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第5章:理性の彼方

ドアが軋んで内側へ開く。敷居に人が立っている。古い防護服、重いゴム製で、ところどころ継ぎが当たっている。マスクが顔の半分を覆っている。手にはランプ。その安定した黄色い光に、背後の影が壁を這って退く。マスクのガラスの奥の目は、ヘッドライトに照らされた猫のように、青白い光で燃えている。

見知らぬ男:お前たちが見つけたのは、探していたものではない。ここにいるべきではなかった。

ウラドは立ち上がり、アンドレイをかばう。アンドレイはナイフのようにチョークのかけらを前に突き出す。

アンドレイ:お前、誰だ? 何の用だ?

見知らぬ男は机の上の開かれた帳面を指さす。

見知らぬ男:この記録はお前たちのためのものではない。手遅れになる前に去れ。

ウラド:去らない。まず友達を見つける。あいつはもう三日前から、跡形もなく消えてるんだ。

見知らぬ男:お前たちの友人は見た。私の野営地のそばを通った。走ってはいなかった。家に帰る者のように、まっすぐ歩いていた。門へ向かって。

ウラド:あんたは止めるべきだった!

見知らぬ男:自分の選択をした者を、私は止められない。門は空っぽの者を連れていく。彼は空っぽだった。

ウラドは帳面をランプの光の方へ引き寄せ、黙っている方が怖いので声に出して読む。

ウラド:プロジェクト「深淵」。開発作業。実験……。

アンドレイ:最初が「空の廊下の鳴動」で、次が「深淵」か。あいつら、人間より名前の方が多いな。

ウラド:野営地の壁にあった。「足が勝手に歩く」。あんたの仕業か?

見知らぬ男:私だ。おととい夜、お前たちの友人が私の野営地を通りかかったとき、私も引かれた。壁に身を押しつけ、収まるまでナイフで書き続けた。書いている間は、歩かずにすんだ。

アンドレイ:トンネルであのとき叫んだのも、あんたか?

見知らぬ男:私だ。お前たちを追い返したかった。だが、お前たちの後ろの足音は私のものではなかった。

アンドレイ:へえ、そりゃ喜んで拍手してやるよ。

アンドレイ:上のドアは? あんたのバーナーか?

見知らぬ男:私が九十一年に溶接した。命令が来たときにな。その後命令は取り消され、人々は去り、私は残った。二週間前に切った。唸りが大きくなったときに。

ウラド:あいつは門を通り抜けた。門は閉まってたのに、足跡は扉のところで途切れてた。

見知らぬ男:あの者のような者には、門は閉ざされない。お前たちのような者には鍵が必要だ。それを持ってきたのはお前たちか?

ウラド:ああ。錠に刺したままにした。

見知らぬ男:よし。それはまだ必要になる。

アンドレイ:必要になるなら、錠に刺しっぱなしにしちゃいけなかっただろ、天才。

ウラド:知らなかったんだ。

アンドレイ:お前はいつも知らないな。

ウラドは地図を取り出し、西のつるはしの印に指を当てる。

ウラド:ベリョゾフスカヤ。あんたはそれについて知ってるか?

見知らぬ男:その鉱山はこのトンネルに突き当たっている。地質学者たちは、突き破ってはならない壁を破った。

ウラド:キリルの父さんがそこにいたんだ。

見知らぬ男:知っている。

ウラド:生きてるのか?

見知らぬ男:お前たちに言うことはできない。

アンドレイ:じゃあ、階段で俺たちの後をついてきたものは? あれは唸りの合間にしか歩かなかった。

見知らぬ男:唸りはあれの呼吸だった。あれが歩く間、それは数えていた。今はもう数える必要がない。あれは好きな所を歩く。

アンドレイ:嬉しい知らせをどうも。

ウラドはノートの三ページ目を開く。三つの錠のある石の門。その下に、錠のない扉があり、真ん中に円がある。絵の下には二行。

ウラド:「最初の封印は鍵が解く。二つ目の封印は、失うもののない者が解く」。キリルのことか?

