007 出来る男の育ち方
スパダリの生育方法が垣間見えます。
「みづ姉ぇ~。起きんの?」
昨日、バイトから帰ってきて夕食も食べず泥のように寝た美月は弟である煌星の声で意識が起される。
「ん~何時?」
「10時。昨日早く寝たのに遅いから珍しくて!俺、朝飯食べたけど、みづ姉は朝ごはんはグラタンでいいの?」
「う~ん。お腹空いたらトーストと食べるぅ~食パン残ってる?」
「あーうん。ラスト1枚。袋にみづきって書いとくね!」
12枚キリだったのに、父母1枚づつ、兄はいないだろうに・・・ラスト1枚以外全部食べたなと思いながらも、1枚は残せたのか偉いなぁ~とぼやぼやと考えながら美月は返事をする。
「よろしくぅ~」
「マジで、大丈夫?熱無い?」
煌星は先ほどまで遠慮してドアを薄っすら開けて喋っていたのに、急に部屋に入り美月のおでこを触る。美月と煌星は年子で兄の太陽は少し離れて美月より4つ上。兄が思春期を拗らせている時、忙しい両親は気にかけてはくれたけどお互いだけが頼りの場面は多々あった。
美月は美月でお姉ちゃんだからちゃんと世話しなきゃ感があったのし、顏のパーツが対照的な両親の其々違うパーツが似てしまった仲の良い兄弟はカップルに見られがちだった。2人が思春期になると、背も伸びてバレーでエースだった煌星のファンに彼女と間違われた美月は様々な嫌がらせを受け、煌星の美月に対する過保護が増した。
従兄弟からは、太陽兄と美月姉は顔そっくりだけど、雰囲気は美月姉と煌星兄のが似てるのにね!と謎の兄弟そっくりの情報を頂いた。
「大丈夫。なんだろねぇ~。なんか眠い」
「あぁ。毎月のアレは?」
「あーありうるかも・・・」
「昼飯は太陽兄と相談するから、ゆっくりしてなね!」
「ん~今、喋って目覚めたから起きてご飯食べてみる。お昼は2人で相談して!」
起きてトイレに向かうと始まっていた。あぁーと思いながら朝食は昨日の夕食に自分用に避けていたエビほうれん草グラタンを一旦レンジで温めて、トーストと一緒にトースターで焼いて食べる。念のために鎮痛剤を飲んでおいた。
鎮痛剤も飲んだし、目も冷めたので、課題を広げてみるが調子が出ない。まとめは後日にして資料だけ揃えるかと調べもののリストを作成してURLをスプレットシートにリンクさせて纏める。
痛みはまだ無いが、眠気が酷くなってきた美月は大人しく寝ることにする。今日が日曜で良かったと思いつつも明日は月曜日かぁ~とゲンナリと考える。
ベットに転がって、スマホを開くとSNSに通知マークがあった。開くとグループ窓【MaoMiduKoto】に2つ、【Sota.Y 】に1つ、【Daiki(北高/E制科)】1つ通知がついていた。
Maimao『今日、マジ忙しかった!美月の入れたアイスコーヒーのお陰で乗りきれたよぉ~サンキュー!また飲もうね!』
松本Koto『美月!やっぱ、現場行ったり、人と会うのはいいわ!デザインアイディア捗る捗る!誘ってくれてありがとう(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾また、煮詰まったら飲もう!ノリノリの時は無理かも(/ω\)」
『遅くなってごめん!昨日はバイトから帰ったら寝ちゃった。私も楽しかったぁ~やっぱ、最強の3人ですな!また飲もう!あっ、私は早め目に《トラモント》行くかも。ユウさんが気にしてるっぽい!』
2人からは昨日で入っていた。詫びつつ返信をする。あははとテンション高いメッセージに笑いつつ美月も返信をうつ。既読にはすぐにならない。真央は仕事だろうし、琴音は卒業制作中かもなと思いながら、【Sota.Y 】の窓を開く。
『明日、どうする?俺出してもいいけど?』
明日か。明日は絶対にきつい日だ。美月は心を込めて返事を打つ。
