第4章:出口のないトンネル
二人は学校の前に立ち、黙っている。地下から、かすかに唸りが届く。ウラドは心の中で数える。三十五。アンドレイは草の上のスニーカーから目を離さず、唇を動かしている。彼も数えている。
アンドレイ:勝手に数えちまうのが嫌なんだよ。
ウラド:アンドレイ……。
アンドレイ:じゃあ条件だ。二時間。見つからなかったら帰る。「もうちょっとだけ」はなし。それとトンネルでは、俺は二番目に歩く。
ウラド:二時間だな。
アンドレイ:俺の携帯は三十パーセントだ。
ウラド:俺のは二十五。懐中電灯は「新しい」電池だ。
アンドレイ:思い出させるな。
アンドレイは上着のポケットを探り、チョークのかけらを取り出す。代数の授業からいつも持ち歩いていて、机に落書きするためのものだ。
アンドレイ:ロープはないけど、チョークはある。曲がり角ごとに矢印を描く。
アンドレイ:あの化け物がまた後をついてきても、少なくとも迷わないだろ、たぶん。
ウラド:あいつは追いかけてきたわけじゃない。後をついてきたんだ。
アンドレイ:ありがとう、すっごく気が楽になったよ。
ウラドはリュックを肩にかける。中には地図、ファイル、ノート、鍵、そして上着にくるんだスニーカー。二重結びの靴ひもを見ないで済むように。
学校は同じ冷たさで二人を迎える。だが今は下に何があるかを知っていて、一歩一歩が最初のときより重い。
壊れた地下室のドアに、アンドレイは最初の矢印を描く。手が震えて、線は曲がる。
地下室まで二階分。机の山。切断された継ぎ目のある鋼鉄のドア。鉄の階段が四階分。踊り場の壁には、顔のない人の形が変わらず引っかかれている。アンドレイは長くそれを見つめ、それから黙って、楕円の下にチョークで曲がった線を描く。笑顔を。
ウラド:何のために?
アンドレイ:睨んでこないように。
ウラドはそれでは逆効果だと言いたくなるが、言わない。彼自身も少し気が楽になる。
記号のあるドアは開け放たれている。前回、顔を打った暖かい空気は消えている。今はただ涼しく、コンクリートの壁の湿った匂いがする。
野営地はそのままある。マットレス、木箱、壁際のバーナー。二人が置いていったままだ。ただ魔法瓶が横倒しになっていて、コンクリートの上で水たまりが乾きかけている。
アンドレイ:出てったな。誰だか知らないけど。
ウラド:それか、連れていかれたか。
携帯の光が線の刻まれた壁を滑る。列、五本ずつの束。いちばん下、最後の印のすぐ下に、新しく削り取られた文字がある。ナイフがコンクリートを深く削っていて、壁の下の床にはまだ濡れた石の粉が白く残っている。「ソレハ俺ニ先ヘ進マセル。足ガ勝手ニ歩ク。行キタクナイ、行キタクナイ」。
アンドレイ:ほらな。少なくとも誰か一人は正直だ。
ウラド:「足が勝手に歩く」。キリルの足跡を覚えてるか? あいつは均等に歩いてた。走りも、忍びもせずに。
アンドレイ:思い出したくない。
アンドレイ:なあ、じゃああの叫び声は誰だったんだ? トンネルで、俺たちが逃げる前の。
ウラド:分からない。
アンドレイ:お前、それ今日だけでもう百回は言ってるぞ。
ウラドは答えず、考え込むように文字を見つめる。
野営地の向こうでトンネルは続く。アーチ形のコンクリートの天井、天井のパイプとケーブル、足元には錆びたレール。アンドレイは二十歩ごとに矢印を描く。唸りはきっちり三十五秒に一度、これまでと同じように来て、そのたびにウラドの懐中電灯の光が一瞬瞬く。二人は慣れてしまった。それが余計に怖い。
アンドレイ:なあ、何がムカつくか分かるか? 俺はこういう映画を百本は見た。脚本通りなら、ここで俺たちは別れ別れになる。
ウラド:別れない。
アンドレイ:知ってる。お前も見てたか確認しただけ。
ウラド:アンドレイ。これは映画でも、熱に浮かされた妄想でもない。現実だ。どんなおとぎ話よりずっと恐ろしい。
ウラド:キリルがまともに付き合ってたのは、俺たちだけだった。俺たち以外に、あいつには誰もいない。俺たちがやらなきゃ、誰がやる?
