足利勇旗は止まる事無く足を進めた。


1000m通過2分39秒

この時点で数人の中学生が離れた。

まだ何とか耐えている中学生がいるがそれもいつまで持つか分からない。

残った中学生は陽太郎、小野寺、赤坂、凪の1組目メンバーと2組目で2位になった和田清嗣(わだきよつぐ)だけであり残りの高校生達だった。

残った中学生のメンバーは当然ながら1500mで3分55秒前後の実力はある。

実力は確かにあるが今日戦う相手は()()足利勇旗なのだ。

比べてしまうと力不足は否めなかった。


1500m通過3分58秒8

中学生のみならず高校生にとっても全力に近いスピードで1500mを通過した。

まだ半分を過ぎただけにも関わらずほぼ全員が死に物狂いで先頭の足利勇旗の背中を何とか捉えてはいる。


2000m通過5分17秒9

ここで中学生が一気に減り残すは陽太郎と小野寺だけになり高校生も足利勇旗と橘真人だけになる。

既に限界に近い力を出し切っているが2人は精神力だけで食らいついていた。

足利勇旗の真後ろにいる橘は陽太郎と小野寺の2人よりは余裕があったが内心既に足利に勝てるイメージが崩れ掛けている。

それでも必死に足利に離されていないのは一重に中学生に負けたく無いからに集約されていた。

このまま耐えれば中学生の2人は揃って中学記録更新のペースと共にラスト1周が徐々に近付いている。





はらはらして見てる氷鉋狐雪

見てる側なのに緊張で吐きそうになっている結衣と辰郎の2人の背中をさすったいる。

応援したいけどそれどころじゃないお母さん







ここまで読んで下さりありがとうございます!!

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