見知らぬ男:それを書いたのは、私の前にここにいた者だ。彼は正しかった。

アンドレイ:じゃあ、あいつはあそこにいるのか? 助けられるのか?

見知らぬ男:お前たちは、門の向こうで何が待っているのか分かっていない。お前たちの友人は、もはや以前の彼ではない。

ウラド:それでも、試みなきゃならない。

アンドレイは上着を巻きつけた自分の腕を見る。見知らぬ男はそれに気づく。近づき、その手首をそっと取り、手のひらを上に向ける。

見知らぬ男:霜だ。影が触れたか?

アンドレイ:ああ。感覚がない。

見知らぬ男:戻れば治る。戻らなければ、残る。

アンドレイ:「戻れば」「もし」……なあ、おっさん、あんたにはいい知らせってないのか?

見知らぬ男:お前たちは白い矢印をたどってきた。私はそれをたどってきた。いい習慣だ。

アンドレイ:俺の仕事だ。

アンドレイ:なあ、野営地の魔法瓶はあんたのか? 俺たちが来たとき、温かかった。

見知らぬ男:私のだ。水を汲みに出ていた。

アンドレイ:水を。こんな深さで。分かった、聞かないでおく。

アンドレイ:ウラド、本当に行くべきなのか? もしキリルがもう……その、以前のあいつじゃなかったら?

ウラド:俺はあいつを見捨てない、アンドリューハ。俺たちはもう、このクソみたいな泥沼に深く入りすぎた。

見知らぬ男:ならば私について来い。だが、そこに入ったら、戻れないかもしれない。

ウラドは机の上のスニーカーを取り、リュックにしまう。

見知らぬ男は二人を、狭いトンネルを通って引き返させる。影は彼のランプの前で退く。アンドレイの矢印が壁に白く浮かぶ。キリルの濡れた手形。その隣にアンドレイの白い手形。アンドレイは顔をそむけ、何も言わない。

門のホールでは、水は変わらず滑らかだ。扉は開け放たれ、冷気が吹き出している。鍵は錠に刺さったままだ。ウラドはそれを抜く。金属はまだ、誰かの手のように温かい。

アンドレイは下を見て、水に自分の姿を見る。映る自分は、腕に上着を巻いていない。彼は素早く目をそらし、誰にもそれを言わない。

見知らぬ男:それはお前たちに失うものがある間、温かい。覚えておけ。

門の向こうには、同じ記号の彫られた板で覆われた、まっすぐで狭い廊下が伸びている。壁には煤のような黒い染みが流れている。影がちょうど今ここを通ったのだ。

壁際にヘルメットが並んでいる。十一個は錆びて、番号が打ち出されている。十二個目はオレンジ色のプラスチック製で、額にライトが付いている。アンドレイは囁きで数え、十二個目のあとで黙る。

さらに数百メートル進むと、二人は古く色褪せた記号に覆われた巨大な金属の扉に突き当たる。扉の中央には、皿ほどの大きさの円があり、くぼみのように空だ。

見知らぬ男:これが門だ。第二の封印。

ウラドは囁きで尋ねる。

ウラド:あんたは? あの向こうに行ったことがあるのか?

見知らぬ男は答えない。肩から古い鞄を下ろし、中から本を取り出す。ページは黄ばみ、綴じは紐で縛られている。彼がそれを開くと、ウラドは扉と同じ記号を目にする。

見知らぬ男:お前たちの友人のような者には、扉はひとりでに開く。お前たちのような者には開かない。儀式は、一時的にお前たちを空っぽにする。扉がお前たちを通す程度にだけ。

アンドレイ:空っぽ?

見知らぬ男:永遠にではない。何のために行くかを覚えている限り、お前たちは戻れる。忘れたら、戻れない。

ウラド:覚悟はいいか?

