037 雄大は変われるのか?
人間ってね・・・
美月の夏休みは行ってからの数日は、初っ端に月の物が始まり、辛いのもあって土曜と火曜の葵葵ちゃんの家庭教師のアルバイト以外は引きこもって過ごした。お陰で夏休みのうちに済ませる課題がかなり捗った。
今日は、輝と同じゼミの日。美月が一人で行動しない様にと、前もって時間を合わせて、駐車場で待ち合わせてゼミに参加した。交流会も合わさった初ゼミは楽しかった。講師や先輩方の話を色々聞けた。最初こそは輝と並んで座っていたが話をするにあたって科も違うのでバラバラでそれぞれの先行する方向で教員試験を受ける先輩方と交流していた。
ゼミも終わり、別々の先輩方と交流したので折角だから情報交換をして帰ろうと、カフェテリアへ向かって歩いていると出来れば会いたくなかった人物と遭遇する。まぁ。同じ大学なのだから致し方ない。輝がゼミも一緒にしましょうと言ってくれたことに感謝するしかない。
「あー美月ちゃん!なんで?夏休みなのに輝といるの?なんで?」
中村雄大の大きな声と、距離の詰め方に驚いていると中村雄大との間にスッと輝が体を滑らせて壁になる。本当に、護衛にさせてしまって申し訳ないと本気で思うが感謝しかない。
「雄大には関係ないだろ?」
「えーなにそれ!もしかして!2人付き合い始めたとか!もぉ!なんなんだよぉ!俺がいるのにぃ!」
「・・・・・」
「・・・・・」
一人で勝手に喋る中村雄大の発言に絶句する。無表情で目を線にしている美月たちだったが、多分に輝もそう思わせて置けばいいのでは?と一瞬考えたと思う。分かるけど、それも違いよねぇと目線だけで会話する。
「なんだよぉう!分かりあってるみたいな二人の空気はぁ~!なんで、急に仲良くなってんの?美月ちゃん!俺を慰める約束は?なんで、メッセ返してくれないの?」
「え?約束してないし、SNSはブロックした。約束してないことを送ってくる人と会話をする為のツールは必要ないから。それに、輝とは、飲みにも行くしランチも一緒にするくらい前から仲がいいけど?」
さり気なく、輝とは仲良しですがのアピールもする。金曜に飲みに行ったときに、琴音も交えて中村雄大のSNSをどうするかという話を輝に相談した。輝からは毅然と無視しましょうとブロックに入れるというアドバイスを貰ったが、美月の物言いはほとんどが颯太の言い分なので口調が厳しくなっている。
輝からも出来るだけ冷たく返事をした方がいいアドバイスを受けたので頑張って返事する美月に雄大は近づいて迫るが、間には輝が入ってくれる。正直、輝がいなければ『毅然と返事する。』はできなかったかもしれない。
「えぇ!なんで!ブロックぅ~!俺、何も変な事言ってないよね?飲み会の約束してたし、失恋したから慰めてくれるんじゃないの?」
「飲み会は、七海ちゃんを紹介する為の飲み会だったし、それは七海ちゃんと大和さんが付き合ったから出来ないことになったじゃん!慰める約束はそもそもしていない!」
「なぜ、その齟齬があるって話を聞けないて無いのに変なこと言ってないと言い切れるのか分からない。本当に、人の話聞かないなぁ~お前。このままだと幸せになれないぞ?」
美月の毅然とした態度と、輝の辛辣な指摘に流石の雄大も絶句する。目を丸くして口をハクハクしている。
「なっ・・・なっ!幸せになれないって・・・・」
「いやっ。家の姉ちゃんの時も散々言ってんじゃん?相手の話を聞けよ!なんで、日本語を日本語通りに受け取らないんだよ!会話になれんだろ?会話ができんやつと話す気すら失うだろ?お前、学科のメンバーも6割お前の話はスルーしてるの気がついてるか?」
「へ?」
「お前、自分の解釈で話するからわりとみんなにスルーされてるぞ?エネ制2年の人たち優しい人ばっかだから仲間外れとかされてないけど・・・今後、大丈夫なん?」
「はぁ?」
雄大が何も反論できずに呆然としていると、今日朝からゼミがあったと言っていた颯太と陽菜ちゃんが駆け寄って来て心配してくれた。颯太は、輝を労うが雄大はなんでと動揺する。
「美月ちゃん!大丈夫?中村が迷惑かけてるって聞いたけど!」
「美月。大丈夫か?輝ありがとなぁ。お前が同じゼミに行ってくれて本当に良かった」
