034 頼りになる可愛い後輩
少し短めですが
カフェテリアでちゃんと課題をしていると、2時間くらい経っているので慌てて颯太が小走りに来て謝る。課題をしてるし、今日は予定が無いと言ってあるから気にしなくてもいいのに律儀である。
「わりぃ。結構待ったか?輝も一緒だったのか?」
「颯太先輩!美月先輩、雄大に絡まれてましたよ!」
「あ?」
颯太が何で輝も居るのか?って顔で輝を見るので輝はすぐにチクる。ムッとした顔で輝を睨むが大きな溜息をつかれて、そのまま颯太に状況まで話始める。ヒィーと思っていると案の定、低いお声の返事がある。
「はぁ~。美月先輩、雄大の頭を撫でて捕まってました」
「はぁ?なにしてんの?」
「いやっ。だって、ほら七海ちゃんと大和さんが付き合ったの知ったらしくて!落ち込んでて!目の前に頭が合って・・・」
「それで、頭撫でたと?」
先ほどの輝と同じように目を細めて睨んで颯太が繰り返す。怖い。そんな悪いことしたかなぁ?と考えてるとその考えがバレて輝に怒られる。颯太にまで詰められる。
「美月先輩、反省してます?」
「いやっだって・・・」
「だってじゃないだろ?」
「僕が来なかった時の想定ってしてます?」
「ん?」
「今日、僕があの辺に車止めててたまたま通ったから、雄大との間に入ったの分かってます?手首も肩も掴まれて離れられなかったの分かってます?」
「あー」
少し肌が泡立ち寒気を感じる。掴まれた右腕を擦る。うん。あのままは嫌だなぁ~と思うと輝は更に美月の想定外の怖い話をしてくる。体温まで下がる。
「あのままだったら抱きしめられてましたよ?・・・・・僕が言うのもなんですが・・・」
「えー」
「そのまま、連れ去られもあり得ますよ?」
「えぇ?嫌がってる人連れてくと犯罪だよ?そこまでやる?」
「雄大は、『嫌よ嫌よも好きのウチ』って思考の変態なんであり得ます!」
「おぉう。変態・・・。あれ?輝、中村さん元々知ってるの?」
輝が中村雄大に最初から厳しめで結構口が悪くなっていた。そういえば、同じ年だったなと思って美月は聞いてみる。聞かなけばよかった。
「・・・・・・高校が一緒です。僕の姉、二つ上なんですけど・・・高3の時、高1の雄大に追い回されてて、すげぇ〜面倒くさかったです。姉も強く言えるタイプじゃないから最悪でした。まぁ。雄大のせいで彼氏が出来たんであっという間に終息したんですけど。あいつの唯一のいいところですね。人の彼女にちょっかい出さないとこ」
「あぁ~唯一」
「彼氏できるといかなくなんのか・・・」
唯一のいいところに美月が引いていると、颯太が思案するように復唱している。そして、更に輝が怖い事を言ってくる。しかも断言して。もう、辞めてほしい。
「そうなんです!七海さんはもう人の彼女宣言したので、次、美月先輩に来ると思います」
「えー」
「げっ!」
「まさか!私と七ちゃんタイプ違うじゃん!」
「あり得ますよ。アイツのタイプは美人の元気な子か、優しいお姉さんかの二択です。僕、不本意ですけど3年間見て来たんで・・・」
「え?」
「まんまかよ」
「はい。まんま『優しいお姉さん』ですね」
「ヒィー」
どうやら中村雄大の好きな女性のタイプの中の『優しいお姉さん』枠に入ると輝も、颯太にすらそう認識されているのでこれは本気で嫌な情報だと戦慄する。
「だから、警戒して欲しいですけど・・・まぁ。明日から夏休み何で会う機会は無いですか?」
「うん。無い!ゼミが被らなければ・・・?」
「美月、ゼミ一緒にするか?」
夏休みからゼミの見学をするつもりだった美月を、颯太が一緒に行くかとまた過保護な事を言うが狙っているところが違うので無理な話だ。
「え?颯太はエネルギー開発の方でしょ?私、教員の方で取ろうかと思ってる」
「あーぜんぜん違うな・・・」
今日も、颯太は以前から気になる教授のゼミのゼミ長から夏休みの日程の話聞くならおいでと言われて参加していたから待っていたのだ。美月も何か所か目星は付けている。すると、輝が突然質問してくる。
「・・・・・1年からゼミって入れます?」
「本格的には3年からだけど、プレゼミみたいにすでに興味がある分野が分かっているなら1、2年でも参加OKだよ!後で、ゼミ変もしてもいいし!」
「じゃあ、美月先輩と同じとこ入ってもいいですか?」
「えー合わせることないよぉ!」
颯太の過保護が輝にまで感染してるのではと美月は断るが、そうでは無いと輝が言う。颯太が難しい顔になってるけど、話に入ってこない。