ウラドはアンドレイに尋ねる。

アンドレイ:いや、ちくしょう、でも選択肢なんてあるか?

二人は、重いページの言葉を繰り返しながら儀式を行う。その言語は、知られているどの言語にも似ていない。見知らぬ男が最初にゆっくりと唱える。言葉は喉に砂のように沈んでいく。

一言ごとに、ウラドは何かが遠ざかっていくのを感じる。まず、湿った石の匂い。次に、自分の息の音。そのあと、一秒前まで大切だったもの。窓際の空っぽの机。キリルの父のマグカップ。自分自身の言葉。「俺がそばにいるから、な?」彼は手すりにつかまるようにそれにしがみつくが、それは滑り去っていく。

扉の記号が、鈍い青い光で輝き始める。扉の向こうから、深く鈍い音が響く。まるで何かが、二人の行為に応えているかのように。

アンドレイ:ウラド、俺たち何してるんだ?

ウラド:キリルを見つける。

門が、軋み振動しながらゆっくりと開き始める。何十年も触れられていなかったかのように。扉の中央の円が暗くなり、その中に一瞬、顔のない人の姿が閃く。扉の隙間から濃い氷の霧が溢れ出し、内側には、懐中電灯の光でも切り裂けないほど濃い闇が開く。

見知らぬ男:鍵に気をつけろ。それと、もうひとつ。お前たちの友人が話しかけても、すぐに答えるな。あれは自分の声で話していない。

アンドレイ:今言ってくれてよかったよ、もっと前じゃなくてな。

ウラドとアンドレイは不安げな視線を交わし、中へ足を踏み入れる。

たちまち闇が二人を包み、背後で扉が音もなく閉じる。ウラドは確かめようと足を踏み鳴らすが、自分の靴底の音が聞こえない。残るのは呼吸だけで、それも隣の部屋から届くようだ。ウラドの懐中電灯は消えるが、二人はお互いが見える。青白く、見慣れない、黒板にチョークで描いた絵のように。

アンドレイは死んだ携帯を取り出して時間を確かめる。画面がひとりでに光り、02:47を示す。彼はそれを一分見つめ、さらに一分見つめる。02:47。02:47。

二人の前に、映像が閃き始める。古いトンネル、錆びた階段、半壊した研究所。防護服の人々が、二人に気づかずにどこかへ走り過ぎる。誰かが叫ぶが、音はない。

映像の中に、一瞬、地質学者の作業着を着た男が現れる。ヘルメットにランプを付けている。彼はまっすぐ二人を見る。ウラドが身震いすると、男は消える。

ウラドの拳の中の鍵は氷のように冷たい。彼はそれを見つめ、なぜ自分がそれを握っているのか思い出せない。

アンドレイ:ウラド……俺の住所、何だっけ? 通りは……。

ウラド:何?

アンドレイ:思い出せない。さっきまで覚えてたのに。家、入口……ウラド、俺、忘れてる。

ウラドは彼の無事な方の手をつかむ。手のひらは氷のようだ。二人の指の間に挟まれた鍵が、突然かすかに温かくなる。

ウラド:アンドレイ。お前はアンドレイだ。机にチョークで落書きする。暗闇が怖いくせに、それでも下りてきた。

アンドレイ:俺は二番目に歩いたんだ。

ウラド:ああ、二番目にな。

その後、二人はふたたびその男を見る。男は背を向けて石の壁際に立ち、短いナイフで何かを刻んでいる。ウラドは何を書いているのか見ようとするが、映像はガラスの上の息のように溶ける。

アンドレイは神経質に鼻を鳴らす。目を閉じ、住所、通り、家、入口を、呪文のように急いで唱える。言葉が元の場所に戻るまで。上着に包まれた右手が、凍えたあとのようにちくりと痛む。一時間ぶりに、彼は指を感じる。

アンドレイ:放すなよ。

ウラド:放さない。

アンドレイ:それとお前、体育のときの百ルーブルの貸しがあるぞ。

ウラド:それは覚えてるんだな。

アンドレイ:それはいつも覚えてる。

突然、二人はシルエットを見る。キリルだ。長い廊下の端に立って、二人を見ている。

ウラド:キリル! 待て! 俺たちだ!

