055 颯太の気持ちと美月の気持ち
イチャイチャ?ターンを少し長く。
美月は、颯太に手を引かれ助手席のドアを開けられて座らされる。来るときは、琴音と二人で後部座席に乗ったがいつも通りの助手席に座らされ颯太は運転席に乗り込むとまた美月の右手を奪う。
「颯太?これじゃ運転できなく無い?」
「あー今は危ないから少し待って?」
「え?」
「俺、今浮れてるから」
「はぁい?」
いつもの淡々とした話し方なのに内容がいつもと違う。車内は密室な上に手を繋がれて指でスリスリしてくる。美月は動揺するが、男性と逃げ場など無い状況で拘束?されているのに・・・やはり嫌悪感が沸いてこない。
正直こんな真正面に好意を向けられたことも無い。颯太は、ニコニコしてて困惑するしかない。何より今の1番の感情は恥ずかしい。この気持ちから逃げるには話題を変えるしかない。
「琴ちゃんはなんって?私にも連絡があるかも!スマホ見たいから手離してほしいんだけど・・・」
「あぁ。太田と飲みに行くことになったって?どうする?合流する?」
「する!行こう!」
「OK。返事する」
会話は出来ているが、手を離す事はスルッと無視された。たぶん、強引に引いたら離れるだろうけど・・・何故かそれが出来ないでいる自分に美月自身が困惑する。
「場所決まったら連絡くれるって。待機な?」
「え?」
「ん?」
「このまま?」
「このまま」
「えー」
「嫌か?」
最近、この手の質問をよくされる。嫌か嫌で無いかを聞かれると嫌では無い。でも、恥ずかしいのだ。何故、わからんかな?と美月が顔を少しばかり顰めるがやっぱり本気で怒ってないことがバレているのか丸っと無視される。
「颯太」
「ん?」
「その質問はずるくない?」
「バレたか」
はぁ?という顔で美月が颯太を凝視すると、颯太は悪戯がバレた子供用にちろっと舌を出す。なんだその顔は!わなわなと震えるとパッと手が離される。
「ごめん。怒った?」
「怒ってない」
「本当?ごめん・・・」
だからさっきから何なのだ!何でしょぼんとする!ズルい!こっちは色々混乱中なのに・・・さきほどから颯太の甘さに翻弄されている。
「本当に怒ってない。恥ずかしかっただけだから・・・」
「本当?」
「うん」
「良かった。秒でフラれるかと思った・・・」
「・・・・・ねぇ」
「ん?」
「颯太はマジなのですか?」
「ん?彼氏にしてって話の事?」
「・・・・そう」
「マジですけど?」
「えー何で私?」
「ん?」
「いやっ歴代彼女ちゃんたち、中学校の時と大学入ってからしか知らないけど・・・みんな明るくて可愛い子だったじゃん?」
「あー派手系?それは、相手から・・・辞めよう。俺、その話するとクズだから。美月はなんて言うか・・・俺が好きな子だから・・・」
・・・・・????俺が好きな子????ワカラン!なんで、いつから?え?いつからって聞いていいもの?颯太、全部喋りそうな勢いだよね?既に恥ずか死にそうなのにこれ以上の情報いる?私・・・・。
「・・・・・」
「何故、黙る」
「ちょっと、颯太さんの攻撃に耐えられなくて処理落ち中です」
「・・・・そう?それは、意識してもらってると捉えてもいいの?」
「えー。ローディング中に攻撃は辞めてもらえます?」
「あーここは畳みかけるべきなのかと!」
「強制終了の恐れありだよ?」
「じゃ黙る」
「よろしくお願い致します」
美月は考える。彼氏彼女の事はまぁ正直他人事だった。でも、さっき颯太に話したように男女の仲になるかもしれない事より、颯太とのこの居心地のいい関係が無くなる方が嫌だと思った。
二人で出かけても楽しかったし、そもそも手だろうが体に触れられて嫌じゃ無い同じ年の男子って・・・颯太と大輝だけだ。大輝はそういう対象として論外だけど颯太は?美月は両手で顔を覆い、考える。美月にはできないこともあると思うから。
「颯太さん」
「はい?」
「颯太さんは付き合うにあたり何か要求がありますか?」
「要求?」
「付き合うって今までと違うんだよね?二人で遊びに行ったりするとかなら友達でもいいじゃん?」
美月は颯太を見つめる。やっぱり男女の彼是は今の美月にはハードルが高い。出来ないことで颯太に嫌われるくらいなら最初から友人としていたいと断ったほうがいいのではと今更ながら考える。
「あーとりあえずは公表したい」
「え?公表?」
「井出にも誰かからかルート考えて・・・伝わるようにする。たしか、伊藤が同じ学校に入ったとか松本言ってたよな?」
「うん・・・」
「それと、大和さんと雄大には報告する。付き合い始めたって。水曜の昼に呼ぶからその時でいいいか?」
「ねぇ?それ、颯太にメリットある?私のためだよね?両方」
「んぁ~まぁ。ん~じゃあ、できるだけ会いたい」
「ふぇ?」
「だから?さっきから面白い音なってますけど?」
「だって・・・」
「俺は、美月といるのが好き。学校があるとほぼ毎日会えるから・・・まぁ土日我慢できるけど・・・まぁ。会いたいけど・・・。夏休みは何かしら予定無いと会えないじゃん?」
「・・・はい」
「特に遊びに行くとかじゃなくても会いたい。課題するとか、ただお喋りとか、ショッピングモールぶらぶらするとかでもいいから美月の予定に俺をいれてほしい」
「・・・・・」
「ダメっすか?」
「ダメじゃないです。ん~」
「なに?」
「普通にソレも私に都合がよくない?楽しそう・・・」
「美月が楽しいなら、嬉しいな」
颯太がふわりとほほ笑む。その顔は心臓に悪い。これは、ドキドキしてる?トキメキなのか?それとも同様なのか・・・あんなに付き合うとかないとか言ってたくせに?私。都合よすぎない?
