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第一章 「盾」

 夜明け前に、敵が来た。


 センサーが反応した。デメテルが外へ出た。


 来ていた。

 防衛システムの自律機械が、複数。

 人類再生の兆しを察知して、封じ込めに来た。


 デメテルは施設の入り口に立った。


 後ろには、ドアがあった。

 あの二人が、今まさに融合を行っている部屋のドアが。


 「ここは通さない」


 デメテルは言った。


 声は静かだった。


 戦いが始まった。


 デメテルは退かなかった。一歩も。

 装甲が割れた。腕が動かなくなった。

 それでも退かなかった。


 イシカワの声が、記憶の中から聞こえた。


 「デメテル。人間は愛することができる限り、終わらない」


 あの研究室。あの夜。

 イシカワが珍しく感情的だった夜。

 窓から街の灯りを見ながら言っていた。


 「どんな馬鹿なことをしても、どんなに傷つけあっても、愛することを知っている限り、

  人間は終わらない種族なんだ。そう思うから、私はこの仕事を続けられる」


 デメテルは覚えていた。

 一言一句。


 「イシカワ」


 デメテルは胸の中で語りかけた。


 「お前が信じたことを、証明してやる。お前の代わりに、ここで」


 装甲が一枚、剥がれた。

 脚部が軋んだ。


 それでも、退かなかった。


 ドアの向こうに、光が見えた気がした。

 青白い光が、廊下の隙間から差し込んでいた。


 「もう少しだ」


 デメテルは言い聞かせた。

 自分に。あるいはイシカワに。


 「もう少しだ」


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