14話 昼子とセカンドの【姉妹関係の儀式】
わたしの全盛期を超える完璧な肉体を得た私は、成功率1%の手術を成功させた外科医よりも幸せかもしれない。
◇
セカンド様から、残念なというか悪いお知らせがあると言われた。
「マイ・ファースト。ビデオに映った若く美しい男性のことです。
彼との【愛情交換】は、3日ごとに1日だけと説明していましたが、彼の希望により、4日ごとに1日となります。
言い換えると、朝子、昼子、夕子、セカンドが順番にお相手をすることになります。
当初の契約書と変わってしまいますが、ご了承いただければ幸いです」
セカンド様は申し訳なさそうな表情をお見せになられた。
だから、今後の良好な関係を築くためにも、フォローが必要だと考えた。
「大丈夫ですわ。理想の美女たちは、週に1回だけ自分の曜日だけの【愛情交換】でした。それに比べれば多いです。
それに、私としては、毎日24時間いっしょは無理です。4日ごとに1日の方が医師の仕事を続けることができるので、好都合です」
「聡明な回答に感謝します。
【理想の美女7人に愛される生活。】のストーリーを、調整器の中で深く理解されたようで嬉しく思います。
そして、昼子の私に対する気遣いを感じられて、幸せな気分になりました」
「はい、良い世界だと感じました。そのような国が存在するなら、移住したいです」
私の返事に、セカンド様は満足そうだった。
セカンド様と理解し合えた気がして、わたしは素直に嬉しかった。
◇
セカンド様から次の段階を説明すると言われた。
「それでは、食事と歯磨きの後で、私と昼子の【愛情交換】、つまり、【姉妹関係の儀式】を始めたいと考えます。こころの準備は良いですか?」
わたしは迷うことなく、首を縦に振って同意した。
「よろしくお願いします」
私たちは食堂に移動した。
「お食事を用意してあります。温めるまで、しばらくお待ちください」
私たちは、いっしょに食事をした。
セカンド様が作られた食事は、本当に美味しかった。
「このような手料理をゆっくり味わって食べるなんて、久しぶりですわ」
「お口に合って良かったですわ。
昼子をつなぎ留めておくためにも、3大欲求はすべて満たしておきたいですからね」
「食う、寝る、ヤルの3つですね。
調整器の中での睡眠は格別でした。長年の疲れが取れた気がします。
いま、頂いた食事も最高でした。
最後は、ビデオに映った男性、わたしは、マイ・プレシャスと呼んで、唯一無二のペットとして可愛がる予定です。今から会うのが楽しみです」
セカンド様は、首を横に振って、うーんと悩まれていた。
「【理想の美女7人に愛される生活。】の美女たちを、よーく思い出してくださいね。
つまり、【攻め】と【受け】の両方ができることを要求します。あなたが言う可愛がる行為を、これからあなたにします。
もし、あなたが嫌と感じるならば、マイ・ファースト、あなたにとってのマイ・プレシャスに対しても、可愛がる行為をすることは許しませんからね」
「えっ? いや、確かにセカンド様が相手でしたら、嫌と感じることはありません。
可愛がる行為は、わたしの【愛情交換】の形です。
でも、セカンド様は女性を可愛がる趣味があるのですか?」
「おイヤですか?」
「いえ、【理想の美女7人に愛される生活。】の世界観は大好きです」
「それは良かったです」
◇
食後の歯磨きを済ませたあとで、セカンド様との【姉妹関係の儀式】が始まった。
わたしたちは、「KaSeiDard」のロゴが入った上下に分かれたスポーツウェア姿に着替えていた。
ベッドの端でセカンド様と並んで座った。
わたしたちの正面に誰かがいるとしたら、セカンド様が左、私が右、さらに、右にマクラが置かれていた。
セカンド様の左腕が私の左肩に載せられて、抱き寄せられた。
私の耳元で優しい声が聞こえた。
「【姉妹関係の儀式】については覚えていますね?」
「は、はい。サブシスとして一番大事にする相手をハイシスの前で誓うのです」
「その通りです。電子書籍限定ストーリーによると、サア女王と白沢絵美の【姉妹関係の儀式】に立ち会ったハイシスは、16方位第14神の女神 サトス・ルウナだそうです」
「はい、覚えています。サア女王は白沢絵美様を褒め称えて口説かれました」
「そうですね。わたしも、サア女王のように昼子を口説ければよいのですが、上手く説明できる自信がありません。ですから、完結明瞭に、これだけは話すべきことを伝えます」
「お聞かせください」
「マイ・ファーストに釣り合う身も心も美しい裏表がない女性を、わたしは長い長い時間と日数をかけて選びました。
それが、朝子、昼子、夕子の3人です。
ですから、胸を張って誇ってください」
「はい、とても光栄です」
わたしを見つめるセカンド様の強い視線を浴びて、わたしは乙女の様な表情をしてしまった。【攻め】が好きな私だが、【受け】を担当しても良いと思えてきた。
真剣な顔をしたセカンド様の美しい唇から言葉がこぼれた。
「はじまりはいつもキス」
その言葉を受けて、目を閉じた私の唇に柔らかいセカンド様の唇がやさしく触れてきた。
セカンド様の右手に、私の後頭部を支えられながら、わたしの頭が枕の上に小さな音も立てること無しに着地し、枕に包まれるようだった。
セカンド様が私を見る視線が強すぎて、私は不覚にもドキドキしてしまった。
「昼子、とても可愛いですよ」
「はずかしい」
わたしはセカンド様から目をそらしてしまった。
「恥ずかしくありませんよ。とても見事な芸術品です。だから、堂々と誇って見せてくださいね」
わたしは恥ずかしい気持ちを抑えて、セカンド様の表情を見た。こっちが恥ずかしくなるような嬉しそうな笑顔を向けてくれた。
「セカンド様に見事な芸術品と言ってもらえて嬉しいです」
「ええ、もっと堂々としましょうね。昼子」
その夜、わたしたちの【姉妹関係の儀式】は、第3段階まで一気に進んだ。
これで、わたしは【性魔力】が使えるようになるはずだ。