だがキリルは動かない。その目は冷たく恐ろしい赤い光を放ち、顔は奇妙で人間離れした笑みにゆがんでいる。左足は素足。彼は一歩後ずさり、トンネルの奥へ消えていく。

アンドレイ:あいつだ……でも、あいつに何があったんだ?

ウラド:あいつには俺たちが聞こえてる。後を追わなきゃ。

アンドレイ:あれがあいつじゃなかったら?

ウラド:あいつじゃないなら、あれは俺たちを後ろにつかせたいんだ。そして俺たちは、元々行くべき場所へ行く。

二人は前へ進むが、床は乾いて平らなのに足が粘りつく。ウラドは歩数を数え、数え間違える。前のキリルは近づいてこない。壁は、肩が岩に触れるほど迫ってくる。そして周囲に囁きが聞こえ始める。

囁き:お前たちはここにいてはならない……手遅れになる前に去れ……

ウラドには別のものが聞こえる。小さな、彼の知っている声。「お前は遅れた」。彼は歯を食いしばり、歩き続ける。隣でアンドレイが何か囁き、唇の動きから分かる。「母さん、母さん、今行くよ……」。

それからウラドは自分自身の声を聞く。ただし、声に出してではなく、内側から。「失うものなんてない」。キリルの言葉だ。彼は突然、それを口にするのがどれほど簡単か悟る。どれほど心地よいか。何も抱えなくていい、何も直さなくていい、すべてをここに置いていける。足がひとりでに止まる。

アンドレイ:ウラド。ウラド! 立ち止まるな。

ウラド:俺は……俺は行く。

アンドレイ:ただ歩け。

アンドレイ:あれが俺を呼んでる気がする。

ウラド:あれじゃない。

アンドレイ:知ってる。でも、声が……。

ウラド:聞くな。

ウラドの拳の中の鍵は、冷えたり温まったりを繰り返し、二人はたったひとつの懐中電灯のように、それにしがみつく。

廊下は、切り落とされたように終わる。ウラドは惰性で一歩踏み出し、壁がもうないことに気づく。こだまが五秒後に戻る。ホールだ。

唸りが戻ってくる。二十秒に一度。それから十秒。それから五秒。それは肋骨を、歯を、こめかみを打つ。床が震える。

ホールの中央には、トラックほどの大きさの石棺がある。蒸気船の船体のように、板をリベットで留めて作られている。リベットは歯のように並ぶ。錆は上だけで、下の部分は滑らかで濡れている。まるで今、水から引き上げられたばかりのように。その周りを記号が取り囲み、文字盤のない時計の針のように円を描いて刻まれている。蓋の上には、鍵と同じ印。記号の間に、名前が刻まれている。十二個。最後のものは新しく刻まれ、縁がまだ白い。その下には、滑らかな空きがある。十三個目。

アンドレイ:十二の名前。ウラド、これが勝者のリストだって言ってくれ。

ウラド:戻らなかった者たちのリストだ。

アンドレイ:お前がそう言うと思ってたよ。

キリルは石棺の前に、二人に背を向けて立っている。その手は前に伸ばされ、まるで古い封印に触れようとしているかのように。

ウラド:キリル、待て! やめろ!

だが、もう遅い。キリルが石棺に触れる。唸りは、古いテレビのような、ひとつの果てしない甲高い音に変わり、ホール全体が震える。墓から噴き出した咆哮が、二人の周りの空気を凍りつかせる。ウラドの拳の中の鍵は、取り落としそうなほど熱く焼ける。

アンドレイがウラドに駆け寄る。

アンドレイ:ウラド、出なきゃ! 壁が迫ってる!

