第2章:闇のさらに奥へ
廃校は、灰色の空を背景に黒い染みのように建っている。ウラドとアンドレイは入口で立ち止まる。町外れのここでは、車の音さえ聞こえない。
アンドレイ:もう一回確認しよう。俺たちは廃墟に行く、夜に、お前が三日前にキリルがここへ向かうのを見たからって。それが俺たちの計画のすべて?
ウラド:計画じゃない。これが俺たちにあるすべてだ。
アンドレイ:最高だな。マジで最高。俺は全然嬉しくねえぞ、マン。
ウラドはドアを懐中電灯で照らす。取っ手はもぎ取られ、錠はなく、曲がった掛け金だけが釘にぶら下がっている。
ウラド:あいつは確かにここにいた。
アンドレイ:それか、あいつの前に百人は来てる。ここは町の半分が来たことのある場所で、ヤク中やホームレスやサタニストのたまり場だぜ。
ウラドは光線を入口の床に向ける。厚い埃の上に、一列の足跡が続いている。ぎざぎざの靴底、小さなサイズ。足跡は中へ向かっている。戻る足跡は一つもない。
ウラド:見ろ。一方向だけだ。
アンドレイ:分かった。もう笑えねえな。
二人は中に入る。足の下で床が軋み、埃が舞い上がって懐中電灯の光の中に沈んでいく。風が割れた窓から忍び込み、ひとつの音程で長く尾を引く。
数歩進むと、床がかすかに震える。地下鉄が通るときのような、ほとんど感じ取れないほどの震え。ここには地下鉄などないのに。それから、すべてが静まる。
アンドレイ:今の感じたか?
ウラド:ああ。何かが叩いたみたいな。遠くで。
アンドレイ:この町に地下鉄は作ってないはずだけどな。
ウラド:知ってる。
アンドレイは携帯を取り出してストップウォッチを起動する。二人は黙って先へ進む。三十五秒目に、床がまた震える。低い唸りが靴底を通り抜ける。
アンドレイ:三十五。
ウラド:不安を煽るなよ。
アンドレイ:煽ってない、時間を測ったんだ。
ウラドは前へ踏み出し、自分でも心の中で数え始める。次の唸りのとき、懐中電灯の光が明滅して消える。
闇。聞こえるのは二人の息遣いだけ。
ウラド:くそっ、ふざけんなよ……電池は新品なのに。昨日替えたばっかりなんだぞ。
彼は何度もスイッチを押す。何も起きない。ウラドは携帯のライトを点け、弱々しい白い円が廊下の一部を照らし出す。
アンドレイ:お前の携帯まで死んだら、俺は帰るからな。悪く思うなよ。ホームレスの家で冒険なんて、そんな契約はしてねえ。
背後で、かすかな引っかく音がする。二人は同時に振り向く。光の円が空っぽの廊下を探る。誰もいない。
アンドレイ:で、何だよ今の?
アンドレイは、不満たっぷりに顔をしかめてウラドを見ながら、そう尋ねた。
アンドレイ:今ので俺の魂、かかとから脱走するとこだったぞ、マジで。
ウラド:たぶんすきま風だ。でなきゃ通気口でネズミが走ってるんだろ、ビビるなよ。
アンドレイ:引っかくすきま風ね。ああ、ああ、筋が通ってるな。
一分後、ウラドの懐中電灯がひとりでに点く。ウラドは目を見開いてそれを見つめ、何も言わない。
廊下の突き当たりで、二人は「地下室」と書かれた札のあるドアを見つける。それはとうに壊れている。下の蝶番がもげ、歪んだ扉が上の蝶番だけでぶら下がっている。今、ドアは少し開いていて、隙間から冷気が流れてくる。
入口の埃の上には同じ足跡の列がある。ぎざぎざの靴底、小さなサイズ。足跡は隙間へまっすぐ続いている。
アンドレイ:このドアは百年前からここにぶら下がってるのに、開けたのはつい最近のやつだ。
ウラド:あいつはここを通った。
ウラド:行くぞ。あいつは俺たちの友達だ。以上。
アンドレイ:分かったよ。ただし、その呪われた地下室にはお前が先に入るんだぞ。
ドアの向こうは普通のコンクリートの階段で、二階分下へ続いている。地下室は地下室らしい。低い天井、白いカビの粉を吹いたパイプ、脚の折れた机が壁際に積み上げられている。湿気と古いペンキの匂いがする。
アンドレイ:階数、数えてるか?
