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第1章:闇への第一歩

夜。部屋は暗く、廊下から差し込む細い光の筋だけが床に横たわっている。ドアが軋む。キリルは、誰かがベッドの端に腰を下ろす気配を感じる。

父:起きろ。静かにな。

キリル:何? ねえ父さん、今、夜の三時だよ。どこ行くの?

父:来い、って言ってるだろ、このやんちゃ坊主。母さんが起きないように、静かにだ。

父の声は落ち着いているが、そこには何か、キリルに逆らう気を起こさせないものがある。

二人は家の地下室へ下りる。木箱や古い工具の間に、父の機材が置かれている。モニター、ケーブル、観測機器のセンサーが、小さな穴を通って、コンクリートの床の下へ伸びている。

父はキリルにヘッドホンを差し出し、自分も着ける。最初はただ静寂だけがある。濃密で、押しつぶすような静寂。やがて三十五秒に一度、低い唸りが聞こえる。それとともに、床をかすかな振動が伝わっていく。

キリルは父を見る。父は頷く。「お前にも聞こえるんだな」

父:もう一週間前から聞こえてたんだ。探検用に機材を買って、家で夜に試してみようと思ってな。調整している最中に聞こえたんだ。

唸りが床を伝わっていく。父はそれが静まるのを待つ。

父:計算では、唸りは真下じゃなく、町外れの方から来ている。あそこには廃校しかない。まあ、そこからとは考えにくいが。

父:軍が何か試験してるのかもしれん。友人が言ってたよ、戦時中に軍が町の下にトンネルを掘ったという伝説があるって。あるいは、隣人が地下で発電機を回しただけかもな。とにかく、もう寝ろ。明日は学校で早いだろう。

父:待て、お前、大丈夫か?

そのとき、キリルのヘッドホンの中の雑音が大きくなっていく。大きく、もっと大きく、さらに大きく。キリルがヘッドホンをむしり取ると、まばゆい閃光、耳鳴り、そして……。

キリルは目を覚ます。

自分の部屋。灰色に霞んだ夜明け。静けさ。心臓が激しく打ち、額には冷や汗。地下室も、ヘッドホンも、父も、すべて夢だった。

父がいなくなって、もう数か月になる。仕事で地質学者のグループとともに隣の州の古い鉱山を調べに行き、そこで崩落が起きたのだ。人々は一週間捜索されたが、やがて打ち切られた。危険すぎるし、費用もかかりすぎるから。遺体は見つからなかった。

キリルは長い間ベッドに座り、ガラスのような目で壁を見つめている。手には靴下。それから着替えて、学校へ行く。

一日中、先生たちの声はガラス越しのように響く。昔と違う飛び方をする鳥のことを、父は去年じゅうずっと言っていた。地下の唸りのことを話し始めたのは、出発のわずか一週間前だった。キリルはそのとき、聞き流してしまった。

最後の授業の前、キリルは窓際に立っている。そこへウラドが近づいてくる。

ウラド:よう。調子どう?

キリル:別に、普通。

ウラドは彼を見て、口ごもる。

ウラド:あのさ……父さんのこと。前から言いたかったんだけど、言葉が見つからなくて。

キリル:やめて。

ウラド:ただ……何かあったら、俺がそばにいるから。な?

キリルは答えず、窓の外を見る。校庭は空っぽで、秋の風が落ち葉を地面に転がしている。

キリル:失うものなんて、もうない。ずっと前から、何もない……。

ウラド:どういう意味だ? 何の話だよ?

キリル:ああ、気にしないで。ひとりごとだよ。

チャイムが鳴る。キリルは教室へ去り、ウラドはなおも数秒、窓際に立って、その背中を見送る。

放課後、キリルは家に帰る。家の中は静かで寒い。父が帰らなくなってから、ずっとそうだ。母はほとんど部屋から出てこず、父の名前はもうこの家では口にされない。父のマグカップは水切りかごに置かれたままで、誰もそれを片づけようとしない。

キリルは黙々と食事をし、棚から古い懐中電灯を取り、リュックから父のノートを取り出す。もう何度もめくったノートだ。

最後のページには町の地図があり、その上に、町外れの廃校の建物が鉛筆で丸く囲まれている。丸の下には父の筆跡で「発生源。戻ったら確認する」。

キリルは「戻ったら」という書き込みを見つめる。それからノートを閉じ、リュックに戻す。

キリル:帰ってこなかったから、俺が確かめる。

彼は日が暮れてからようやく、夜が近づく頃に家を出る。

真夜中。彼は建物に近づいた。キリルは町外れの廃校の入口の前に立っている。冷たい風がすきま風となって空っぽの窓の中でざわめき、街灯の影が壁に滲んでいく。空は雲に覆われている。

