044 映画決めと颯太の不機嫌
少しまったりターンです!
「おっす」
「やっほ~」
「何で、先にいるの?」
「え?本屋の帰りだから?」
「じゃあ、家で待てばいいじゃん?」
「えぇ!なんで?颯太この後バイトでしょ、ここからバイト先と私ん家反対方向だよ?」
15時から待ち合わせていた颯太より先にお店にいたせいなのか、何故か不機嫌な颯太がやって来た。ついさきほど、家に迎えに行くと言うメッセージにもう店にいると返したら、ものの10分もかからず来た。今は14時半だ。
とりあえず、貴方のお目当てのモノを買ってきなさいと促しレジへ向かわせようとしたが向かいの席に座りモバイルオーダーを始めた。
あぁ。アプリかぁ~と感心する。あまり来ないので美月はアプリを入れてない。だいたい来るときは煌星と一緒なので全部お任せだ。
「金曜は楽しそうでしたね?」
「うん!楽しかったぁ!」
「そっ」
「琴ちゃんが急に誘ってくれて、真央もおデートじゃなかったから《トラモント》行ったら響君たちも常連になってて吃驚したよぉ~」
「え?」
「ん?」
「たまたまなの?」
「うん。偶然会った」
美月の返答に颯太は口を押さえて思案するように答える。どうしたのかな?と思って見るが何でもないと答えられたらそれまでだ。
「あーそう」
「ん?」
「なんでもない」
「そっ?」
「お待たせしました。商品こちらでよろしいでしょうか?」
丁度、話の区切りに店員さんが颯太の注文を持ってきたのに美月に向かって確認した上にスイーツ群を美月の前に置いた。
飲み物も甘いもので1つなので颯太の前には何もない。美月の前にはコーヒーがあるのにもかかわらず。酷くないか?顔はしっかり見てたのに・・・。
「美月も食う?」
「アップルパイは1口欲しいです!」
「あぁ。なんでかアップルパイ好きよな?甘いものそんなに食べんのに」
「えー食べるよ!チョコもチーズ系も!でも、たくさんはいらないかなぁ~。あー後ね!層があるのが好きなんかも?ミルクレープも好きよ?」
「あぁー食感?」
「かもかも!」
そう言いながら、美月の前に降ろされたスイーツとバニラシェイクMサイズを颯太の前に戻していく。移しながら美月は疑問に思っていたことを言う。
「颯太さん、そのラインナップ喉乾きません?」
「乾くかも。美月のなに?」
「コーヒー。ブラック。もう飲み終わる」
「ん~。でも、水じゃねぇ~しなぁ」
そう言いながら、スマホをいじり颯太はストレートティーを頼むと言う。美月もアイスコーヒーが残り少なかったので追加で同じものを頼んでお金を渡す。颯太はお金の受け取りを1回拒否するが大めにして渡してやった。アップルパイをかじるからね。
「映画なににする?」
「颯太は何したいの?」
「ん~戦争中のコーラスのやつとか面白そう、時代背景好きよな?」
「ん~好きだけど、貴方の誕生祝いなんですけど?暗くない?戦時中のでしょ?ミュージシャン物なら2つあるよ?」
「あードッチが好き?」
「エルヴィス!あと、スカッと系ならマジシャンのやつ面白そう!」
「あーそれも面白そう」
「実は、黒田官兵衛の話もある」
「ん?」
「あれ?知らない?豊臣秀吉の腹心?頭脳の1人!竹中半兵衛も好きだけど・・・あれよかったぁ~岡田〇一さんがやった黒田官兵衛。竹中半兵衛が谷原〇介さんの。今回の黒田官兵衛は菅田〇暉さん。大河で竹中半兵衛役して、映画で黒田官兵衛!忙しい!」
「それもいいな!」
「でも、殺人事件の謎解きなんよ」
「あはは誕生日感はないなぁ~。次回にでも行く?」
「いいね!また行こう!夏休み中に!」