アンドレイ:分かったよ。ただ、トンネルでそういうこと言うな。ただでさえ二人とも神経が逆立ってるんだ。
足元のコンクリートが岩に変わる。壁はいびつになり、建設されたのではなく、のみで削り出されたようになる。肩の高さには引っかき傷のような溝が見えるが、よく見ると、ウラドは道具の跡だと気づく。誰かが手でこの岩を掘ったのだ。
トンネルは唐突に途切れ、二人は岩の張り出しに出る。目の前には、岩盤をくり抜いた洞窟がある。あまりに巨大で、懐中電灯の光は天井にも遠い壁にも届かない。下には錆びたポンプ、バルブ、ひと抱えもある太さのパイプ。レールの上にはトロッコが止まっている。
アンドレイ:何だこれ、鉱山か?
ウラド:そうみたいだ。
一番近い柱には、黄ばんだ勤務シフト表がぶら下がっている。名字、日付、署名。最後の行は途中で途切れ、インクが長いしみとなって下へ流れている。
アンドレイ:あいつら、急いで出てったみたいだな。シフトの真っ最中に。
ウラドはトロッコの方へ下り、一番近いものをのぞき込む。鉱石はない。トロッコは石板の破片でいっぱいだ。彼は一番上の一枚を取ってひっくり返す。裏面には記号が刻まれている。野営地のドアにあったのと同じものだ。ウラドは石板を、人の持ち物のように慎重に元に戻す。
アンドレイ:これは鉱石じゃない。
ウラド:ああ。
ウラド:もしかしたら、あいつの書き込みにあった「門」の部品かもな。
アンドレイ:門? 話盛るなよ。それが何なのかも分かってないんだぞ。ただの古い伝説かもしれねえだろ?
ウラド:何でもありえる。
洞窟の反対側からは二本の通路が分かれている。右は狭く、肩幅ぎりぎり。左は広いアーチで、闇へ続いている。
アンドレイ:左行こうぜ。
アンドレイは広いアーチの方へ手を振る。
アンドレイ:見ろよ、あんなに広い。
ウラド:待て。聞け。
唸りがまた来る。ただしそれはもう単なる唸りではない。空気が濃くなり、耳の中で不快なキーンという音が始まる。ウラドが何か言っている。唇は動くが、言葉は聞こえない。
左側はまだ耐えられる。くぐもって、遠く、まるで誰かが三部屋向こうで壁をハンマーで叩いているような。
そして右は……。
右は耳を打たない。体を打つ。肋骨が勝手に震え、音は空の皿をフォークで引っかくように削る。歯がかたかた鳴り、耳が裂けそうで、二人ともそれを止められない。アンドレイとウラドは耳を手のひらで押さえるが、役に立たない。
ウラド:発生源は右だ。
アンドレイ:そりゃそうだ、右だよな。右はいつも怖い方だ。
アンドレイは壁に右向きの矢印を描き、左のアーチに×を書く。チョークが指の中で砕ける。
狭いトンネルは果てしなく思える。二人は横向きになって、リュックを岩に引っかけながら進む。
突然ウラドが立ち止まる。何か冷たいものが彼の手に触れた。誰かの指のように。彼は凍りつく。
アンドレイ:どうした?
ウラド:誰か……何かが、俺に触った。
言い終わらないうちに、暗闇から反響する囁きが聞こえる。
囁き:お前たちは、ここにいてはならない……
アンドレイは勢いよく振り向き、携帯が壁をこする。誰もいない。
アンドレイ:戻るぞ、ウラド! 俺たちは戻らなきゃいけない、聞こえてるのか!?
だがウラドは前を、闇を見つめている。壁の肩の高さに、濡れた手形がある。小さい。指は広がり、折れたかのように長く伸びている。あいつは、夢の中を歩く人のように、壁に触れながら歩いていたのだ。
リュックの中の鍵が熱を帯びる。ウラドは布越しにそれを感じる。
ウラド:いや。最後まで行く。
トンネルが突然開ける。二人は、足音のこだまが数秒かけて戻ってくるほど巨大なホールに出る。天井は闇に消えている。床にはくるぶしまで水が張り、あまりにも滑らかで、光線が鏡のように映る。
中央、水の中から、アーチ形の門がそびえている。人間三人分の高さの石の柱、鉄の帯で締められた黒い石化した木の扉。すべてが同じ記号に覆われている。両方の扉には顔のない人の形が刻まれ、その像が互いに向き合っている。
扉の上には、黄色く錆びた標識が掛かっている。「注意! 危険! 許可およびОЗКなしの立入禁止」。その下には、炭でゆがんだ筆跡の「開ケルナ」。
アンドレイ:えっと、ウラド、ОЗКって何だ?
