008 事故物件な顧客なお話
美月は週3で家庭教師のバイト入れてます。
火曜は家庭教師事務所に顔を出してからの授業へ
面談も最低賃金時給出てます!授業中はちょっとお高い時給☆
今日も学校の帰りの運転をしながら颯太に美月は言い募る。昨日の顔色のせいで今日も車を出して貰っているが、3日目ともなると楽になるので、明日は車を出すと言うが颯太が了承してくれない。
「明日、出せるよぉ~」
「まだ、顔色悪いぞ?」
「えぇ~そうかなぁ?」
「明日、大丈夫なら明後日頼むわ」
「ん~分かったぁ~。明日もよろしくお願いいたします」
「あははめっちゃ丁寧!」
「そりゃお世話になってますから!《すぱいす》颯太の分は私が出すべきか!?」
「いやっいいって。俺がバイト、ヤバい時は美月に頼むじゃん?」
「今がヤバい時では?先週土曜から今週木曜まで詰まってたよね?」
「あぁ~店長が早く帰りたいから締め要員がほしいだけ。20時に出勤して22時にクローズして23時までに片付けするだけの短い時間の簡単なお仕事です」
「おぉ!店長さんに春が来た?」
「そそっ!今、頑張ってるところって言ってた。そして、冬が訪れると俺のシフトが減る」
「あははウケる!」
「急に『俺は仕事に生きる』とかなる」
「んじゃ、今はハッピーなんだね?」
「どうだろう。頑張ってるって言ってたけど、またお店のおネーちゃんとかじゃないといいけど・・・」
「あぁ。そのパターンもあったねぇ~」
「ほら、着いたぞ。明日も俺来るから」
「分かったぁ。お言葉に甘えます」
颯太に降ろして貰って家に戻ると、時間は16時半。今日は家庭教師事務所に寄ってから葵ちゃんの家なので早めに出ないといけない。
御飯は朝にセットしたので炊けている。その4合の御飯を、炊飯器から窯ごと出して卵をみっつ割ると卵かけご飯状態にして満遍なく混ぜる、だしの素とちょっと醤油もだらし、塩コショウで味付けもしちゃう。
今日は、炒飯と冷凍餃子!ネギと玉ねぎと人参、ピーマンも細かくみじん切りにして、しめじはほぐして、豚バラは一口サイズ、大きなIH用中華鍋をだして火にかけて温めて油が温まるとザっと具材を炒める。全部の具材に火が通ると一回お皿に出して、今度は油を大目に入れる。オリーブオイルと香りつけのごま油。湯気が立つほど温まったら卵かけご飯を半分いれて炒める。
それもいい色に焼けたら、お皿に避けて残り半分を炒める。それもいい色になると全部混ぜるように炒める。腕が痛い。だから、炒飯は作るのが嫌い。細かく切った野菜がほろほろしてて片づけるのも面倒くさい。
でも、みんなすきなんだよねぇ~と思いながら混ぜ合わせて5つのお皿に盛る。フライパンをサッと洗って火に戻す。温まると冷凍餃子を並べて少し待ってお水を投下。ふたをして蒸し焼きにする。
焼きあがった餃子は、私と両親は3つ、兄と弟には5つ炒飯の上にのせる。洗い物は増やしたくないしね。だいたい誰かが終わらせてくれるけど残ってたら私の仕事だしぃ~とぶつぶつ言いながら盛り付ける。
17時過ぎだしお腹が空いたので、さっと食べちゃうと顔を洗いに行く。そして上のダボダボのTシャツだけ綺麗目のリボンタイのあるふわっとした紺のブラウスに着替えてメイクを直す。
17:45には家を出れた。事務所まで10分の距離を車で向かう。ほぼ18時ピッタリに家庭教師事務所に着くと所長が待っていた。
「おぉ!森さんジャストだね!」
「すみません!ギリギリで!」
「大丈夫!大丈夫!現地へは早めについてるでしょ?」
「はい。10分前には着くようにしてます。あまり早すぎると小山さんケーキとか出してくるので・・・」
「あはは気に入られてるね」
じゃあ、こっちにと面談室に案内されて所長と対面する。所長は60歳のオジ様な年齢の人で、元々は塾を経営してたらしい。その塾は息子に任せて自分は家庭教師派遣事務所をやってるのだから引退する気では無いのは分かる。
「小山さんから連絡来ました。来月いっぱいですね」
「はい。受験の為に大手の塾に行くそうです」
「あぁ。そうなんだがね。塾が合わなかったら森さんにまたお願いしたいって言われてて。塾の場合でも週1でも出来ませんか?って聞かれているんだよ」
「わぁ有難いですけど、葵ちゃんそれではパンクしません?」
「うん。でも、慣れている森さんだから聞きやすとかもあるかもしれない。夏期講習終わるまで新規入れなくてもいい?」
「あー今週木曜からの子は?」
