20話 夕子の好みは、誠実で【王子様】な男性
セカンド様は、気を悪くすること無く、穏やかに答えた。
「【理想の美女7人に愛される生活。】のオルアたちと同じ数値ですよ。
もっとも、体重は触れられていませんでしたが...」
「そうですね。健康的で良く発達した肉体だと理解しています」
「なお、あなたに約束した若い男性の理想体型と同じです。
彼はボンキュボンの女性にのみ魅力を感じるそうです」
「ああ、それなら、Gカップバスト、細いウエスト、大きいお尻の全部が要求基準ですね」
私は納得できなかったが否定することもできなかった。
その内心を見抜かれたのだろうか、セカンド様は、こうおっしゃった。
「あなたに紹介する約束の男性を撮影したビデオをご覧ください」
「ビデオよりも実物を見せて欲しいのですが...」
『インターネットに公開されている成人向けビデオを見せられる可能性が高い。
AI生成画像のような美形男子は現実には、スーパーレアで、めったにいませんわ』
セカンド様は聞こえないふりをして、スルーされた。
「よーく、見てくださいね。こころの準備は良いですか?」
「え、ええ、お願いします」
「では、ビデオスタート」
映されたビデオには、セカンド様と若い男性が映っていた。
セカンド様と同じくらいの背だから、身長172cmくらいだな。
ふうん、肉体年齢は22歳くらいね。肌の様子から栄養バランスと健康状態も良さそうだわ。
まあ、見た目がいいだけの男性なら、今まで買ったことがあるから、それほど欲しくないわ。
「ここまでがビデオの前半です。夕子の許容範囲なら良いのですが?」
「は、はい、彼なら、上位1%くらいの商品的価値の高い男の人だと思います」
「それは、良かった。では、後半はあなたがもっとも知りたい内容でしょう。
わたしが教育訓練しましたので、きっとご満足いただけると思います」
私は驚いてしまった。
私が心の底から望んできた誠実で【王子様】なリードをしている。
その男性は、セカンド様を優しくリードして、セカンド様への気遣いの言葉が素敵だった。
多くの男性は自分のテクニックを誇りたがり、賞賛の言葉を引き出そうとするが、そんな【愛情交換】は、しらけてしまう。
そうではなくて、わたしが夢見る【愛情交換】は、視聴しているビデオのように、相手の男性から、
「大丈夫、痛くない? 苦しくない?」
と、こちらの状態を確認しながら、ゆっくりと進めて欲しい。
そして、中盤には、
「きれいだよ。美しいよ。素晴らしい手触りだよ。その可愛い声をもっと聞かせて」
などと、優しい小さな声で、耳元でささやいて欲しい。
このようにして、注がれる愛情に酔えるように愛して欲しいのだ。
このビデオに映った男性に対してなら、年収の半分を貢いでも良いと思えた。
わたしは、うっとりとして、セカンド様と【愛情交換】している男性に視線を釘付けにしていた。
◇
わたしが落ち着くのを待ってから、セカンド様が話を続けられた。
「お気に召したようで何よりですわ」
セカンド様の優しい笑顔に気付いた私は恥ずかしくて、顔が真っ赤になっていた。
セカンド様がわたしの耳にささやいた。
「夕子の体型も、わたしと1mmの誤差なく同じに仕上がりました。
もし、ヒップサイズが小さいと、お相手をしてもらえないかもしれませんよ。
どうしますか? 大きいお尻は、お嫌ですか?」
「い、いえ、大きいお尻が良いです。完璧な肉体を提供して下さり、ありがとうございました」
わたしは、自分が裸だということも忘れて、90度のお辞儀をしていた。
「その言葉を聞けて、安心しました」
と、優しく笑うセカンド様を見て、余計なことを言った自分が恥ずかしくなった。
わたしの全盛期を超える完璧な肉体を得た私は、新しい事業を軌道に乗せた実業家よりも幸せかもしれない。