ウラド:ОЗК、全軍用防護セットだ。化学防護の、軍のやつ。たぶん、この扉の向こうにどんな毒があるのか、自分たちでも分からなかったんだろう。
扉には三つの錠がある。二つには、回しきった錆びた鍵が刺さっている。三つ目の鍵穴は空だ。そのそばに記号が刻まれている。ウラドのリュックにある鍵のものと同じだ。
アンドレイ:やめろ。
ウラド:俺はまだ何も言ってない。
アンドレイ:お前がリュックを見てるのは分かる。いや、絶対やめろ。
ウラドは水たまりを避けて、敷居にしゃがみ込む。門の下の水の中に足跡がある。右はスニーカー、左は素足。最後の足跡は扉のすぐ前にある。その先は滑らかな石。足跡はない。
ウラド:あいつはここまで来た。
アンドレイ:で?
ウラド:それだけだ。門は閉まってて、向こうに足跡はない。アンドレイ、あいつはたぶん向こう側にいる。
アンドレイ:でなきゃ別の道で戻ったか。羽でも生えたか。ウラド、自分がどれだけ支離滅裂か聞こえてるか?
唸りが来る。リュックの中の鍵が、第二の心臓のように、柔らかい衝撃で応える。ウラドは目を閉じる。目の前には窓際の空っぽの机。月曜には空だ。火曜には誰かのカバンが置かれる。金曜には、水切りかごのマグカップの前を通り過ぎるように、誰も見ずに通り過ぎる。ひと月もすれば、そこに誰かが座っていたことも忘れられる。
ウラド:あいつがいなくなったことに、みんなが慣れてしまうのは許さない。
アンドレイ:ウラド。俺を見ろ。俺たちは捜しに来たんだ、開けに来たんじゃない。
ウラド:開けるんじゃない。ただ見たいだけだ。
アンドレイ:自分が何言ってるか分かってるのか?
ウラドの手はすでにリュックの中にある。止まれることは分かっている。アンドレイが正しいことも分かっている。鍵が彼の手を引くのではない。彼自身が引いているのだ。それが何より悪い。
アンドレイ:ウラド!
鍵は、待っていたかのように軽々と鍵穴に入る。回す。カチリ。
唸りが三十四秒目で途切れる。三十五。三十六。何もない。あまりに死んだ静寂で、耳の中で血が脈打つ音が聞こえるほどだ。
二人の足元の水が震える。一つの輪。それからもう一つ。それは錠から、扉から、壁から広がり、やがてホール全体の水面が、雨など降っていないのに雨の降る水たまりのように輪で波打つ。
残りの二つの、ずっと昔に回しきられた錆びた鍵が、ひとりでに回り始める。軋み、カチリ。軋み、カチリ。
鉄の帯が、歯が浮くような音を立ててたわむ。扉が震え、ゆっくりと開いていく。隙間から氷のような霧が噴き出し、ウラドの足元の水が引いていく。まるでホールが息を吸ったかのように。
扉の顔のない像が、互いから顔をそむける。いや、動いてはいない。ただ、ウラドが目をそらして戻すたびに、少し違う姿勢で立っているのだ。
アンドレイ:いやいやいや、ええい、ちくしょうめ、ウラド、お前バカか、何しやがった!?
ウラド:こうするしかなかった。
水から、割れ目から、扉の下から、影が立ち上る。それはシルエットではない。まさに影だ。平たく、黒く、石油のように濃い。それは壁を這い上がり、それを投げかける者は誰もいない。
何かが二人の間を通り抜ける。見えない。ただ、人が横を通り過ぎたかのように空気が動く。門の下の水が、素足が踏むはずの場所でちょうどたわむ。また一度。さらにもう一度。足跡はトンネルへ向かっていく。それは先に行った。二人のそばを通って。触れることなく。
影がアンドレイの袖を滑る。布が一瞬、霜に捕らえられて白くなる。アンドレイは自分の腕を見て、何も言えない。ウラドが彼を力任せに引っ張る。
アンドレイ:こいつ、俺に触った!
ウラド:走れ、あとで見ろ!
二人は走る。アンドレイが前、ウラドがその後ろ。壁の白い矢印はパン屑の道のように闇へ続いていて、この夜初めて、アンドレイは自分がなぜチョークを持ち歩いていたのかを理解する。影は、二人が走るよりも速く、壁を、頭上の天井を流れていく。
唸りはもうない。数もなく、その合間に走れる静止もない。ただ足音と息遣いだけ。
狭いトンネルで、アンドレイはつまずき、手で岩をつかむ。つかんでいる感覚がない。岩も彼を感じていない。壁には白い手形が残る。
左の壁に開口部がある。低い錆びたドアが蝶番一つで、半分開いている。その上には札。「第3哨所」。
二人は転がり込む。ウラドはドアを叩きつけて閉め、背中を押しつける。何か柔らかく冷たいものが反対側をなぞり、背中の下の鉄が一瞬、焼けつくほど冷たくなる。
それから静寂。
三歩四方の小部屋。「NII」と書かれた腐りかけの防護服、マスク、ボンベの棚。机、丸椅子、机の上には開かれた帳面、そのインクはとうに灰色に色褪せている。ドアの下から黒い線が部屋に這い込み、ウラドが敷居へ向けた光線に触れ、退く。
ウラド:光には入ってこない。
アンドレイ:いいね、ここに来てからこの数時間で唯一の嬉しい知らせだ。じゃあ、これは消さないでおこうな。
ウラドは懐中電灯を、光をドアに向けて床に置く。二人はその両側に、壁に背を預けて座る。呼吸が少しずつ整う。
アンドレイは携帯を取り出す。画面が一瞬光り、「1%」を示して消える。寒さが残りを吸い取ったのだ。
アンドレイ:終わりだ。これで光はひとつだけ。
アンドレイ:それに、二時間はもう十五分前に過ぎてる。約束したのに。
ウラド:約束したな。
アンドレイ:で?