ウラド:あいつなしでは行かない。あいつをここに置いてはいけない。

アンドレイ:あいつはもう俺たちといない! この石棺の中の何かが、あいつを奪ったんだ!

アンドレイ:俺たちは自分を救わなきゃ!

その瞬間、キリルがゆっくりと二人の方を振り向く。その顔は見分けがつかない。無関心に満ち、死んだガラスの目で、まるで全生命がその体を去ったかのよう。左足は素足で、その下の泥にはすでに暗い水たまりができている。

キリル:これが俺に必要なすべてだって感じる。俺は行けない。

キリルの声は一つではない。その下に、少し後ろに、こだまのように、さらに声が響く。男の声、女の声、一つはまったく幼い。ウラドは答えようと口を開き、思い出す。すぐにではない。心の中で五つ数える。

ウラド:キリル、違う! それはお前じゃない! 俺たちはお前を迎えに来たんだ!

キリルはふたたび石棺を見る。

ウラド:「気にしないで」って言え。あのとき窓際で言ったみたいに。ただし、そんな声じゃなく、自分の声で。

キリルには聞こえない。目は空っぽだ。アンドレイは首を振る。

アンドレイ:聞こえてない。

声たちの中に、他のものより少し後ろから、もう一つが現れる。低く、落ち着いて、まるでその持ち主が、ベッドの端に腰を下ろしたばかりのような。ウラドはそれを一度も聞いたことがないが、キリルの顔に起きることから、それが誰のものか悟る。

声:来い、って言ってるだろ、このやんちゃ坊主。母さんが起きないように、静かにだ。

キリルは、火傷でもしたかのように石棺から手を引く。空きの場所に刻まれた「K」の引っかき傷が、書きかけのまま止まる。

キリル:父さん……。

膝が折れる。彼は倒れ、全身が震え、口を開くが、一言も出ない。石棺から、青い粒を含んだ黒い煙が噴き出し、周囲の現実全体が、アスファルトの上の熱気のように揺らぎ始める。

ウラドは彼のそばに膝をつき、倒れる者を支えるように肩をつかむ。キリルは十二番目の名前に目を上げる。読む。その顔が、空っぽでなくなる。

キリル:ヘルメット。十二個目。オレンジ色の。見たのに、分からなかった。

ウラド:キリル……。

キリル:父さんは、いなくなったんじゃない。ここにいる。ただ……残ったんだ。

キリル:父さんは、俺を呼んだんだ、唸りを聞きにって。あの夜。俺は「明日」って言った。それから、夢だったんだと思った。

ウラド:俺も「あとで」って自分に言ってた。ひと月ずっと。

キリルは何も答えない。だが、彼を見る。

二人のそばに、人が現れる。アンドレイがびくっとし、それから防護服に気づく。

ウラド:あんた、外に残ったはずじゃ。

見知らぬ男:外はもうない。

見知らぬ男:第二の封印は、失うもののない者が解いた。それを閉じられるのは、失うものがある者だけだ。だが封印は代償を取る。

アンドレイ:どんな代償だ?

見知らぬ男は、名前の下の十三番目の空きに頷く。

見知らぬ男:名前ひとつ。それはお前たちの友人を待っていた。今、彼には失うものがある。だからそれは彼には要らない。

キリル:やめて……。

見知らぬ男:私は見守るために残った。これのためだ。

アンドレイ:なんであんたが?

見知らぬ男:私には戻る場所がない。封印にはそれで十分だ。

彼はナイフを取り出す。野営地の壁に書いたあのナイフだ。石棺に近づき、書きかけの「K」の隣に自分の名前を刻む。ウラドは読み切れない。文字が終わる前に、いつも石が暗くなるのだ。

アンドレイ:おっさん……。

見知らぬ男:行け。キリル、お前の手だ。言うべきことを言え。

壁の外、二人が来た方から、音がする。金属を叩く音。もう一つ。もう一つ。アンドレイはヘルメットを数えたときのように、囁きで数える。十一回は重く、錆びている。十二回目は誰よりも静かで、誰も起こさないように指の関節一つで叩くような音だ。キリルが身震いする。十二人が、最後の一人を迎えに来たのだ。