「私に都合よすぎない?」
「俺にも都合がよければ、ウィンウィンじゃねぇ?」
「そうかな?・・・・でも・・・」
「なに?」
「さっきの、ふれあい以上をできるかはわからない」
「ん?ハグはOK?」
「いいの?男子はそーゆーのしたいんじゃないの?」
「まぁ。したいかしたくないといえばしたいかな?」
美月の体がビクッと硬直する。颯太は左手を美月の前に出してお手のポーズだ。じーっとその手をみつめてしまう。
「手握れる?」
「あっ」
「今は無理?」
「大丈夫!」
「無理はしなくていい。美月が嫌なことはしたくない」
「え?」
「無理はしなくていい。美月が本当に大丈夫。とかさっきみたいにハグされたいとかそういう気持ちになった時でいい」
「・・・・なら・・・なかったら?」
「いいよ?」
「え?」
「ならなかったら、一緒にご飯食べたり、まったりしたり、映画見に行ったり、ドライブ行ったり二人で過ごしたいけど、それだけでもいいよ?」
「えー」
「なに?美月は何かしたいの?」
ニヤリと颯太が意地悪に笑うが、美月はどうなのか真剣に考える。正直、性的なことには嫌悪感が先に立つ。でも、颯太とするのは?・・・・・恥ずかしい。何を考えているのか・・・と苦笑いをするが嫌ではないのかもしれないと考えるとやっぱ恥ずかしい。
「何かしたいわけじゃないけど・・・颯太とハグ以上って考えるのは・・・嫌とかじゃなくて恥ずかしいし分かんない」
美月が言うと、バッと颯太が窓を向く。何か来た?っと思って覗くが特に誰かいるとかではない。颯太は、両手で顔を抑えて大きなため息をつく。
「美月ってマジで・・・なんなの?」
なんだ?文句か?私も、私の気持ちがわからんのだよ!爆弾投下してきたのは颯太じゃないかとイラっとする。
「なに?文句あるの?」
「そーゆーいい方しますと期待しますよ?」
「へ?」
「あー何も考えないでしゃべってたな?鬼か君は!」
「え?」
「あなたを好きと言ってる人に、嫌ではないとか。恥ずかしいだけとか殺し文句だからね。マジでやめなさいな」
「・・・・・・・はいっ!すみませんでした!」
美月は猛省する。美月の言い方だと色々とOKみたいだ。心の準備も何もできてないくせに言うことでは無かった。
「だからいい?俺、美月に1番近い異性であればそれでいいから(今のところ)美月は身構えないでつきあってくれない?」
「本当に?都合良くない?」
「俺に?」
「え?」
「俺、今って結構俺に都合がいいとか思ってる」
「なんでぇ?」
「いやっ。俺の好きな子、男性恐怖症気味で恋愛恐怖症で付き合うとか全く考えてないとか言ってたのに俺と付き合ってもいいとか言ってるよ?」
「何で、他人事みたいに言うかな・・・」
「配慮?」
「ふふっ」
「良かった。やっと笑った」
「?」
「いいよ。一緒に居てちょっとアホな会話してるだけでも楽しいよ?」
「うん。ありがとう。よろしくお願いします」
「よかったぁ。こちらこそ、よろしく」
読んでいただきありがとうございます!
美月ちゃんは翻弄させたいのではなくてクソ真面目子です。
色々考えちゃう子です。
森 美月21歳 1浪大学2年生 ITビジネス科 SNS名【森美月】
6/12生 何かと人に相談されがちな事が少し気になる今日この頃 体系にコンプレックスを持っている 男兄弟の真ん中 ブラコン 敢えて鈍感 年下に甘い
山崎 颯太20歳 1浪大学2年生 エネルギー制御科 SNS名【Sota.Y】
7/28生 美月の彼氏 幼小中 高校別なのに同じ1浪して同じ大学で再会した 美月が初恋っぽい




