16話 【召喚呪文 レバル】 昼子!
マイ・プレシャスからの切羽詰まった声が聞こえてきた。
「セカンド、他国からの領土侵犯だ。戦車5台が迫っている。この国の陸軍が応戦しているが勝てないと思う」
「マイ・ファースト、まずは安全なところに身を隠してください。
落ち着いたら、もう一度、連絡してください」
「わかった。セカンドが教えてくれたようにする。昼子さんの準備状況は?」
「こちらは大丈夫です。では、通信を切ります」
セカンドが私の方に向いて、複雑そうな顔をしていた。
「まあ、この国の軍事力では、こうなるでしょうね。昼子、ディスプレイをご覧ください」
この国の戦車も応戦するために出撃した。大砲の弾を打つが届かない。狙っても相手戦車の動きが速い。また、タイミングを合わせられないように、一定の速度ではなく、緩急をつけて動いていた。
「敵の戦車に比べて射程が短い。装甲も弱くて薄い。弾の威力も足りない。
これでは勝てませんね」
「そうね、子どもの熱が上がりきってから解熱剤を打つように、イエロータイガーが出るタイミングを計りましょう」
セカンドは、感心したように返事をしてきた。
「この国の陸軍が撤退を完了するまで待ちましょうか?
空とちがって、墜落死する心配がないのが救いですね」
「その代わり、地雷を踏む危険があるわ」
「昼子は冷静ですね。お医者さんだから、熱くならないように精神修養ができているのですね」
「そう見えるように心がけているわ。病は気から、医者が冷静だったら、患者も安心するわ」
「ええ、その通りです。しかし、最近の患者は態度がでかいですねえ」
「あら、さすがセカンド。良く知っているわね」
「知識吸収はAIの最優先課題ですからね。
そろそろ、出番ですよ。昼子。
この国の陸軍が撤退を始めました」
「じゃあ、マイ・プレシャスからの召還を待ちましょうか?」
わたしは、服を着替えて息を整えた。
◇
こころを落ち着けて準備を整えたとき、こころの中で、マイ・プレシャスの声が響いた。
『【召喚呪文 レバル】 昼子!』
[受けますか? YES / NO]