ウラドは肩を貸す。

ウラド:俺がそばにいるから、な? 俺につかまれ。

キリルは彼を見る。この夜、初めて、本当に見る。

キリル:うん。

彼はウラドとアンドレイに支えられて立ち上がる。石棺に近づき、その上に手を置く。前とは違う置き方で。

キリル:見つけたよ、父さん。発生源を、父さん。

唸りは三十五秒の間隔に戻る。ウラドの拳の中の鍵が冷える。ただの錆びた鉄の塊だ。

見知らぬ男は石棺から離れる。マスクをつけた顔が二人に向けられ、初めて、その目には青白い光がない。

見知らぬ男:扉が閉まるまで、三十五秒だ。

キリル:残ってくれて、ありがとう。

見知らぬ男:走れ。

二人は走る。キリルはウラドに重くもたれ、アンドレイが反対側から彼を支える。ウラドは走りながら、鍵を、アンドレイの腕に巻いた上着のポケット、メモと同じ場所に突っ込む。

ウラド:持っててくれ!

ウラドは走りながら振り返る。見知らぬ男は石棺のそばに一人で立ち、もう二人を見ていない。名前を見ている。十一、十二番目、そして自分の。まるで、自分の時が来たかのように。

ここには距離がない。闇が縮み、前方に光がひとりでに現れ、扉が金庫の扉を閉めるような音を立てて閉じていく。二人は隙間をすり抜け、直後に背後で扉が、少年たちの耳が詰まるほどの轟音とともに叩きつけられる。

そこからは記憶を頼りに走る。ヘルメットの廊下。門のホール。足元で水がぴちゃぴちゃ鳴る。

開け放たれた扉のそばで、ウラドは一瞬、歩みを緩める。「最初の封印は鍵が解く」。解く、ということは、掛けもするのだ。空の鍵穴が、黒い目で彼を見る。

キリル:鍵! こっちに、俺が閉める!

ウラド:時間がない。

彼は静かに言うが、反論を許さない調子だ。キリルは二人の肩にぶら下がり、青ざめて唇を震わせていて、止まれば倒れてしまう。ウラドは鍵穴から顔をそむける。鍵はアンドレイの上着のポケットに残る。

その先は洞窟。アンドレイの白い矢印が二人を導き、三十五秒ごとに唸りが来る。規則正しく、従順に。二人は声に出して数える。

キリルがつまずき、アンドレイが右手で彼を支える。一時間前までは他人のものだった、その手で。痛い。彼は放さない。

洞窟の分岐点で、矢印の一つが消されている。チョークではなく、霜を指で、深い×印で。誰かが、二人を左へ曲がらせたがっている。アンドレイはポケットからチョークの残りを取り出し、右手で新しい矢印を描く。

アンドレイ:右だ。いつも右。

狭いトンネル。野営地。鉄の階段。四階分。学校が息を吐くようだ。廊下は静まり、壁は凍りつく。最後の踊り場で、アンドレイの腕から滑り落ちた上着が、階段の下に残される。誰も気づかない。

ウラド:三十四。

キリル:三十五。

最後の唸りが、ちょうど二人が草の上に転がり出た瞬間に来る。

アンドレイ:三十六。

静寂。本物の。どんな部屋にもない静けさ。

空には星。二人は荒く息をついて立っている。キリルはウラドにつかまっている。まだ立つのが辛い。

キリルは頭を後ろにそらす。三日間、彼は下ばかり見ていた。床、足元、トンネル。星はあまりに明るく、見知らぬもののようだ。

アンドレイ:出られたな。

アンドレイは額を拭い、右手の指を開く。指は言うことを聞く。ほとんど。

キリルは黙っている。聞いている。まるで誰かが、彼が見ていることを知っているかのように。

彼は勢いよく振り返る。二階の窓に、人影が立っている。黒く、動かず、首が長い。顔は仮面のようで、目も口もない。それはまっすぐキリルを見ている。

キリルは凍りつく。それは動かない。それから、ゆっくりと窓から離れ、霧のように闇に溶けていく。

ウラド:キリル? どうした、なんでまだ学校のそばに立ってるんだ?

