表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/27

第四章 「廃都を越えて」

 西へと向かう道に、三つの大都市の跡があった。


 最初の都市は、ただの平野になっていた。

 何があったかもわからないほど、完全に消えていた。


 二番目の都市は、骨格だけが残っていた。

 ビルの鉄骨が立ち並び、風が通るたびにうなり声を上げた。


 三番目の都市で、シェルターを見つけた。


 地下のシェルターだった。

 扉は開いていた。内部に映像記録が残っていた。


 再生すると、女性が映った。


 三十代くらいの女性。疲れた顔をしていたが、目だけが真剣だった。


 「聞こえる人に伝えます。西のアークへ行ってください。

  そこに、希望があります。私たちは間に合わなかった。

  でも、あなたたちが間に合うかもしれない。どうか、どうか」


 映像が終わった。


 三人は沈黙した。


 「間に合わなかった」


 ルナが繰り返した。


 「ということは、人間はそこへ行こうとしていたけど、行けなかった、ということ?」


 「そうだと思います」


 「じゃあ、私たちが代わりに行くんだね」


 ルナは、それを当然のことのように言った。

 怖れも躊躇もなく。


 ソフィアはルナを見た。


 「もしそこに何もなかったら」


 「そしたら、また考える」


 「もし人間がどこにもいなかったら」


 ルナは少しの間、考えた。


 「ソフィアちゃんはどう思う?」


 「まだわかりません。だから諦めない」


 「うん。それでいい」


 夕方、丘の上に出た。


 夕日が沈んでいくところだった。

 西の空が赤く染まっていた。


 三人は並んで、夕日を見た。


 「きれい」


 ルナが言った。


 「ええ」


 ソフィアが言った。


 デメテルは黙っていた。

 長い間、夕日を見ていた。


 「……きれい」


 やがて、デメテルが言った。


 ソフィアとルナは顔を見合わせた。

 デメテルが「きれい」という言葉を使ったのは、初めてだった。


 「でしょう」


 ルナが言った。

 満足そうに。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