051 颯太とのドライブ
翌日になる前のドライブ内容を入れたくて・・・
時間がかかりました!
松永家のマンションの部屋から出てエレベーターに乗る。美月は少し松永家の雰囲気と大翔の今後を聞いて安心したが、自分の発言については未だにぐるぐる考えてしまう。
別に教育者の勉強を、心理学の勉強をしたわけでも無い21歳の小娘の発言だ。大翔に癒えない傷にはなってないだろうか?ちゃんと美月の気持ちは伝わったのだろうか?美月はこの本当に短い時間しか関わりのない大翔の事を大事に思っている。二度と会うことが無くなったとしても。
「美月」
「ん?」
「ドライブ行かないか?」
「え?」
「今帰っても駄目だろ?話し相手にはなれるぞ?」
美月が無言で歩くのを心配しただろう颯太の優しさに先ほどまで我慢していた涙腺が緩む。でも、泣くなんて困るだけだから、目には力を入れてそこは止めることを頑張る。
けど、あまりに不安定な気持ちは家に帰ってもどうにかなりそうにはない。優しさには素直に甘えることにする。これも、数年かけて優海ちゃんに教えられたことだから・・・人の優しさに甘えていいこと。
「ありがとうございます!お願い致します!」
「硬っ!じゃあ、行くか?流すか?なんか買って海がいいか?」
「海!」
「コンビニでいいか?」
「うん」
コンビニに寄って飲み物を買ってからテトラポットのある海岸線の公園の駐車場に車を止めて防波堤までゆっくりと歩く。この公園の防波堤は登れるくらいの高さで夜でも釣りをしている人がいる。今日も結構離れたところで釣り竿を垂らしている人が見える。
うえに上がり颯太と並んで座る。今日は晴れているし21時も回っているので天の川が見えが、町の明かりのせいで薄っすらと、だが結構な量の星が夜空に広がる。
少しの間、小さな波音のする暗い海と淡い星を瞬かせる濃紺の空をボーっと眺めている。颯太も何も言わず隣に座ってくれる。海の風は夜も深まりつつあるので涼しいが昼の暑さを溜めたコンクリートの防波堤はまだ温い。
「颯太ぁ・・・」
「んー」
「アレで良かったかなぁ」
「アレ?」
「『許さない』って言ってよかったのか、わからない」
「あー」
「でも、『許されない』こともあることを知ってほしかった・・・」
「そうだな」
「けど、12歳の子に・・・」
「大翔君は分かってたと思うけど?」
「え?」
「美月の気持ちって言うか、言いたい事っていうの?」
「そうかな?」
「【嫌いじゃない。大切な人だけど・・・だからこそ?『許せない』ことがある。】ってことを知っていた方が俺はいいと思う。美月が出した答えが正解!とかは流石に俺には分からないけど、今から出会う生涯を一緒に居るかもしれない人を傷付ける可能性は減るんじゃないか?」
「・・・・・だといいな」
「そうだな」
「ありがとうね」
「ん?」
「いつも話を聞いてくれて」
「おぉ!俺もいい人間に改造中だからな」
大翔と話についてきてくれて、そしておかしな気持ちになっている美月に気がついてドライブにも誘ってくれる颯太は良い奴だが?という気持ちを込めて美月が颯太を見るがなぜか体育座りをして顔をその膝の間に埋めている。
「ん?」
「ほら、まぁ色々あったじゃん?だからね。大輝や美月とか響みたいなイイ人間になりたいなと思う分けよ」
「おっ?褒められた!ってか、颯太良い奴だよ?」
「はーぁ?散々悪い男だなあぁ~って言ってたくせに!」
「あははそれは、女の子をたぶらかす悪い男だとは思うけど、性格いいからモテるんでしょ?それにさぁ~ちょっと思ったんだよね!」
「ん?」
「颯太って、基本に誰にでも優しいんだよ!でも、なんて言うか懐に入れるには人を見てるって言うか・・・人を好きになるのに時間かかるタイプじゃない?」
「はぁ?好き?」
「そう!大輝の事も、本当に友達って感じになったのは後期入った後じゃない?」
「あっ。あぁ~」
「私とも仲良くなるの時間かかったと思ってるよ?」
「え?あぁ。そう?」
「うん!|駿介の方が断然仲良かった!高校の後輩だからなんだろうね?私は幼少中知ってるからまだ仲良くなるの早い方じゃないかな?」
「そーかも?」
「だからさ。あの彼女ちゃんたちも颯太の気持ちがきちんと向くのを待っていたらちゃんと両想いになれたんじゃないかなぁって思って!ほら、颯太は好きじゃないけどいいの?ってつきあいはじめたんでしょ?」
「・・・・・そう」
「だから、長く付き合ったらちゃんと颯太も彼女ちゃんたちの気持ちと同じように『好き』を返せたのに・・・彼女ちゃんたちはすぐに颯太からの『大好き』をほしくなっちゃったからチグハグだったのかなぁ?って最近思ってさぁ」