そんな話をしているうちに、ストレートティーを店員さんが二つ持ってきて、スイーツを独り占めしている颯太を二度見していった。可愛い・・・女子高生だと思う。
「ふふっ。二度見した」
「あ??」
「颯太が全部スイーツ並べてるから食べてるから二度見して行った」
「あーそ」
「可愛かったね!女子高生かな?」
「オヤジか!寧ろ雄大か!」
「えー」
「あいつも、いつも言うんだよ。どこ行っても女子の話。スゲー面倒くさい」
「あはは男子ってそんなもんじゃないのぉ?ふぁいとー」
「ぜんぜん応援されている気がしません」
「頑張れ!」
美月が両手で握りこぶしを作って応援するが、颯太は顔を顰めて面倒くさそうな顔になる。まぁいいかと諦めてコーヒーを飲み干す美月をじっと颯太が見る。
「終わり?」
「え?うん」
「冷たっ」
「別に頑張らなくてもいい事だったと気がついた」
「確かに・・・」
何の話だよって言いながら笑ってると、パッケージを空けたばかりのアップルパイを差し出される。最初の一口をくれるらしい。端っこ好きとしては嬉しいのでありがたく普通の1口を食べるとつっこまれる。
「小さっ。もっと食べていいぞ?」
「いいの?んじゃ遠慮なく」
ニヤッと笑って大きく一口を食べる。そのまま返したアップルパイを颯太が眺めているので食べ過ぎたかと思って謝る。
「あぁー食べ過ぎた?ごめんね?他の何か注文する?」
「いやっ大丈夫。問題ない!」
動揺しながらアップルパイを大切そうに食べ始めた颯太に映画の話を戻す。やっぱ、流石に誕生日なので泣ける話も殺人事件も違うかなぁと思って。マジシャンの泥棒の話にしようと言うと颯太も了承した。障害を持つ男の子と母親の話のが1番見たいけど、号泣しそうだから1人で行こうと思う。
《トラモント》に近い映画館の時間を調べて、颯太にスマホの画面を見せる。美月が持っているスマホを掴みながら颯太が画面を覗くので手を離そうとしたら何故か掴まれた。時間を決めるとそのまま離される。
「17:50のやつでいいんじゃない?」
「OK!予約する!」
「美月がするの?」
「え?颯太の誕生祝いでしょ?」
「あーそーかぁ・・・」
「なに?」
「前と同じような席がいい」
「ん?あぁ、カップルシート?OK」
「いいの?」
「え?いいよ。だってアレ隣と離れて凄くいい!」
「そっか。確かに」
「《トラモント》も金曜日に前の席、予約しといたよ!いいよね?今年は2人でいいんだよね?」
「あぁ!ありがとう!美月は2人でもいいの?」
「うん!意外と颯太気使い屋さんだからねぇ~二人の方が気兼ねないでしょ?」
「まぁ。良かった」
颯太が嬉しそうに笑うので美月も嬉しくなる。もう明日なのでそのまま、映画館のサイトにログインして予約を入れる。夕方で混みそうだけど月曜という事でカップルシートはガラガラだったので真ん中の席を予約する。
「あっ車は俺が出すから!」
「えぇ~私が出してもいいよぉ?」
「俺、運転したい!」
「あぁーそう?飲めないよ?」
「ん~嫌じゃなかったら、戻って来て家で飲む?たぶん、家は、みんないるけど・・・」
颯太が様子を伺うように聞いてくるので、美月は明日の家族の予定を思い出して提案する。
「あっ!明日、家は父母いないよ?家来る?」
「は?」
「太陽兄と煌星はいるから一緒飲むかも!」
「あっ・・・あぁ。じゃ・・・お邪魔しようかな?」
「OK!二人にも言っとく!」
「あぁ。夜にお邪魔しても大丈夫なん?」
「颯太だから大丈夫じゃない?」
「そう?」
「うん!大丈夫!畳間に泊まる?私の部屋がいい??」
「おいっ!」
「ん?」
「美月の部屋って・・・」
「だって朝、親と会ったら気まずいでしょ?私が畳間で寝てもいいよ?」