「違います。親と工業の教員免許を取るって約束してて・・・うちの両親、教員なんです。教育学部行かない条件が、専門科目の教員免許で・・・」
「そうなんだ!じゃあ!輝にもいいかも!私が狙ってるゼミはこっちとこっちとこっち!完全に科と関係ないから1年から単位取ったほうが楽だよ!」
美月は嬉しそうに開いていたパソコンで収集していた情報を纏めた資料を開いて輝に椅子を寄せて見せる。
1人の教授の授業しか受けたことなくて、他の2人の講師と教授の授業受けてから決めようと思っていたけど、授業被ってて受けれなかったから夏休みの集まりに顔を出してみようかと思っていると嬉しそうににこにこと話す。
正直、技術系とビジネス関係の科の人で教員免許を取得をしようとする人は少ない。仲のいい人が同じところを目指すのは嬉しくてついつい前のめりに説明してしまう。
「あーいいですね!この講師さんの授業受けてるんですけど、楽しいですよ。研究職じゃないんで、教授にこだわる必要ないかなと思うんですよ」
「分かる!教授は忙しくてあまり顔を出さないっぽくてさぁ~。講師さんはゼミ顔出しては来るのかな?」
「講師の人は、学校に来る曜日が決まってるじゃないですか?その日は丸っと1日こっちにいるみたいで、週に2日はいるなら教授より会える確率高いかも?」
「そっかぁ~あぁ!その曜日にゼミの日か!夏休み初手は、体験と説明と顔合わせって言ってた。輝も行く?」
「いいですね。いつですか?」
「来週の水曜日!の・・・14時からって!丁度、集合日が水金でバイト無いからいいんだよね!」
「わかりました。その日に一緒に参加します。あっ美月先輩連絡先交換していいですか?」
「あれ?楓に聞いてない?」
「はい。橋本も教えてくれませんでした」
「あはは!え?じゃあ、駿くんも知らない?」
「はい。自分で聞けって言われたので」
「えー言ってくれたら良かったのにぃ~」
「まぁ。失態の後だったんで・・・」
あははと笑いながらスマホを出してSNSのIDをQRコードを見せて交換する。連絡を交換し終わると今迄黙って聞いていた颯太が口を挟む。
「予定は出来たか?そろそろ帰る?今日も飯作るんだろ?俺のせいだけどもう18時過ぎてるぜ?」
「あー今日は大丈夫!太陽兄と煌星はデートだって。父さんはまだ出張中で、お母さんは夜勤だから今日は1人なんだよね」
「美月!家に一人を言うな!」
「美月先輩!不用心!」
颯太と輝にハモるように叱られて、大きなため息をつかれる。颯太は1回頭をふると美月をみて御飯に誘ってくれる。良い奴だ。
「じゃあ。飯食いに行くか?」
「あれ?颯太バイトは?」
「あ?金曜は基本休みにしてる」
「おぉ!お休み!御飯だけ?」
「ん?飲みに行くか?」
「ん~どっちでもいいけど、。《すぱいす》行きたいなぁ~!」
「げっ・・・・」
「輝も行く?」
美月が輝を誘うと律儀に颯太に伺いを立てる。颯太も当たり前のようにOKを出すけど、急に誘われて大丈夫かと確認をとる。
「え?良いんですか颯太さん?」
「あぁ?勿論いいけど、急だけど大丈夫か?」
「颯太さんがいいなら・・・行きたいです」
「飲む?どうする?」
「もう。飲みたいんだろ?」
「あは~バレた?」
「んじゃ、美月1回帰るか?輝は家に車置いてくるか?」
「あーうちちょっと遠くて!」
輝は家まで車で1時間半かかるようで、今迄飲み会の時は駿や悠希の家にお泊りする為、新歓や学科での大きな飲み会以外の飲み会には参加していなかったと言う。なので颯太が家に誘う。
「あー。じゃあ、家に泊まるか?」
「いいんですか?」
「むさくるしい家ですが」
「ありがとうございます!お邪魔させて下さい。実は、少人数飲み会にも参加したかったんです。颯太さんと美月さんと飲むってレアなんで嬉しいです!」
少し照れて話す輝に、こっちも照れてしまう。あまりに可愛い反応に颯太と目を合わせて笑ってしまった。
読んでいただきありがとうございます!
~登場人物~
森 美月21歳 1浪大学2年生 ITビジネス科 SNS名【森美月】
6/12生 何かと人に相談されがちな事が少し気になる今日この頃 体系にコンプレックスを持っている 男兄弟の真ん中 ブラコン 敢えて鈍感 年下に甘い
永田 輝 20歳 エネルギー制御科1年
4/12生 1浪生 響と同じ年 前髪長めで背が高い 友達思い
山崎 颯太20歳 1浪大学2年生 エネルギー制御科 SNS名【Sota.Y】
7/28生 美月の幼馴染 幼小中 高校別なのに同じ1浪して同じ大学で再会した 美月が好き みんなにバレてる 美月にはバレてない