ウラドとアンドレイはもう廃墟の柵のそばまで離れているのに、キリルはまだ学校の前に立っている。

キリルは唾を飲み、目をそらす。

キリル:何でもない。行こう。急がなきゃ、もう明け方だ。

三人は学校から、振り返らずに離れていく。だがキリルは感じている。何かが足りない。

ひと月後

暖かい夕方。キリル、ウラド、アンドレイは家のソファに座り、ボードゲームをしている。笑い声、ポテトチップス、紅茶、ごく普通の生活。

家は静かだが、もう寒くはない。母は昨日、初めて父を名前で呼び、キリルはそれを訂正しなかった。マグカップは相変わらず水切りかごに置かれているが、今はただ触れられないだけで、触れるのを恐れているわけではない。

アンドレイ:早く打てよ、キリューハ、引き延ばすな。また自分の戦略を練ってるのか?

アンドレイは鼻を鳴らす。

キリル:言っとくけど、ここに置けば、二手でお前の負けだ。

キリルはにやりとする。

ウラド:いつものように時間稼ぎしてるだけだろ。こいつが考えてる間に、ポテトチップス取ってくれ、頼む。

アンドレイは左手でポテトチップスを差し出す。右手は膝の上に、手のひらを下にして置いている。

アンドレイ:賭けてもいい、こいつは結局外す。前回みたいに。

キリル:お前らは、チャンスの瞬間を待つのが下手なだけだ。

笑い声。駒がテーブルを打つ音。紅茶が冷めていく。

ウラド:アンドリューハ、お前の方がリモコンに近いだろ、テレビつけてくれ。

背景にテレビ。臨時ニュース。

アナウンサー:本日18時頃、少年グループが行方不明になったとの通報がありました。目撃者によりますと、彼らは町外れの旧校舎の廃墟に入り、その後出てきていないということです。現場では救助隊と警察が活動しています。

アナウンサー:建物は危険と判断され、内部には崩落した構造物と、最近の立ち入りの痕跡があります。捜索は続いています。廊下のひとつ、階段の下から、上着が発見されました。ポケットには錆びた鍵と、文面が途中までのメモがありました。

アナウンサー:「キリルは場所を知っている。地図は彼らが持っている。門は閉まっていなかった……」。捜査当局によりますと、下りる前に、行方不明の少年たちはこのメモを撮影し、チャットに送っていたとのことです。「メモを見つけた。見に行く」。救助隊は引き続き少年たちを捜索しています。

キリルはゆっくりと駒をテーブルに置く。手は、存在しない寒さのせいのように震えている。自分の名前が聞こえる。ウラドが、出られなかった場合に備えて、くぼみで書いたメモの言葉。

ウラドは画面の上着を見る。それからアンドレイを。

ウラド:鍵だ。あいつは門を閉めてた。

アンドレイ:あれは上着の中にあった。

キリル:俺、鍵をくれって言ったのに。閉められたのに。

ウラド:俺が「時間がない」って言ったんだ。

キリル:お前は正しかった。

アンドレイ:あいつらは知らなかったんだろ。あの、他の連中は。

それきり、誰も何も言わない。

キリルは視線を落とす。左のスニーカーの靴ひもがほどけている。あの夜、石の床で締めた二重結びが、ひとりでにほどけたのだ。何かが、手放さなかった。

彼は立ち上がり、テレビを消す。暗い画面に三人が映る。自分自身、ウラド、膝に手を置いたアンドレイ。

「ある。今はある」。キリルの頭の中で、鐘のように響く。

終

Specter Xpath(キリル) 18/10/2026



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