「なんで?颯太さん!なんで輝ならいいんですか?俺が、美月ちゃんといますよ!」
颯太は呆れた顔になりながら雄大を眺める。受け答えが天然な陽菜ちゃんだけど空気が読めないわけでは無いし颯太から話を聞いたのかもしれない。胡乱な目で雄大を見る。
「雄大。お前から美月を守りたいのに、お前といさせるわけないだろ?まさか、金曜にしたこと忘れたのか?輝にやり返されたんだよな?」
「あっでも!美月ちゃん、俺の頭撫でてくれたし!」
「まぁ・・・。それは美月が悪いけど、頭撫でるのと体を拘束するのは全然違うだろ?腕と肩掴まれたら拘束だ。女子を逃げられない状況に追い詰めるやつは嫌われる。お前、大和さんから美月助けたんだろ?わかるだろ?」
「えぇ・・・」
「輝にされたの思い出せ!好きでも何でもない、友達ですらない。友達の友達にあんなことされて好かれると思うのか?」
「え?友達ですらない?」
颯太の説教に狼狽しながら、さらには美月の友達ですらないという言葉に疑問符を浮かべている雄大に美月も自分の認識を伝える。
「中村さんは大輝の友人って認識です」
「えぇ!マジ!」
「大輝からお願いされたから話を聞いただけで、知らない人の恋愛相談になんで私が乗らないといけないのかと大輝にも言ってます。今後するなって」
「えぇ~俺、響くらいには美月ちゃんの友達だと思ってたぁ~」
驚愕する雄大に4人は溜息をつく。今ここにいる誰も、むしろエネ制の人間、全員に聞いても雄大と美月が(仲がいい)友達とは認識していない。響は、学校外で会うことすらほとんどないが、学内では結構仲良くしている方なので何故、そこまで中村が仲が良くなっていると思うのかが謎だった。
「雄大・・・お前・・・ホントヤバいな」
「本当に・・・このまま社会人なんの?」
「中村君、自己分析も大事だよぉ~」
「ポジティブが過ぎて・・・怖い」
四者に、言われて初めて雄大も落ち込んだように見える。見えるけど、それで安心できないのが雄大なのである。4人は顔を合わせてどうする?と目だけで相談する。
「とりあえず、美月は雄大と飲みに行かないし、慰めないし!そもそも、まったく好意が無い上に嫌悪まで持ち始めた。近づくな」
「えぇ!そうなの?美月ちゃん!」
これだけ、さんざん言われているのにまだ美月に好かれていると思っていたのかと陽菜ちゃんと美月は恐怖で抱き合う。がきちんと伝えておかねばと恐怖心を叱咤して雄大に顔だけ向く。もちろん、体は陽菜と抱き合ったままである。
「颯太の言った通りだよ!飲み会は行かないし、二度と慰めない!そもそも最初から軽く嫌悪してるけど今は恐怖すら感じる」
「マジか!?」
「僕は雄大が今気がついたことに『マジか!?』だよ」
「わかったな!」
颯太が再度、念を押すと項垂れたように雄大が頷く。4人はやっと伝わったかとホッとするが雄大は雄大だった!
「俺!どうしたら、美月ちゃんに好かれる?美月ちゃんが無理でも女子に好かれる?」
もう、4人して遠い目になるしかなかった。その後は、逃げるように解散をして帰路についた。まだ、全快ではない上に、雄大とのやりとりは疲れた。ゼミは楽しかったのになんだかすごく疲れた。
読んで頂きありがとうございます!
~登場人物~
森 美月21歳 1浪大学2年生 ITビジネス科 SNS名【森美月】
6/12生 何かと人に相談されがちな事が少し気になる今日この頃 体系にコンプレックスを持っている 男兄弟の真ん中 ブラコン 敢えて鈍感 年下に甘い
永田 輝 20歳 エネルギー制御科1年
4/12生 1浪生 響と同じ年 前髪長めで背が高い 友達思い 家が車で1時間半かかる遠方 割とすぐに酔うが酔ってから普通にお喋り時間が長い 普段より少しお喋り
山崎 颯太20歳 1浪大学2年生 エネルギー制御科 SNS名【Sota.Y】
7/28生 美月の幼馴染 幼小中 高校別なのに同じ1浪して同じ大学で再会した 美月が好き みんなにバレてる 美月にはバレてない
松尾 陽菜20歳 大学2年生 エネルギー制御科
6/13生 颯太と大輝と同じ科で仲良くなった子 見た目は可愛い系だが少年の様な天然
中村 雄大20歳 大学2年生 エネルギー制御科
4/7生 颯太と大輝と同じ科の人 急に面識の薄い美月に恋愛相談を持ちかけて来た




