042 困った美月の体質
飲み会続きでちょっと短めです!
一度静まり返った空気をぶった切ったのは真央の低い声だった。
「それより、『警戒』ってなに?そいつらヤバい奴?」
真央は楽しいと酔うという特異体質なので、一瞬にしてテンションが下がりシラフに戻り低音の声で話す。真央に男子たちがビクッとなる。
真央は美月と同じ157cmで小さくは無いが、凄く細いので小さく見える。いつもは、接客業らしくニコニコと小さい子が走る回るようにテキパキと働くので威圧感が無いが、顔はかなり整っており、強めのメイクをするので美人だからか高圧的に喋ると怖い。美咲と似てる。
そういえば、朔來と琴音も似ている。世話好きな性格なのにサバサバした話し方と接し方でしつこさを感じない。確か、琴音も真央も学校に美月に似てる子がいるんだけど、心配で心配でと話を聞いたことがある。たまたま似てる人がいたのではなくて、お互いに似ている子を友人にしてるのかと思うとこっぱずかしくなる。
美月が現実逃避気味に違う場所の友人たちの共通点に勝手に悶えていると、響が真央と琴音に説明するように話始める。何故?と思いつつも美月も初めて聞いたことにビビりつつも、輝が中村雄大の事を補足する。
「大和さんは、以前から美月さん好きで距離を縮めようとしてたんですけど、ちょっと事情があって最近頑張り始めたんです。けれど、なんでか違う科の女子と付き合い始めたんですよ・・・でも、それが大和さん的には不本意だったっぽくて不穏な事言ってて・・・怖いんですよ」
「雄大は、その大和さんと付き合ってる子が好きな奴で美月さんが慰めちゃって・・・それからヤバい奴なんで警戒必須です」
「あーあの、大輝が勝手にID教えた恋愛相談男だよ」
「げっ大輝め」
「アホ大輝」
輝が、雄大の高校の時の話をしてみんなを引かせている中、駿も大和さんがヤバい発言した事を知らせてくる。
「美月さん!大和さんもヤバいと思う。美月さんと二人きりになるにはどうしたらいいのか考えてるみたいで、うちの科の派手な奴らと話してた!なんか、『警戒されてる女の子とどうやって二人になるか』って。」
「えー」
「つーか。なんで、美月は変なのばっかに好かれるかね!」
美月が駿の話に引いていると、真央が怒ったように言い捨てる。井出拓海の事でも、迷惑と心配をかけっぱなしなので憤っているんだろうなと申し訳なくなる。
「ごめん・・・」
「美月が悪いわけじゃない!なんで、変なのばっか・・・」
美月を責めたいわけじゃないと、う”~と唸りながら憤っている真央に申し訳なさを感じて背中をサスサスしてると、幹太が口を開く。
「たぶん、普通にモテてるけど・・・変な奴って行動力が凄いから・・・変なのばっかりに好かれているように見えるんじゃないですか?」
「えー私モテないよ?」
「んー美月さん、目を引くチョー美人って感じではないんですけど、顔は普通に綺麗系だし、話し方は癒し系だし、世話好きで気遣い屋さんでしょ?結構、モテてると思います。けど、響とか颯太さんとかと仲いいんで普通は周りが一歩引いてると言うか。ビジ科でも駿介とか喜屋武さんとかと一緒にいません?顔面偏差値が高いじゃないですか。アイツらが友達認定なら自分なんて・・・ってなるかな?俺ならなります」
「幹太・・・何驕られたいの?そんなに持ち上げて!あと、喜屋武は顔が濃ゆいだけだよ?」
「あははホラ、すぐ謙遜する。モテても鼻にかけないところも高ポイントじゃないですか?喜屋武さんへは辛辣ですね」
「喜屋武は喜屋武と言う生き物だからね」
美月の発言に何かを思い出したように響が同意して、幹太がさらに話を続ける。
「あー分かります」
「いろんな人にモテるけど、自分の評価が高い?自己肯定感の高すぎる変態が美月さんにアピってるって言うか・・・そんな感じかなぁ~って思います」
「なんか、しんどい・・・なにそれ・・・ちょっとトイレ行ってくる」
飲みながら変な話をしているので、冷えたのかトイレに行く美月を見送りながら輝が美月が見えなくなったことを確認して口を開く。
「もう、ここは颯太さんが頑張ったらどうにかなるんじゃないですかね?」
「「ん?」」
琴音と真央が反応すると、輝が力説して響が同調するので、ワクワクとした顔を隠すつもりもなく琴音と真央が話に乗る。
「最近、颯太さん、めっちゃ頑張ってるんですよ!」
「あぁ。分かる。そのせいで二人かなり仲良く見えるから大和さん焦ったかも?」
「えぇ~なにそれ聞きたい!山崎ぜぇ~んぜん、そういう事は教えてくれないから!」
「おぉ!あの噂の颯太くんね!」
琴音と真央が食いつくので、男子4人がそれぞれ話し始める。
「新歓打上で、美月さんが俺の隣になるのも拗ねた顔してましたね!呼んだ後にやべぇって思った!もう疲れたから、絶対迷惑かけてこない人って人選だったのに!前々から薄々感じてたけど、周りにバレバレなところ見て颯太さんでもそうなるのかぁって思ったよ。親近感!」