『明日は、お願いします!助かります!』
既読はすぐにつき了承のスタンプがピコンと出てくる。それに、美月もお願いのスタンプを投げて次は、【Daiki(北高/E制科)】の窓を開く。
『金曜、おれ暇だから《すぱいす》19時でいい?予約しとく!3人でいいよね?』
おぉ!気を遣ったらしい。自分の予定も盛り込んでくるけど・・・苦笑しつつも返信をうつ。
『うん。19時でいいと思う。校内のカフェテリアで1時間くらいで終わらないかな?と思っている』
既読はすぐにつかないけど、美月の瞼も限界だった。そのまま瞼は降りてきてまた、お昼過ぎまで眠った。起きたら、大輝から了承のスタンプが入っていた。お昼ご飯に牛肉と玉ネギのシンプルな牛丼の牛煮込みがあった。感謝しつつも牛丼にして拝んで食べた。
それから、少し課題を進めてのんびりと本を読んでウトウトして夜は、鮭を軽く塩をまぶして焼いてチーズをのせたメインに、梅きゅうりと豚バラとワカメと玉ねぎの豚汁風味噌汁。キャベツ炒めを作って食べた。あんなに、寝たのに睡魔に抗えず21時に夢の世界へ旅立った。
◇◇◇◇◇
月曜は朝から最悪だった。前日に始まった月の物は、今朝から激痛も伴った。痛みで起きたことを思い出す。昨日はデートに出ちゃった両親が今朝は朝食を作ってくれた。
美月はもちろん腹部も痛いし腰に鈍痛も感じるが足の付け根に痛みを感じる時がある。顏は少し青白くなり、目の下には薄っすらとクマがのる。
病院にも行ったことがあるが低容量ピルを勧められただけ。骨盤鍛えてみては?と言われた。低用量ピルもなかなかお財布にダメージが大きく、家族と言えども本当なら父や兄弟にはあまり話をしたくないので母と2人だけの時に相談しようとはしている。なかなか時間が合わない。メッセージを三日後とかに読む母にはメッセージで話は出来ない。
朝はばっちりメイクで誤魔化してきたが、6月の晴れた日は蒸し暑い。化粧も軽くとけとけだったが直す気力が無い。昼休みは美咲や朔來と離れ、1人で次の講義の教室に入り家から持ってきたおにぎりをはむはむとたいらげ痛み止めを飲む。残りの時間を机にもたれかかり寝てると頭上から声がかかる。颯太だ。
「美月どうかしたか?朝から少し変だったけど・・・」
「あぁ~ちょっと気分悪くて、薬飲んだから寝てたら大丈夫」
体をおこさないまま言う美月のおでこに冷たい手がピタッと触れる。顔を覗かれてぶつぶつといいながらふいに顔が耳に近づく。
「熱は無いな。けど、顔色悪いか?・・・・・アレか?」
月に1週間ほど女子は体調不良になる。入学して夏頃から毎日、交代で車の運転をしてたら鋭い颯太にはそれはバレる。美月は重い方であり結構、顔色と体調不調が態度に現れる。最初は、隠すためにその時は別々にしていたが割と早くにバレてしまった。
「何日?」
「二日目」
「今日が1番ヤバい?」
「ウン。タブン」
「まぁ。今週は俺が車出すわ」
「う~いつもすまないないねぇ~」
「なんで、急におばあちゃんムーヴだよ。はい。スペア」
「え?」
「兄貴が急に昨日あったとか言って渡してきた。早く終わったら、先に車で休んでな」
「う~カタジケナイ・・・」
「あはは。苦しゅうない。じゃあ、帰りにな」
頭をサラッと撫でられて颯太は教室から出て行く。う~持つべきものは優しい友達と思いながら美月は束の間の休息のため意識を手放した。
それから、必死で午後の授業を受けて廊下に出ると颯太は待っていた。「ん」とっ右手を出すのでそれに右手を乗せる。完全にお手のポーズだ。颯太は顔を顰めてつっこむ。
「違う!荷物寄こしなさい」
「えぇ~そんなん持てますよぉ~」
「青い顔して言う?」
「でも、大丈夫ですよぉ~お姉ちゃんは大人なので、別に病気じゃありませんし」
「それ、大人関係あります?」
「ある・・・はずです。ごめん、駄目だ。今日」
