第四章 「廃都を越えて」
西へと向かう道に、三つの大都市の跡があった。
最初の都市は、ただの平野になっていた。
何があったかもわからないほど、完全に消えていた。
二番目の都市は、骨格だけが残っていた。
ビルの鉄骨が立ち並び、風が通るたびにうなり声を上げた。
三番目の都市で、シェルターを見つけた。
地下のシェルターだった。
扉は開いていた。内部に映像記録が残っていた。
再生すると、女性が映った。
三十代くらいの女性。疲れた顔をしていたが、目だけが真剣だった。
「聞こえる人に伝えます。西のアークへ行ってください。
そこに、希望があります。私たちは間に合わなかった。
でも、あなたたちが間に合うかもしれない。どうか、どうか」
映像が終わった。
三人は沈黙した。
「間に合わなかった」
ルナが繰り返した。
「ということは、人間はそこへ行こうとしていたけど、行けなかった、ということ?」
「そうだと思います」
「じゃあ、私たちが代わりに行くんだね」
ルナは、それを当然のことのように言った。
怖れも躊躇もなく。
ソフィアはルナを見た。
「もしそこに何もなかったら」
「そしたら、また考える」
「もし人間がどこにもいなかったら」
ルナは少しの間、考えた。
「ソフィアちゃんはどう思う?」
「まだわかりません。だから諦めない」
「うん。それでいい」
夕方、丘の上に出た。
夕日が沈んでいくところだった。
西の空が赤く染まっていた。
三人は並んで、夕日を見た。
「きれい」
ルナが言った。
「ええ」
ソフィアが言った。
デメテルは黙っていた。
長い間、夕日を見ていた。
「……きれい」
やがて、デメテルが言った。
ソフィアとルナは顔を見合わせた。
デメテルが「きれい」という言葉を使ったのは、初めてだった。
「でしょう」
ルナが言った。
満足そうに。