「俺もその時焦ったよ!まぁ、結局反対側の隣に座ってたけど、幹太が変なことしなくて本当に良かった!その週の初めに馬場達が美月さんに絡んだみたいで颯太さん美月さんに避けられてめっちゃ焦ってたんだよ。一次会は離すしかなかったけど、二次会を美月さんが颯太さんと相談してやろうって俺らの為だけど一緒に飲もうって言ってくれて本当によかったぁ~」
幹太と響の新歓の二次会の話や、颯太狙いの子が絡んできて美月が颯太を避けて颯太が焦っていた話をした後は後輩2人が美月が戻る前にとさっと近況を報告する。
「オレには風当りきつくなかったですけど、見てて朔來さんが呼んでる『美月の番犬』がしっくりくることは分かりました!」
「僕も最初やらかしたからめっちゃ警戒されてたんですけど、美月さんがうちの姉に似てて心配って話と美月さんのやらかし報告してから『番犬2号』扱いですよ。最近、颯太さんが美月さんに優しさ全開なんですけど・・・それに、美月さんも無自覚なんですけど顔赤くしてましたよ!僕、もう少しで颯太さんの気持ちは届くのかなぁって思います」
ニコニコ話す輝に、本当に姉の幸せを願い弟みたいだなと琴音は苦笑する。真央もキラキラした目で話を聞いて最後に結論を言う。
「やっぱ、颯太氏に頑張ってもらうしかないかぁ」
「そうすれば、大体解決します。雄大は彼氏ありには普段は行かないので!大和さんが変な動きしてるし、美月さんはガードされてるから七海さん狙いに軽く戻ってますけど・・・」
「まぁ。さすがにつきあったら、大和さんもあきらめるだろうな。颯太と仲いいし。美月さんがなんとなくで彼氏作りそうにないのは分かってると思うんで!お互いに牽制し合って相談してないからなぁ~表立って反対できないんじゃないかな?」
真央の言葉に、輝が同意して、響も大和の動きを予想する。そう話していると美月が戻りどうしたの?って顔をするので琴音が話す。
「まぁ。現状維持だけど、みんなが美月が怖い目に合わない様に協力してくれるって!ね?」
4人は急に話を振られたにも関わらず。『ですね!』と声を揃えて返事するのでみんなで笑った。
美月は琴音がその後、輝に井出拓海の友人が同じ大学に入った件も響たちに共有してもらいたいと相談した事も、響が7人で撮った写真を颯太に送りながら『俺ら協力するんで困ったら言って下さい』とメッセージを送ったことも、楓にも同じ写真を送り『仲間にならないかい?』と軽く送ったことも知らなかった。
後は、琴音の卒業制作とか、夏季のファッションショーで忙しいという愚痴と観覧チケット販売してるので興味があったら買ってくださいという営業を聞いたり。幹太が稟さんみたいなかっこいい感じの女子が好きな事が発覚したり。やっぱり駿が花音をいいなと思っている事を、同じ大学のみんなに知ってると言われ狼狽したりして飲み会は盛り上がって最後にはマタイ飲みたいからグループを作ろと『飲み仲間☀夕陽』っていうグループを作成までした。
「なんで、夕陽なんですか?」
駿がグループ名の意味を聞くので《トラモント》がイタリア語で夕日とか日没とかの意味なんだよぉ~って話をしたら感心していた。うける。
また、《トラモント》で!今度は、楓も花音も朔來も!出来たら美咲も。颯太も誘って飲み会したいねと言いながら解散した。
読んで頂きありがとうございます!
~登場人物~
森 美月21歳 1浪大学2年生 ITビジネス科 SNS名【森美月】
6/12生 何かと人に相談されがちな事が少し気になる今日この頃 体系にコンプレックスを持っている 男兄弟の真ん中 ブラコン 敢えて鈍感 年下に甘い
松永 真央 21歳 美容学校1年 SNS名【Maomao】
6/3生 月の高校から友達 2年間バイトで貯めたお金で美容学校へ通っている。バイト先も美容室 年下の彼氏がいる イケメン好き(美容の対象)
松本 琴音20歳 服飾学校3年 SNS名【松本Koto】
2/15生 美月と中高一緒の友達 今年で学校卒業の年。卒業制作に忙しい。
宮崎 響 20歳 大学2年生 エネルギー制御科
4/10生 幹事をしがちな人懐っこい男の子 タイ人っぽい純日本人 エキゾチックイケメン
林田 駿 18歳 エネルギー制御科1年
12/25生 現役生 後輩味が強くてみんなから可愛がられる イイ奴 スポーツ推薦
永田 輝 20歳 エネルギー制御科1年
4/12生 1浪生 響と同じ年 前髪長めで背が高い 友達思い 家が車で1時間半かかる遠方 割とすぐに酔うが酔ってから普通にお喋り時間が長い 普段より少しお喋り
中尾 幹太20歳 エネルギー制御科2年
5/5生 響の親友 普通の男子 響のトラブルに巻き込まれがちで達観している 優しい性格