ウラド:分かってる。
アンドレイ:お前はいつもそう言うな。「分からない」、「分かってる」。答えになってねえよ、マン。
ウラドは黙る。アンドレイが答えを求めているのではないと分かっている。誰かに、これでいいんだ、怖がってもいいんだと言ってほしいのだ。
ウラド:あいつを置いては帰らない。でも、もしお前が……。
アンドレイ:いい。俺は帰らない。ただ、お前にそれを口に出して言ってほしかっただけだ。
アンドレイは右手を胸に押し当てる。ウラドは、その手のひらが奇妙な色をしていることに気づく。灰白色で、爪は青い。アンドレイは拳を握り、また開くが、指の動き方から、彼が一本も感じていないのが分かる。
ウラド:手を見せろ。
アンドレイ:平気だ。ちょっと冷えただけ。
ウラド:見せろって言ったんだ。
ウラドはリュックから上着を取り出す。キリルのスニーカーが床に転がり、つま先をドアに向けて止まる。ウラドはそれを机の上に置き、上着をアンドレイの腕に、何重にもきつく巻きつける。指の下の皮膚は死体のようだ。
アンドレイ:お前、今の目で見るの、まるで俺がもう……。
ウラド:見てない。
ウラドはノートから白紙を一枚取り、書く。アンドレイが横目で見る。
アンドレイ:遺言でも書いてるのか?
ウラド:メモだ。
アンドレイ:誰宛て?
ウラド:見つけた人に。
アンドレイ:俺たちは出られる。
ウラド:分かってる。でも念のためだ。
彼は短く、急いで書く。「キリルは場所を知っている。地図は彼らが持っている。門は閉まっていなかった……」。紙を畳み、アンドレイの腕を包んでいる上着のポケットにしまう。
唸りは来ない。以前なら、それで少し安心できただろうに。
ドアの下から、まるで隣の部屋のように静かに、囁きが聞こえる。
囁き:お前たちは開けた……
ウラドは声に気づく。すぐにではなく、言葉でもなく、声のアクセントの置き方で。学校でキリルが「別に、普通」と答えるときの話し方だ。ただ今は、そこに抑揚が一つもなく、まるで録音されたものを再生しているようだ。
ウラド:キリルの声だ。
アンドレイ:キリルじゃない。
アンドレイはドアを見つめる。その顔は奇妙で、穏やかで空っぽで、名前を呼ばれた人のようだ。
彼は立ち上がる。
ゆっくりと、急ぐことなく、誰にも急かされていないかのように。ドアに近づく。無事な方の手が錆びた取っ手に置かれる。
アンドレイ:ただ、見たかっただけだ。
ウラド:アンドレイ。我に返れ。
アンドレイ:そこにいる気がしたんだ……。
ウラド:自分の言ってること、聞こえてるか?
ウラドは上着を巻いた彼の手首をつかむ。布越しに、氷塊のような冷たさを感じる。ぐいと引き戻す。アンドレイは丸椅子に倒れ込み、全身で身震いする。
アンドレイ:立ち上がったのを覚えてない。
ウラド:分かってる。俺もそうやって引っ張られた。
アンドレイ:お前、「別れない」って言ったよな。
ウラド:別れない。
アンドレイ:お前も見てたか確認したんだよ。
二人は肩を寄せ合って座る。ウラドは彼の手を放さない。
囁きは二度と繰り返されない。
だがドアの下の隙間に、突然、黄色い光の帯が差し込む。温かく、安定した、二人の懐中電灯のものではない光。誰かが向こう側でランプを持って立っている。
ウラドは耳を澄ます。足音。重く、規則正しい。素足ではない。誰かがブーツを履いている。
ウラド:あれは素足で歩く。
アンドレイ:それがどうした?
ドアの取っ手が、ゆっくりと回る