「・・・・・・」
「まぁ。朝まで起きてるかもだし、太陽兄と部屋でもいいし!太陽兄の部屋は優海ちゃん泊まるから広いよ!」
「・・・・・はい。まぁ。宜しくお願い致します」
「はぁい!よろしくお願いされます!買出しは《トラモント》の後に行く?」
「あぁ。それでいいよ」
「OK!OK!じゃあ、後は家の人らに言うだけだね!」
「あー。ですね・・・はい。お願いします」
「ふふっ。どうしたの?さっきから」
「あっ。あぁ。なんでもない。なんか手厚くて・・・」
「嬉しい?」
「うっ。うん。そうだな・・・嬉しい」
「そっか。楽しみにしてて!」
颯太との明日の計画がひと段落したので、ぱくぱくと颯太の中に消えるスイーツを眺めながら美月は相談したかった事を逡巡する。
大翔と会うために、たぶん一人では無理なのは分かっている。今度の木曜日が時間を貰える最後のチャンスかもしれない。
でも、優海ちゃんが金曜休みなので木曜の仕事上がりから太陽兄は旅行に行く計画を先月から準備していたのを知っている。もしかしたら、そろそろ大事なお話をするかもしれないので邪魔は出来ない。
煌星は、明日から1週間サークルの合宿がある。所長や古川さんでもいいけど、大翔とゆっくり話すために美月が緊張しない相手がいい。
「あのさ・・・」
「ん?なに?」
「颯太、木曜はバイト?」
美月がまず空いているかを聞くと、颯太がスマホを開いてスケジュールを確認する。その数秒もドキドキしながら颯太の返事を待つ。
「あぁ。シフト入ってるな。何かある?」
「あぁ。そっか」
「なんかある?木曜は珍しく朝から頼まれたから、夕方は空いてるぞ?」
「え?」
少し落ち込んだように、顔を下げていた美月は颯太の声にガバッと顔を上げる。じっと颯太を見つめてお願いをする。
「疲れているかもしれないんだけどさ・・・大翔のとこに付き合ってもらえない?」
「・・・・・まだ、あの子を受け持つの?」
「火曜にその話をすると思う・・・たぶん、継続は無理だと思うんだけど・・・」
「うん」
「私が大翔と話したくて・・・でも、多分一人では行かせて貰えないと思うのよ・・・」
「まぁ。だろうな」
「だから、同行者がいたら大丈夫かな?と思って・・・」
「あぁ。俺についてきてほしいということか・・・太陽さんは?」
「うーん。優海ちゃんと旅行の日程を変えられても困るから言ってない・・・」
「あー。火曜に所長さんに許可取れたら、俺が同行する旨と一緒に伝えたほうが良いと思うぞ!後で知らされると怒られるぞ?」
「おぉ。そうだね。そうします・・・木曜、颯太はいいの?」
「あぁ。美月一人でも行きそうだし・・・夜なら空いてるし」
「ありがとう!お礼は必ず!致します」
美月はギュッと颯太の手を掴むと満面の笑みで感謝を伝える。颯太がドン引きしてるがこれで所長を説得出来る手札も揃った。後は大翔と何を話したいのかきちんと纏めないといけないなと思う。頭の中はそのことでいっぱいになりつつも颯太と下らないやりとりを颯太がバイトに行く時間までおしゃべりして帰った。
読んで頂きありがとうございます!
~登場人物~
森 美月21歳 1浪大学2年生 ITビジネス科 SNS名【森美月】
6/12生 何かと人に相談されがちな事が少し気になる今日この頃 体系にコンプレックスを持っている 男兄弟の真ん中 ブラコン 敢えて鈍感 年下に甘い
山崎 颯太20歳 1浪大学2年生 エネルギー制御科 SNS名【Sota.Y】
7/28生 美月の幼馴染 幼小中 高校別なのに同じ1浪して同じ大学で再会した 美月が好き みんなにバレてる 美月にはバレてない