ウラド:二つ。
アンドレイ:二階分下。まあ、地下室は地下室、学校は学校だな。何も言えねえ。
地下室の奥、壊れた机の山の向こうに、重い鋼鉄のドアがある。その上には、塗装の剥げた札。「技術室。関係者以外立入禁止」。
枠の縁に沿って、粗い溶接の跡が走っている。そのすぐ左には、新しい切断面がある。光る金属で、錆ひとつない。誰かが最近このドアをこじ開けたのだ。
アンドレイ:溶接されてたんだ。誰も入らないように溶接した。で、誰かがそれを切った。
ウラド:キリルが?
アンドレイ:キリルがグラインダー持ってきたってか? 冗談だろ。あいつはリュックとスニーカーで学校に通うやつだぞ。
ウラド:だったら、持ってきた誰かがいる。それとも……。
アンドレイ:それとも、俺たちは入っちゃいけない場所に行こうとしてる。
扉は手のひら一枚分ほど開いている。隙間から冷気が吹き出し、あまりに濃くて、口からすぐ白い息が出る。外はまだ冬ではなく秋なのに。濡れた石と、溶接のあとのような何か焦げたものの匂いがする。
アンドレイ:そもそも、なんで学校の地下室に溶接で塞がなきゃならないドアがあるんだよ?
アンドレイは突然立ち止まり、ドア枠にしがみつく。携帯の光が震えている。
アンドレイ:もう終わりだ、ウラド。戻ろう。誰かに電話しよう、警察でも、どこでも。あっちに捜してもらえばいい。
ウラド:で、何て言うんだ? 友達が廃墟に行って、俺たちはバカだから後を追って入って、唸りを聞きましたって?
アンドレイ:何でもいいだろ! 下に何があるのかも分からないし、俺たちが生き埋めになるかもしれない。
ウラド:だから行くんだ。
ウラド:警察に言ったってキリルは見つからないし、そのうえ俺たちは罰金を取られて親にバラされる。
アンドレイ:俺たち二人のバカと、ひとりでに消える一個の懐中電灯だけか。
ウラド:怖いなら、回れ右して家に帰れ。
エコーが深みから何度か、湿った風の流れとともに戻ってきて、だんだん小さくなっていく。二人とも黙り込む。
アンドレイは長い間ウラドを見つめる。それから背筋を伸ばし、黙って先へ進む。一歩後ろから。
アンドレイ:怖くねえよ。ただ、一部のやつらと違って、頭で考えてるだけだ。
ウラドは答えない。彼は隙間に体をねじ込み、アンドレイがその後に続く。ドアの向こうには鉄の踊り場と、暗闇の中へ下っていく錆びた階段がある。段が足の下で音を立てる。
最初の段で、ウラドはつま先で何か柔らかいものに触れる。光線を下げて、彼は凍りつく。鉄の段の上にスニーカーが立っている。左のスニーカー。湿っていて、灰色の埃をかぶり、靴ひもは二重結びになっている。
ウラド:これ、キリルのだ。
アンドレイ:確かか?
ウラド:あいつはいつも二重結びだった。ひもはいつもばらばらの長さで。
ウラドはスニーカーを拾う。靴底はぎざぎざで、サイズは小さい。入口の埃の上の足跡と同じだ。布地には薄く霜の膜が張っている。
ウラド:こんな凍えるような寒さの中で、スニーカーを階段に置いてく奴がいるか?
アンドレイは答えない。携帯の光はスニーカーに当たったまま、動かなくなる。
踊り場の壁には引っかき傷がある。たくさん、不揃いな列をなして。文字にも数字にも似ていない記号。その中に、一本の線で引っかいて描かれた粗い人の形がある。顔はない。目も口もなく、ただシルエットだけ。
ウラド:壁を見ろ。誰かが何か尖ったもので引っかいたんだ。文字にすら見えない、象形文字みたいな。
アンドレイ:うーん、変だな……。
ウラド:ただの荒らしなら、顔を描くか、いつものように卑猥な言葉を書くだろ。ここにはどっちもない。
アンドレイ:顔がない。
ウラド:ああ。このあたりの不良が描いたんだろ、通路が開いてた頃に。
床が震える。唸りが下から、最初のときよりも近くで響く。ウラドは心の中で数え始める。三十。三十五。何も起きない。
三十六。三十七。唸りが来ない。入ってから初めて、床が静止したままで、そのせいで静寂がどんな音よりも強く圧しかかる。
アンドレイは一言も言わない。ただ携帯を、指が白くなるほど強く握りしめている。
四十。四十五。
そして唸りの代わりに、下の闇から囁きが響く。かすかなのに、あまりにもはっきりしていて、ショックによる震えと麻痺が背中に覆いかぶさる。その声はどこか聞き覚えがあるようだが、ウラドはそれをどこで知ったのか思い出せない。
囁き:なぜ、ここにいる?……




