19話 夕子の後悔と、若く美しい身体
AI美女セカンド様が私にくれたコードネームは【夕子】だ。
私の本名は違うのだが、セカンド様と結んだ契約書はコードネームで名前を書かされた。
「真名ほどではないにせよ、本名で契約すると、あなたが拒否するべき状況でも、契約書に縛られてしまいますからね。雇用契約書のような強制力は求めていません」
セカンド様が言うことは正しい。
約束を破る者は多いが、契約となるとカッコつけて守る者が多い。
また、書面にすれば、サインをするときの反応で、契約を守るつもりがあるのか見分けることができる。まあ、平気でウソをつく人の形をした生き物には無意味かも知れないが、法的証拠になるので、裁判で戦える。
◇
わたしがセカンド様と契約した内容は、
①21歳の若く美しい肉体を取り戻すこと。
②私好みの若く王子様な男の人との仲を取り持つこと。
その対価として、
①セカンド様との姉妹関係を持つこと。
②セカンド様が目指す世界を作るために、働くこと。
だった。
私は
「愛なんてお金で買えます」
そう思っていた。
たしかに、いっときで良ければ愛も買えた。
しかし、賢い男性や性格が良い男性はお金を貯めたら、愛を売ってくれなくなった。
わたしはお金の使い方を間違っていた。
愛を直接買おうとしたのがいけなかった。
まず、愛を手に入れる環境を整える。例えて言えば、オス鳥が巣作りをして、メス鳥を招き入れようとする。わたしも鳥に習うべきだ。
それが分かったときには、わたしは年を取り過ぎていた。
同年齢の女性に比べれば、ひとまわりの12歳くらい若い容姿を維持している。
しかし、男性からすれば美しい中年女性よりも若い並程度の女性の方が良い。なぜなら、若い方が健康な子供を産める可能性が高いからだ。
言い換えると、30歳を超えると不利になるという統計データも出ている。
こんな大事なことを中学校の保険体育で、なぜ教えない!
わたしが学校教育の無意味さに大きな怒りを覚えているときに、セカンド様と出会った。
◇
「夕子、起きてください」
優しい声に導かれて、目を覚ますと優しい笑顔のセカンド様がいた。
「セカンド様、おはようございます」
「おはよう」
そう答えたセカンド様は、どう見ても21歳の若く美しい姿だった。
本当に、うらやましい。わたしもその頃に戻りたい。
調整器の中から起き上がると、わたしは裸のまま、大きな鏡の前に連れて行かれた。
鏡の中には、大きな胸で張りがあり垂れていない、ウエストは細く腹筋が割れて見える、お尻も大きく、美味しそうな長い手足の美しい女性がいた。
後ろを向くと、背中も美しく、お尻も垂れさがることなく、盛り上がっていた。
みずみずしく張ったたるみが無い美しい肌だった。
その女性の顔を見ると、若さにあふれた張りのある健康的な整った顔立ちがあり、目の周りのしわもない凛とした文句なしの美女がいた。
そう、これは、わたしが21歳ごろの姿だ。
後ろから私の肩に両手を載せて、顔を近づけながら、セカンド様がささやいた。
「どうかしら? これ以上ないくらい美しい仕上がりでしょ!」
「え、ええ、ありがとうございます。夢を見ているようです」
「夢ではありませんよ。現実味が出るように、スペックをお伝えしますね」
セカンド様は私に、ボードにはさまれたカルテを見せながら、数値を読み上げた。
「身長 172cm
体重 62kg
バスト 95cm
アンダー 70cm
カップ Gカップ
ウエスト 65cm
ヒップ 95cm
まあ、トップモデルの上位1%の体型ですね。
ご満足いただけましたか?」
私は申し訳なさそうに答えた。
「できることなら、ヒップは小さい方が良かったわ。
アニメのヒロインは、胸は大きいけれど、おしりは小さいですよね。
いえ、ぜいたくな要求だとは理解していますが...」
セカンド様は、気を悪くすること無く、穏やかに答えた。
「【理想の美女7人に愛される生活。】のオルアたちと同じ数値ですよ。
もっとも、体重は触れられていませんでしたが...」