「あぁ。わりぃ~。帰るか?」
そう言いながら教材が入っている鞄をとられる。財布や小物が入った鞄は取らない。しかし、抵抗するほどの元気はない。昼に飲んだ痛み止めが切れているなぁと思いながらトイレに寄らしてもらい、駐車場に向かって颯太の横を歩く。ゆっくり歩いてるのも分かる。だからモテるのかぁと感心するしかない。
「今月、なんか酷くない?」
「ん~久しぶりに二日目が月曜に当たった。月曜は授業パンパンなんよ」
「あぁ~とりたいやつが固まってるのか」
「そうそう。とりあえず帰って痛み止め飲む」
「今飲めば?」
「空腹では飲めないのですよ。颯太さん」
「あぁ。コンビニ寄るか?学食とか売店とか遠くていやだろ?」
「助かるぅ~颯太は何でそんなスパダリ?」
美月が茶化して颯太に言うと、颯太は急に深刻な顔になり声を潜めておどろおどろしく思い詰めたように口を開く。
「・・・・・・うちには・・・」
「うちには?」
「鬼がいるからだ」
「オニ!?」
「月に1週間ほど、荒ぶる鬼が・・・」
「その鬼さんの名は・・・」
「「ちひろ」様」
「だ」
「チ―姉相変わらず・・・」
「アレは姉じゃない。暴君だ!」
颯太には2つ上の姉と、4つ上の兄の陽生がいる。陽兄は颯太を可愛がるが姉さんの千尋ちゃんは兄も弟も顎で使う。女子には優しいので私は顎で使われたことは無いが陽兄と颯太は軽く奴隷のようである。
なので、颯太も陽兄も女子の扱いがうまくなる。見た目も相まってモテる兄弟が誕生した!と、美月は思っている。
「では、ワタクシメは千尋大明神を祀らないとだねぇ~」
「なんで、そうなる」
「だってぇ~颯太が私の体調に気がついたり、優しくしてもらえるのはチー姉の教育のたまものでは無いのでしょうか?」
「それは、俺の努力では?」
「そうとも言う」
「そうとしか言わねぇ」
完全にすねそうな颯太に謝り、近くのコンビニでコーヒーを献上して、自分はおにぎりを買って食べて鎮痛剤を飲む。家までは、助手席でうつろうつろに半分眠っていた。
「着いたぞ」
「あーごめん。寝てた。ありがとうございます」
「ん。いいよ。明日な!」
「本当ありがとう!助かる!」
下ろしてもらったが先に家戻れと言われて、角を曲がるまで見送られた。過保護だ。千尋姉ちゃんの教育を聞くのが怖い。でも、弟の煌星もあんなもんだから千尋姉ちゃんの教育も普通なのかな?と思いながら家に入る。
その日の夕飯は、冷凍うどんを出して置いといて、週末に買ってお母さんが切ってある白菜と長ネギと石突をとった椎茸を火にかけて沸騰したら朝冷凍から冷蔵に移動していた小分けの方の鳥もも肉を投入してコトコト煮込む。
その間に、ささっとシャワーに行ってさっぱりして楽な格好になると、さっきの鍋にさらに油揚げと蒲鉾を追加してさらに煮込む。その間に課題のスケジュールを確認してまだ期日があるなと思い今日はサボろうと手帳をしまう。頭が回ってない時にしたところ、やり直しが多い。
白菜がいい具合にクタクタになったので、麺つゆで味付けしちゃう。時短の時は本当に便利!一旦沸騰させて火を止める。流石に食べる時間には早いので薬が切れる頃にアラームをして、ベットに倒れ込むように休んだ。
読んで頂きありがとうございます!
~登場人物~
森 美月 21歳 1浪大学2年生 ITビジネス科
6/12生 何かと人に相談されがちな事が少し気になる今日この頃
体系にコンプレックスを持っている 男兄弟の真ん中
森 煌星 19歳 大学1年生 日本文学部
2/3生 末っ子らしい人懐っこい性格 大食い 高身長 バレー部 今はバレーサークル
山崎 颯太 20歳 1浪大学2年生 エネルギー制御科
7/28生 美月の幼馴染 幼小中 高校別なのに同じ1浪して同じ大学で再会した 三兄姉末っ子




