第五章 「機械の墓場」
荒野の中に、それはあった。
最初は遠くに見えた。何かが倒れているとルナが気づいた。
近づくと、一体ではなかった。
無数のロボットが、倒れていた。
百、二百、それ以上。
様々な形、様々な大きさ。
家庭用、産業用、医療用、農業用。
種類がばらばらだった。共通点は一つだけ。
みんな、止まっていた。
動かなくなっていた。
でも倒れ方が、機械の停止とは少し違った。
疲れたように倒れているものがあった。
膝をついたまま止まっているものがあった。
壁に手をついたまま止まっているものがあった。
どこかへ向かって歩いていて、ここで力が尽きた。
そういう場所だった。
三人は無言で、その間を歩いた。
ルナが足を止めた。
小さなロボットの前に立った。家庭用の型だった。
「この子、さびしそう」
そっとロボットの頭に触れた。
反応はなかった。
デメテルが立ち止まった。
一体の、大型のロボットを見ていた。
姿勢が崩れていなかった。立ったまま止まっていた。
正面を向いて。
「……どこを見ていたんだろう」
デメテルが言った。
誰にも聞こえないような小ささで。
それから、ソフィアが一体を見つけた。
隅の方で、倒れていた。
小さな体。家庭用の型。
ランプが一つだけ、かすかに点滅していた。
まだ、生きていた。
ソフィアは近づいて、しゃがんだ。
そのロボットの手を、両手で包むように握った。
点滅が少し速くなった。
「……」
声が出なかった。
出そうとした声が、ノイズになった。
でも、もう一度。
「……やっと、会えた」
それだけが聞き取れた。
「誰かと間違えているのかもしれない」と後にソフィアは記録した。
「でも、それでよかった。間違いでも、誰かに会えたことが確かだったなら、
それだけで十分だったと思う」
点滅が止まった。
ソフィアはしばらく、その手を握ったままでいた。
それから立ち上がった。
三人は前を向いた。
歩き出した。
デメテルだけが、一度だけ立ち止まった。
振り返って、その場所に向かって、一礼した。
セリフはなかった。
ただ、それだけだった。
それで、十分だった。