「あー」
「あれ?違うかな?」
「あーそうかも?」
「なんだそれ?」
あははと美月が笑うと、颯太がそっぽを向いて答える。照れてる颯太は珍しいのでマジマジと見とく。すぐに睨まれるけど。
「いやっそんないい風にとってもらったことないもんで?」
「あーとっかえひっかえ男って朔來に言われてたもんね!」
「そんなこともあったなぁ~アイツ容赦ないよな!」
「ふふっ。でも、しょうがないよ。1人は朔來の友達だもん」
「確かに、友達に不誠実にしたやつが。仲良くなった人のそばに居たら噛みつきたくもなるはしょうがねぇか」
「そう!許してください」
朔來の発言を謝る美月がぺこりと颯太に頭を下げると、何故か後頭部を撫でられた。ん?と思うが止まらないなでなでを享受した。正直、ホッとする。手が離されると少し寂しい。
「田中のは何も怒ってない。悪口じゃなくて事実だし・・・俺こそ、いつも味方でいてくれてありがとうな美月」
「いいえ。颯太も、いつもありがとうね!」
「あぁ」
「だからね!次にお付き合いする人は友達期間を貰った方がいいと思うのよ!」
「は?」
「いやっ颯太が幸せになるにはどうしたらいいかとか考えるのよぉ!こんな良い奴いないもん!」
「あーはい」
「ね!だから、告られてもすぐ付き合うじゃなくて、お友達からって颯太の気持ちが整ってからお付き合いしたほうがいいよ?」
「あーそうします・・・・・」
「うん!みんなに幸せになってほしいよねぇ~」
「・・・・・美月は?」
「え?私は幸せですが?」
「いやっ・・・恋人ってほしくないの?お年頃じゃないの?」
「あーそーゆーお年頃いたいだねぇ~。私かぁ~どうかなぁ~」
「お?」
「え?」
「いやっ!今まではすぐに『ナイナイ自分には無い』って返事だった気がして・・・少し心境の変化あった?」
「いやぁ~琴音とかとは少し話すよぉ!ほら、うちの兄と弟は彼女さんと仲良しなのよ。ちなみに親もね!仲良しなのさ。だから、完全に無理ってはしたくないけどねぇ~」
「けど?」
「大和さんは怖い。中村さんに捕まった時も凄く嫌だった」
「いやっアレは稀に見ぬ良くないやつだから!」
「輝は近くにいても大丈夫なのよ」
「は?」
「でも、それは輝が私にベクトル向けてないからじゃん?って思うのよ。あの子・・・私を姉と同一化している。たぶん中村氏被害者の会ではないかと・・・」
「あぁー」
「だから、そーゆー気持ちを向けられるとダメなのかなぁ?って。|駿介は朔來の彼氏だし、悠希君も彼女いるでしょ?大輝も響も好きな人いるし、駿くんは分かりやすいし。輝や幹太からは恋愛に前向きじゃない同族の香りがするので仲良くできるのかなぁ?ってね」
「・・・・・響好きな人いるの?」
「うわぁ!そこ拾う?聞かなかったことに!」
「ん?相談された?」
「あーうん」
「何で君は・・・そうなの?」
「分かんない!でも、なんか落ち込んでたから話しかけたら流れで恋愛話になりました」
「恋愛拒否症なのに・・・」
「全くです・・・でも、人の聞くのはやぶさかではない!」
「いやっ危ない目にあってるんだから無闇に男の恋愛相談は聞くなよぉ~」
「いやっアレは知らん人だったし!いつも大輝の面倒みてるからついね!ちゃんと友達の話しか聞かないよ!響だよ?」
「あぁー響だからなぁ~でも、本当に気をつけなさい」
「はい!マーム」
「ママって・・・」
「あははごめん。お母さんの言い方みたいで・・・」
「はぁ~」
「ごめぇ~ん」
颯太と馬鹿な話をしたおかげで心は軽くなった。大翔は美月は外れるけど、家庭教師は事務所の唯一の男性職員の中山さんが引継ぐことになっていた。だから、そこから少し話聞けるはず。
美月の出来ることはもう無いと思う。時々は思い出すかもしれないけれど、大翔に前向きになってと言った美月が切り替えないなんでダサいなと思う。無理に忘れるのではない。少しづつ気持ちを手放していこう。
読んで頂きありがとうございます!
~登場人物~
森 美月21歳 1浪大学2年生 ITビジネス科 SNS名【森美月】
6/12生 何かと人に相談されがちな事が少し気になる今日この頃 体系にコンプレックスを持っている 男兄弟の真ん中 ブラコン 敢えて鈍感 年下に甘い
山崎 颯太21歳 1浪大学2年生 エネルギー制御科 SNS名【Sota.Y】
7/28生 美月の幼馴染 幼小中 高校別なのに同じ1浪して同じ大学で再会した 美月が好き みんなにバレてる 美月にはバレてない