入口に立ち、彼は心の中で数える。二十……三十……三十五。

怖いはずなのに、恐怖はない。ただ静けさが胸の内にある。家の中と同じ静けさが。

そのとき、下の方で何かがガチャンと鳴り、続いて鈍い衝撃音が響く。床が揺れる。体の中がきゅっと縮こまる。息が苦しい。懐中電灯を持つ手がわずかに震える。

キリル:やっぱり、父さんは作り話をしてたんじゃなかったんだ。

彼は中へ踏み込む。内部には埃っぽい廊下が遠くまで続き、割れた窓ガラス、落書き、剥がれた壁紙が見える。懐中電灯が照らすのは数メートルだけで、あとは闇に潜んでいる。キリルは真っ直ぐに、静かに、振り返りもせずに歩く。慣れた道を行くように。

彼はウラドが窓際にいた姿を思い出す。何か月もの間、みんなが父の話題を、道路の穴のように避けてきた。まず捜すのをやめ、次に尋ねるのをやめ、今では母さえ口にしないようにしている。そして今になってウラドが口を開いた。言葉がもう何の重みも持たなくなったときに。

その考えが頭から離れない。少なくともここでは、誰も何事もないふりをしていない。

廊下は地下室へ続くドアに行き着く。それはとうに壊れていて、蝶番ひとつでかろうじてぶら下がっている。今、ドアは少し開いていて、隙間から冷たく湿った空気が吹き出している。

その同じ夜、ウラドは眠れずにいる。窓際での会話を何度も何度も頭の中で再生する。丸一か月、彼はキリルの父のことについて黙っていた。間違ったことを言うのが怖くて、そのうち、どう切り出せばいいか分からなくなった。そして切り出したら、キリルはただ顔をそむけた。あの「失うものなんてない」という言葉が、今も彼を放してくれない。

翌日、キリルは学校に現れなかった。

休み時間、ウラドは二階の窓際に立ち、携帯をちらちら見ている。友達でクラスメイトのアンドレイは、いつものようにだるそうに、教室の前の壁にもたれている。

ウラド:今日、キリル見たか?

アンドレイ:いや。サボりじゃね? 何心配してんだよ。

ウラド:昨日の夜、友達と散歩してたら、あいつが町外れの廃墟の方へ歩いていくのを見たんだ。一人みたいだった。それで昼間には、失うものなんてないって言ってたんだ。

アンドレイ:あそこには誰でも行くだろ。写真撮りに行ったか、落書きでもしに行ったんじゃね。キリルはずっとああだったじゃん、変なもんに凝ってる静かな一匹狼で。

ウラド:そういう話じゃないんだ。俺はひと月、あいつの父さんのことで口にチャックしてた。踏み込まないでおこうと思って。でもそのせいで、あいつはあの汚い現実と一人きりで向き合うことになった。

ウラド:もしあいつが、みんなどうでもいいと思ってたら? そういうときに人は崖から落ちるんだ。

アンドレイは少し目を細めてウラドを見る。

アンドレイ:そんなにマジな話だと思う?

ウラド:確信してる。もう廃墟とか冒険とかの話じゃない。あいつは何か考えてる。ああいう場所で一人で動くのは、いい考えじゃない。何かあったのかもしれない。

アンドレイ:それか、ただ面白半分で行ってるだけだって。お前、何でも大げさに考えすぎなんだよ、マン。

ウラド:考えすぎじゃなかったら? あいつは日に日に変わっていったのに、俺は気づかないふりをしてた。もうしない。

アンドレイは黙り、それからため息をつく。

アンドレイ:分かった。出てきたら話そう。出てこなかったら、そのときはどうする?

ウラド:そしたら、とことん掘り下げる。あいつが闇に踏み込んでいくのを、手をこまねいて眺めてるなんて俺はごめんだ。

キリルは二日目も三日目も現れなかった。そこでウラドとアンドレイは、廃校へ行って、彼が何か痕跡を残していないか確かめることにした。

校舎は、まるで二人が来ることを知っていたかのように、冷たく空虚な隙間風の音で彼らを迎えた。中は暗く、じめじめして、静まり返っていた……。


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