「それは、もう入ってる。葵ちゃんが入ってる火土の新規の事だよ」
「大丈夫ですよ?7月いっぱいは葵ちゃん入るから週3勤務で、8月からは週1か2かもってことでいいですか?」
「そうそう!だから、葵ちゃんが週1になったら、木曜に入る子と葵ちゃんと後1人週1の子を持ってもらおうかな?って大丈夫かな?」
「はい!来年は続けられるかわからないので、今年は頑張りまぁす!」
「うん。無理はしないでね。森さんも立派な学生だからね!」
「はい。ありがとうございます!体力とか時間的に課題が厳しいとかなりそうでしたら早めに相談させて下さい」
「うん。君はしっかりしてるからその点は安心だけど、しっかり者だからこそ頑張りすぎて倒れないでね」
「・・・はい!気を付けます!」
小山葵ちゃんの話が終わると所長は今度は言いにくそうに、あーだのうーだの言い始めながら口を開く。
「あーんーと、それでだね。木曜からの新規の子」
「中学1年生の男の子ですよね?松永大翔君ですよね?珍しいですね。女学生の担当に男の子って」
「あーねぇー。彼のたっての希望なんだよ」
「わぁーお!女性の家庭教師希望したってことですか?」
あははと素直すぎますねと軽く引く。まぁそうだよねっと所長も引いているのにそのまま美月に担当をお願いしるのには理由があるのかな?と考える。
「うん。そう。でね・・・まぁ彼はまぁ・・・・その時期の・・・・」
「あぁ。思春期ですか?」
「そう、ちょっとこじらしてる感はあるね。まぁ母親を見るとしょうがないのかなと・・・」
「おぉ!お母様がなかなかの強敵ですか?」
「そうなんだよ。ちょーと、なんというか。神経質?大翔くんいは6歳と1歳の弟妹がいるんだけど・・・授業はリビングでお願いしますって・・・・」
「あぁ~女性家庭教師と部屋にこもられるのは・・・って感じですかね。じゃあ、男性が良くないですか?」
「それが、大翔くんが女性教師じゃないと授業受けないって突っぱねているらしくて・・・」
「あはは家庭教師を拒否したいので、理由付けですかね?お母さんのこと分かってますね。結構冷静?」
「あぁ。そうかもしれないね。森さんの木曜が空いたのが4月じゃない?だから、すぐに違う子入れようとしたんだけどそれで揉めてねぇ~」
「あぁ。男性の家庭教師がいいお母さんと、思春期を拗らせて反抗して女性の家庭教師じゃないと受け付けないふりしてるかもしれない中1の男の子ですか・・・」
「そう」
美月はオヤ?と思う。確かに、美月も家庭教師の先生だが大学生のアルバイト。この事務所には職業として家庭教師をしている職員さんが5人ほどいる。家庭教師のほかにアルバイトのフォローや、交代要員でもあり、難しい案件の子は難しい子でも相性がよさそうならアルバイトを当てることはあるが職員さんが担当することが多い。
「なんで、そんなややこしい案件を私に?・・・アルバイトじゃなくて職員さんは空いてなかったんですか?」
「うん。1回目の訪問で全員チェンジを受けました」
「チェンジってなんデスか。あっすみません。思わず」
「いやぁ~分かるよ。夜のお店じゃないんだからと私も突っ込みかけて辞めました」
「その方が賢明かと・・・」
「だから、木曜は気負いなく行って!森ちゃんムーブを巻き起こしてきていいから!」
「なんですか?私ムーブって!」
「優しいけど厳しい?」
「チェンジって言われても、契約しないって言われてもいいからとりあえず。よろしく!」
「あぁ。はい。行きますけど・・・怖っ・・・」
「いっそ、嫌われてもいいから本気で話してきて。その子も困ってるかもしれないしさ」
「・・・そうですね。分かりました」
所長との話だけで疲れたなと思ったけど、今から葵ちゃんの家に行かなくてはならない。苦手意識の数学とご褒美勉強の社会と理科のテキスト。土曜日の為の英語と国語を印刷して小山家に向かって、小山家の家族に癒され、小山家と継続できたらいいなぁ~とボヤんと考えながら帰ってきた。
読んで頂きありがとうございます!
週末は、3時、15時の2回更新します☆
~登場人物~
森 美月 21歳 1浪大学2年生 ITビジネス科
6/12生 何かと人に相談されがちな事が少し気になる今日この頃
体系にコンプレックスを持っている 男兄弟の真ん中
山崎 颯太 20歳 1浪大学2年生 エネルギー制御科
7/28生 美月の幼馴染 幼小中 高校別なのに同じ1浪して同じ大学で再会した




